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物語

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記事一覧

掌編小説:ツン

掌編小説:ツン

父が風邪をひいた。
寝ていれば治るさと父は明るく振る舞う。
その影に、死の匂いが、ツン。
数日後、結局父は風邪を平然と治した。あの死の匂いはなんだったのか。
思えば父が風邪をひくたびに、死の匂いを感じていた。
思えば父のみならず、家族や友人や知人、誰かが風邪をひけば、死の匂いを感じていた。
思えば私は死の匂いをありとあらゆるものに感じていた。
家族が出かけると、事故に遭うんじゃないか、ツン。地震に

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ショートストーリー:花びらの解釈【歩行者b× ミモザ ×タケノコ コラボ】

ショートストーリー:花びらの解釈【歩行者b× ミモザ ×タケノコ コラボ】

歩行者bさんとミモザさんと私タケノコがお互いに「落花」という季語をテーマに、俳句と短歌と詩を提供し合いました。こちらは歩行者bさんの短歌と自由律俳句を元にしたものになります。詩の後に歩行者bさんから頂いた短歌と自由律俳句を載せてあります。
あわせてお読みください。

映画には不倫をした男から財布を奪い、電車に乗って旅をする女の姿が映されていた。
女は財布を開けた。
すると中には桜の花びらが五枚ほど

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童話:鳩とドーナツ

童話:鳩とドーナツ



1、

学校に行きたくないな。
そう思っていた清はドーナツ屋に向かっていました。
ドーナツは、オールドファッション、クリームドーナツ、もちもちリング、抹茶ドーナツ、富士山ドーナツ、粉雪ドーナツ、ジェリードーナツたくさん種類がありました。
清は迷わずチョコオールドファッションを一つ買いました。
理由は特にありません。
これを食べれば元気が出るかもしれない。
嫌な学校に行けるかもしれない。
そう思

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今日の1:33に投稿した『劇詩のようなもの:快楽の果て』(18禁)読んでいただいた成人の皆様、コメント、返詩をくださった皆様本当にありがとうございます。フォロワーさん減る覚悟で書きました。この詩を書いたせいで今日は体調があまり良くありません💦
未読の方も是非読んでみてください❗️

劇詩のようなもの:快楽の果て

劇詩のようなもの:快楽の果て

#18禁 #R18

注意:この作品は18歳未満の方には不適切な表現内容(性描写等)を含んでいるため、 18歳未満の方の閲覧は固くお断りします。ご了承ください。

なお、この作品はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

ーーーーー

一、

愛とはなんだ。

私は愛の結晶?

いや私は父と母のセックスで生まれた快楽の結晶。

私はだから快楽を貪る

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劇詩というか: お母さんの「呪い」

劇詩というか: お母さんの「呪い」

お母さん、ぼく死にたいよ。

ある日ぼくはお母さんに言った。

ぼくは学校でいじめを受け、自殺したくてたまらなかった。

高校一年生の時だ。

あの時生まれてはじめて自ら死にたいという気持ちがふと頭に浮かんだ。

一度頭に撒かれた気持ちは消えない。

消えないどころかどんどん頭から芽吹いてくる。

死にたい、死にたい、死にたい。

気づけばぼくは家の近くの公民館の螺旋階段を上がっていた。

いちば

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『劇詩というか: お母さんの「呪い」』というものを書きました。明日公開予定。
短い劇詩でもあり回想録になります。
劇詩はこんな一行で始まります。

お母さん、ぼく死にたいよ。

…母のかけた「呪い」とは何か。自分のことを曝け出すようで恥ずかしいですが読んでいただけると嬉しいです。

『風』メイキング という名の反省文(2024.1.5追記)

『風』メイキング という名の反省文(2024.1.5追記)


『劇詩のようなもの:風』を読んでくださった皆様ありがとうございました!

『風』は実は『詩:風(前後編)』

をベースに書きました。

書いているうちにこれは長編小説になるんじゃないかと思い、書き足していったら短編ほどの長さにしかならず。

しかも詩の文体で書いたので自分でも小説なのか詩なのかよくわからないものができてしまったと戸惑いました。

そのうち調べていくとちょうど「劇詩」という戯曲の形

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劇詩のようなもの: 風

劇詩のようなもの: 風

『風』をご覧いただきありがとうございます。
読まれてもしお気に召したり気になったことがあれば是非↓のメイキング…という名の反省文もご覧ください。
よろしくお願いします。

第一章

大風が吹く中ぼくは立てなかった。

時はたっていくのにぼくは立てなかった。

悔しさと悲しさが入り混じり、ぼくは涙した。

死を司るものが草原からすくっと立つ。

時間を司るものが草原からすくっと立つ。

運命を司るも

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最後の日記| #シロクマ文芸部

最後の日記| #シロクマ文芸部

ショートストーリー 最後の日記

最後の日記に何を書こうか。

もうかれこれ何ヶ月も書いていない。

これまで病気で苦しいだの痛いだの動けないだの辛いことしか書けなかった。

やれやれ。

これだから年寄りはやだね。

さて、文句を言っている暇はない。

書いてみるか。

……あれ。ははは。書けない。俺はこんなに老いぼれてしまったのか。

文章が書けないなんて、なんて情けないんだろう。

彼の最後

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