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ショートストーリー:花びらの解釈【歩行者b× ミモザ ×タケノコ コラボ】

歩行者bさんとミモザさんと私タケノコがお互いに「落花」という季語をテーマに、俳句と短歌と詩を提供し合いました。こちらは歩行者bさんの短歌と自由律俳句を元にしたものになります。詩の後に歩行者bさんから頂いた短歌と自由律俳句を載せてあります。
あわせてお読みください。



映画には不倫をした男から財布を奪い、電車に乗って旅をする女の姿が映されていた。
女は財布を開けた。
すると中には桜の花びらが五枚ほど入っていた。

*        

映画は3時間近くあるのでインターバル(休憩)が入った。
映画館の外に一旦出るとあたりは夜であった。
あの桜は何を意味しているのだろうか、煙草を吸いながら考えていた。



映画館に戻るとすでに映画が再開していた。
スクリーンには朝、田んぼだった土塊に埋まった桜貝を拾い上げる女の姿が映されていた。
音楽が流れてくる。
初めてこの映画内で流れる音楽であった。
雨が静かに降ってくる。
桜貝を手に取った女の体をゆっくり濡らす雨が音楽と共に川に流れる。
川にはさきほどの財布の中の桜の花びらだろうか。
五枚の花びらがちらちらと流れていた。
カメラが花びら五枚を追う。
川そして音楽の流れは海に通じる。
海辺には女が座っていた。
そこに男がやって来て女の横に座った。
黙っている二人。
突然女は「ありがとう」「じゃあね」と男に言ってその場を去った。
男はずっと座っていた。
潮が満ち波が男の足を洗った。
海へとたどり着いていた花びらが靴についた。



私はこの詩的な映画を観終わってあの花びらが何かを知った。
花びらには男の謝罪したい、やりなおしたいという愛の想いが込められていたのだ。しかし花びらは女のもとを抜け流れていった。結局花びらは男の想い虚しく、まさしく散り、足下に戻っていった。男の想いは女には届ききれず流れて元に戻ってきてしまったのだ。



お題「落花」
歩行者bさんの作品

あなたから奪った財布で旅に出る中にさくらの花びら五枚

bさんの短歌


インターバルから桜の花の言葉は跳ねて受け取れなかった夜が悶々と森にあけた耕作田だった土くれに埋まった桜貝を手にとる生まれたての音符は今朝雨のように溢れた道をつたい芽を吹き川へ海へ流れていった

海はそっと風にのせ ありがとう を歌った

bさんの自由律俳句



歩行者bさんありがとうございます😊


bさんが僕の詩を基に書いてくださった作品↓


ミモザさんが僕の詩を基に書いてくださった作品↓


ミモザさんとbさんのコラボ作品↓

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