見出し画像

【お仕事回顧】ドラゴンライダーの成長を描いた傭兵達の戦場群像劇

【お仕事回顧】この記事はなにか?
・これまでに従事した仕事の振り返りです
・ポートフォリオ的に見せるものです
・自分がスランプに陥ったときに振り返るお話の作り方の備忘録
です

公開許可を取っていないものもあるのでタイトルはボカしてあります
お話の作り方などを記載してあるのでネタバレがあります
(タイトル非公開なのでネタバレも何もないですが)


概要

戦場を舞台に、ドラゴンを駆るドラゴンライダーが傭兵として初めて仕事を完了させるまでを描いたストーリーのシナリオ制作


期間

2018年6月~2018年7月

依頼元、依頼経緯

ゲーム制作会社、リピート依頼

関係者

企画窓口担当の方、打ち合わせ無し

仕事内容

ストーリーシナリオ、キャラクター設定、ストーリープロット制作、ストーリーシナリオ制作、その他テキスト各種制作

資料

特になし

納品物

キャラ設定、ストーリープロット、シナリオ、キャラボイス台本

ボリューム

60分尺のアニメくらいのボリュームをイメージ

時系列

各ストーリー依頼→作業→納品

感想

 ひとことプロットは
「人間を憎む孤高のドラゴンライダーである主人公が、子供を救うためにライバル傭兵団の助けを借り幻獣を退治する物語」でした。

 ドラゴンライダー(竜に乗って戦うキャラクター)を出す、ということが事前に決まっていたので、そこを出発点にキャラクターの設定を深掘りしていきました。主人公のライバル傭兵団はすでにストーリーに登場済みのキャラクター達でした。

 キャッチワードは「傭兵」「傭兵団」「竜族」「戦場」などです。
 モチーフにしたキャラクターは特にいませんが、主人公には、すでにストーリーに登場しているドラゴンライダーのキャラクターと主張を対立させたいと考えていました。そのためストーリーの主人公の性格は、既存のキャラクターの「明るく天真爛漫」「IQ低めで感情表現豊か」という性格や思想とはなるべく対極に置くようにしました。

 ストーリーの軸は成長物語ですが、構成は「パニック物」になります。人間同士が異なる主張や生き方をぶつけ合っているうちに、とんでもない脅威が出現してそれどころじゃなくなり、未知の脅威に対して敵だった勢力同士が手を組んで協力する……といった流れを想定していました。

 主人公のライバル傭兵団は「弱きを救う善玉」として登場します。報酬次第でどんな戦場にも顔を出しどんな敵とでも戦いますが、自分たちの基準「美味い酒が飲めるかどうか」を満たすことがなければ仕事を引き受けない、といった働き方をします。 公権力から離れ野に下ったキャリアのようなイメージ。 設定がとても気に入っているので、こちらのストーリーは別の機会にまとめられたらと思います。

 描きたかった感情は「矜持」です。自分の生き方を恥じることなく誇れる感情。身近な例では仕事に通じるでしょうか。警察官が正義の心を持つように、救急隊が助けたい、という気持ちを持つように、自分の仕事、役割に対して正しくプライドを持って生きる。仕事に貴賤はありませんが、そんな人間は非常にかっこよく見えます。
 僕の父親はあまり定職を持たず職を4、5回も代え、地位も給料も安定せず、一般的な目線から見ればあまり良い職歴ではありませんでした。でも、「家族を食わせる」「子供を成人させる」という点は絶対にブレずに働ききりました。酒もギャンブルもやって、誇りに思えるほど尊敬しているか? と聞かれると怪しいです。が、家庭を持ってみると、ちゃんと家族を食べさせてあげることの大変さが理解できます。形はどうあれ、そういったブレないカッコ良さをシーンとして描ければいいなと思っていました。

 描きたかったシーンが2つあって、1つは「叫びと呼応」です。主人公が感情を込めた絶叫をして、それに応えて仲間が助けにくる王道のシーン。そのイメージがずっと頭にあり、そのシーンがクライマックスの入り口にくるように全体を構成しました。

 もう1つは大空での戦い。大地すら見えない雲の上でぶつかり合うシーンを描きたく、空を飛ぶ設定のキャラクターをメインに据えました。クライマックスの大空での戦いは前後の流れ含め、展開としてかなり気に入っています。

 あらすじ。
 主人公は「竜の血」を引くという特殊な血筋で、そのせいで幼い頃に人さらいに誘拐され、両親も殺されてしまいます。その窮地を救ってくれた野生の竜と保護者代わりの女性に守られて育ちます。
 幼い頃のトラウマで完全な人間嫌いになる主人公ですが、生きるために傭兵稼業をすることになり、傭兵として活躍する同族の女の子がいることを知ります。自分が嫌いな人間に金をもらって働く傭兵に対して嫌悪感を覚える主人公はライバル傭兵団と戦うことになりますが、両勢力が争っている間に未知の脅威が襲来して、その地に残された子供たちのために2人のドラゴンライダーは手を組んで戦うことになり……という流れです。

 「竜」が人間に力を貸してくれる流れは別のエピソードでも展開していて、そちらではこのストーリーに登場するドラゴンライダーの「先祖」を主人公にしています。孤高で最強の力を持つドラゴンライダーが人間の英雄に力を貸し、仲間と認めた者たちのために戦うことで、自分の内にさらなる力が目覚めるのを自覚する……というエピソードでした。「誰かのためにこそ力が出せる」というシーンは今回のエピソードでオマージュしています。

 まとめ。
 少年マンガらしい展開と矜持を示すかっこよさ、スカッとした読後感を目指したエピソードでした。子供を助けるために奮戦する主人公の活躍を描くのは自分の得意とする「ベタで王道なストーリー」です。1つの戦争にフォーカスして起承転結をまとめるのが楽しかったです。


印象に残っているシーン&セリフ

子供たちを守る決定をした傭兵団の隊長が部下を説得するシーン
「なあ、隊長。なんで関係ない領地の子供なんか連れて行くんだ。足手まといで仕方ないぜ。」
「情けないこと言うんじゃないよ。
 地位や名誉よりも、子供を守って戦う方がカッコいいじゃないか。」
「だからってなぁ!
 1ゴルドの得にもならない戦いに駆り出されたら、稼ぎが……。」

「その代わり、うまい酒は飲めるよ?」
「……………………。」

「悪いと思ってるよ。でも、今に始まったことじゃないだろう?
 戦いが終わったら、極上の酒をおごるよ。」

「……溺れるくらいな。約束だぜ?」
「ああ。」


女の子が主人公に一枚のメダルを差し出してお願いするシーン。最初は断られる。
「お姉ちゃん、傭兵さんなの? みんなを守ってくれる?
 私がお姉ちゃんにお金をあげる。だから、みんなを守って?」
「ふざけないで。私は傭兵なんかじゃない。それにどうして私が人間を守らなければいけないの。」


紆余曲折あり子供たちを守ろうと決意した主人公が、相棒のドラゴンを呼ぶシーン
(あなたを近くに感じる。きっとあなたも、私の気持ちが通じてるよね。
 そう……私は人間を助けたいと思っている。)
女の子がやってくる
「竜のお姉ちゃん!」
「……! 何をしているの? こんな場所に来たら危ない……。」
「お姉ちゃんも、強いのよね?
 私たちを、みんなを守ってくれるのよね?」

女の子が再度一枚のメダルを差し出す
「お願い、お姉ちゃん。お兄ちゃんを、みんなを……守って?」

(不思議な気持ちなの。あなたも感じているでしょう?
 私はこの子たちを助けたいと……決意している。
 それだけで、今までにない力が湧いてくるのを感じるの。)
(胸の奥が熱い。煮立っているみたい。竜の咆哮のように、思いっきり
 吐き出してしまいたい。)

「いいわ。あなた達を守ってみせる。もう絶対に……あんな幻獣には負けない。」

(お願い、来て……! 私の思いに応えて……!!)

「私を空に連れていって。……アンブロシアーーーー!!」


最後まで読んでいただきありがとうございました!
面白ければぜひハートマークをポチり、お願いします。
ではまた!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?