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モーツァルトを聴く人(著:谷川俊太郎)読書感想文

モーツァルトを聴く人 谷川俊太郎詩集(著:谷川俊太郎、絵:堀内誠一、小学館文庫、2022)


この本にはまず詩集『モーツァルトを聴く人』が掲載されている。
この詩集には、老いて呆けた母を想う詩が多く、そして自らも老いた谷川さん、と、老いとはなにかと考えさせられる。その老いにあわせてモーツァルトをはじめクラシック音楽の旋律が流れて谷川さんを癒していく。

そして詩集『モーツァルトを聴く人』全篇の後には堀内誠一さんが絵を担当し、文を谷川さんが担当した絵本『ピアノのすきなおうさま』が掲載されている。これがなんとも悲しくしかし笑えて不思議な感覚にさせられる。いや悲しいと書いたがこのピアノの好きな王様自体は何も悲しいと思っていないのだ。ピアノが弾ければそれでいいのだから。

次に『音楽ふたたび』という選詩集がはじまる。
モーツァルトについての詩を集めたものであり、その中の『皺くちゃ』という詩の一節が好きだ。

詩を皺くちゃにしなくっちゃと思う
せめてそれがゴミになる前に

谷川さんは音楽のようになりたいと言う。音楽とともに透き通って清らかに世界を愛したいとそれがすなわち生きることにもつながるんじゃないかと。そして音楽が終わってしまうことに苛立ちながら。

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