鉄仙斎

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鉄仙斎

専門は中国史。乃木坂、ゲーム、ガンダム好き。モフモフしたぬいぐるみ大好き。書籍紹介とか歴史系(特に中国関係)多め。フォローはご自由にどうぞ。

マガジン

  • 孟子見参!

    四書五経のひとつ『孟子』。孟子の言行録の意訳と、解説「見参余録」で雄弁の士として鳴る彼の思想に触れてみてください。

  • 歴史本の山を崩せ

    歴史本に関するレビューです

  • 中国と書物の記

    中国の出版文化史。中国史ビギナーでも読めるように努めます。脱線多め。

  • 漢文の海で釣りをして

    古今の漢籍が泳ぐ歴史の海に釣り糸を垂らし、釣れた漢文を我流な解釈で書き連ねたものです

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【自己紹介】

《名前(鉄仙)の由来》「鉄仙」は号です。大学院当初、研究テーマに鉄を考えていた時期があり、仙人という渾名と合わせて「鉄仙」。また、「精神の高貴さ、たくらみ」の花言葉を持つクレマチスにも肖って。 《出身地》※尾州 生まれてより現在まで 《年齢》第69代横綱・白鵬と同じ 《学位・資格》※修士(文学)…中国古代史 ※漢検準1級 ※ITパスポート 《性格・性質》※頑固 ※人見知り ※割とテキトー ※合理主義者 ※リベラル・コミュニタリアン ※尽くされるより尽くしたい ※主君と

    • 【孟子見参#001】利益よりも大事なもの(梁恵王篇①)

      意訳  孟子が梁の恵王と会見した。恵王は問う。 「あなた様は千里の道も遠しとなさらず、わざわざお越しになられた。きっと我が国にとって利益となるような方策をお授けいただけることでしょうね」  孟子は答える。 「王よ、なぜ利益ばかりを求められるのか? 一番大事なのは仁義ですぞ。王が自分の国の利益ばかりを考えていれば、大臣は自分の家の利益ばかりを考えるようになり、庶民は自分たちの身の利益ばかりを考えるようになる。上から下まで自分の利益ばかりを考えるようになってしまったら国は危う

      • 【歴史本の山を崩せ#045】『日本のいちばん長い日』星野之宣

        ≪終戦ドキュメンタリーのコミカライズ≫ これまで2回、実写映画化。 終戦ドキュメンタリーの定番、半藤一利の『日本のいちばん長い日』が上下二巻構成でまさかのコミカライズ。 しかも筆を執ったマンガ家は「宗像教授」シリーズの星野之宣という「昭和」の巨匠コンビによるコミックです。 星野之宣が描く半藤一利と聞けば、それだけでゾワゾワするひともいるでしょう。 大筋は半藤の原作に即していますが、ところどころ「漫画家の感想」として星野の「仮説」が前面に押し出されているところがあります。

        • 【歴史本の山を崩せ#044】『東条英機』一ノ瀬俊也

          ≪戦前日本最大のヒールから学ぶべきことは≫ 歴史上にはヒール(悪役)というイメージが強い人物がいます。 戦前日本でいえば東条英機がその代表格でしょう。 その知名度に比して一般向けの評伝があまりないなかの新書です。 その性格は執念深く、視野が狭いところがあるが、真面目一徹で自分に課せられた役割に対しては愚直なまでに忠実。 平和な時代であれば教科書に名前を残すことはなかったかもしれませんが、官吏として非常に有能な人物であったことは間違いないでしょう。 東條に対する批判に「思想

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        • 孟子見参!
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        記事

          【歴史本の山を崩せ#043】増補『文明史の中の明治憲法』瀧井一博

          ≪「憲法」とは何か。明治憲法のイメージが変わる≫ 明治日本は押し寄せる西洋文明の波に遭遇し、その文化・文明を積極的に摂取しようと努めました。 これまでの日本には存在しなかった概念が和訳され、現在まで使われています。 「憲法」と訳されたconstitutionもそのひとつです。 一般的に「憲法」といったときは例えば日本国憲法や合衆国憲法など法典化されたもの…すなわち憲法典を指すことが多いですが、これはconstitutionの狭義の意味です。 広義の意味として「国のありかた」

          【歴史本の山を崩せ#043】増補『文明史の中の明治憲法』瀧井一博

          【歴史本の山を崩せ#042】『原敬』清水唯一朗

          ≪平民宰相の足跡をたどる評伝≫ 本書の著者が明治以降、大衆的な人気がある政治家として挙げられているのが西郷隆盛、大隈重信、犬養毅、尾崎行雄、浜口雄幸ら。 ところが、彼らの事績を見てみると浜口(海軍軍縮)以外は政治的な実績を遺せていないという。 確かに言われてみればその通りです。 一方で、大日本帝国ではじめて爵位を持たない総理大臣となった原敬は、平民宰相と持て囃されたものの、先に挙げた犬養や尾崎と比べると人気はいまひとつだったといいます。 現実主義者で実務能力に長けた原には

          【歴史本の山を崩せ#042】『原敬』清水唯一朗

          【歴史本の山を崩せ#041】『元老』伊藤之雄

          ≪大日本帝国を動かした真の権力者たち≫ 昭和初期頃までの日本で総理大臣が辞職するたびに天皇に次の総理大臣候補を推薦する元老。 天皇が彼らの推薦を拒否することがなかったため事実上、総理大臣という政府のリーダーを決めるという絶大な権能を持っていた存在です。 それだけの政治権力を持ちながらも、その資格や運用、権限について明確な成文法がない。 驚くべきことに法的根拠を持たないオフィシャルではないという極めて異質な存在です。 しかし、彼らは確かに存在し、大日本帝国を動かしていった。

          【歴史本の山を崩せ#041】『元老』伊藤之雄

          【歴史本の山を崩せ#040】『聖断』半藤一利

          ≪終戦を成し遂げた鬼貫太郎の歴史ドキュメンタリー≫ 主人公は鈴木貫太郎。 鈴木は海軍軍人として日清・日露戦争に参加、「鬼貫太郎」として勇名を馳せました。 『老子』を愛読し、政治に関わることを嫌いながら、天皇に対する忠誠は至誠そのもの。 侍従長として昭和天皇に仕え絶大な信頼を得る。 その後、内閣総理大臣としてアジア太平洋戦争終結の大役を果たした人物です。 学校の教科書で知っているだけだと、茫洋とした村夫子のような風貌と降伏した総理大臣としての弱弱しいという印象を持っているかも

          【歴史本の山を崩せ#040】『聖断』半藤一利

          【歴史本の山を崩せ#039】『未完のファシズム』片山杜秀

          ≪「持たざる国」はファシズムにもなれなかった≫ 第一次世界大戦以降、国家間の戦争は総力戦体制と変化しました。 資源、労働力といったリソースの寡多が勝敗を決する決定的な要因となる。 大戦後、大国のひとつに数えられるようになっても、島国・日本はそういったリソースを「持たざる国」でした。 「持たざる国」が「持てる国」と対峙していくにはどうしたらよいのか? そのひとつの解として現れたのが、日本民族の不屈の精神があれば大国相手であろうとも倒すことが出来るという、神がかり的な精神至上主

          【歴史本の山を崩せ#039】『未完のファシズム』片山杜秀

          【歴史本の山を崩せ#038】『日本のいちばん長い日 決定版』半藤一利

          ≪終戦ドキュメンタリーの定番書≫ オリジナル版の初版は1965年。 当初は営業上の理由からジャーナリスト・大宅壮一の名義で出されたもの。 後に名義を本来の半藤一利に戻し、補訂・改訂を施した決定版が、現在、文春文庫に入っているものです。 この本を原案として1967年と2015年に映画化もされました。 時は太平洋戦争最末期。 聖断によって降伏が決定された1945年8月14日正午から、玉音放送がなされれる翌15日の正午までの24時間を1時間ごとに区切って描いたドキュメンタリーで

          【歴史本の山を崩せ#038】『日本のいちばん長い日 決定版』半藤一利

          【歴史本の山を崩せ#037】『関ケ原合戦と石田三成』矢部健太郎

          ≪秀吉が目指した支配秩序がもたらした合戦≫ 敗者の立場から日本史を読み直そうという吉川弘文館のシリーズの1冊。 もう10年以上前にはじまり、すでに完結したシリーズです。 「関ケ原もの」は秀吉の死後から語り起こされることが多いですが、本書は秀吉絶頂期から筆を起こします。 秀吉が支配秩序として重視したのが「家格」。 個人に対して与えられる「官位」ではなく、家に対して加えられる「家格」によって豊臣宗家の地位を確固たるものにする。 豊臣宗家を武家として唯一、摂政・関白に任官できる

          【歴史本の山を崩せ#037】『関ケ原合戦と石田三成』矢部健太郎

          【歴史本の山を崩せ#036】『世説新語』井波律子(訳注)

          ≪井波解説が白眉の世説新語全訳≫ 『世説新語』は後漢末から東晋期の貴族・人士たちの逸話集です。 脚色や伝承・伝説の類も多く、歴史史料としての信憑性は高くないものの、当時の世相や貴族たちの雰囲気を知るには良い漢籍。 何よりも多士済々・海千山千が遺したエピソードの数々は読み物としても十分面白いです。 後漢末期から三国時代も登場するので三国志ファンもニヤリとするような人物も出てきます。 権力奪取に燃える野心家、亡命政権を支える老練な政治家、清談に耽る貴族、世俗を離れる隠者などなど

          【歴史本の山を崩せ#036】『世説新語』井波律子(訳注)

          【歴史本の山を崩せ#035】『諡 天皇の呼び名』野村朋弘

          ≪呼び名に「光」をまとう天皇出現の意味は?≫ 諡(おくりな)とは死後に送られる名前のことです。 日本では天皇の呼び名がこれに当たります(正確には天皇以外に貴人、高僧の例もありますが)。 昭和天皇や後白河天皇、桓武天皇などの呼び名は諡であり、死後に定められたものです。 生前の行跡を臣下たちが評価し、やまと言葉によってつけられる国風諡号。 中国の諡号に沿ってつけられる漢風諡号。 例えば桓武天皇は漢風諡号で、国風諡号として日本根子皇統弥照尊(やまとねこあまつひつぎいやてりのみこ

          【歴史本の山を崩せ#035】『諡 天皇の呼び名』野村朋弘

          【歴史本の山を崩せ#034】『実録三国志』于涛

          ≪中国人研究者による三国志前伝≫1800年も前の異国の歴史なのに日本人が大好きな三国志。 令和になってからも続々と新刊が出ているコンテンツです。 しかし、三国志に限ったことではありませんが、日本では中国人研究者による歴史書の翻訳が少ないのが現状。 日本語で読むことができるレアものの中国人研究者による歴史書です。 扱う時代はいわゆる三国志物語がはじまる後漢末の外戚・宦官・清流派士人の政治的対立から、曹魏への禅譲まで。 原書のタイトルは『三国前伝』なのですが、邦訳に際してわざわ

          【歴史本の山を崩せ#034】『実録三国志』于涛

          【歴史本の山を崩せ#033】『劉備と諸葛亮』柿沼陽平

          ≪カネを切り口に語る三国志は成功したか?≫ 副題はカネ勘定の『三国志』。 中国貨幣史などの単著を出している柿沼さんらしい三国志本です。 英雄史観ではなく、現実的な経済・財政という側面から三国志… 特にタイトルにあるとおり劉備と諸葛亮を中心に据えた新書です。 歴史の業績をイメージが先行している英雄のキャラクターに帰属させてしまうことに待ったをかけようという本書の姿勢は大いに評価できます。 また、「善玉」とされている劉備、諸葛亮のイメージに疑問を投げかけてるところや、「悪玉」

          【歴史本の山を崩せ#033】『劉備と諸葛亮』柿沼陽平

          【歴史本の山を崩せ#032】『思考と行動の中国史』竹内康浩

          《中国を理解するために…価値観からのアプローチ》 他者を理解するためには、相手がどのような思考をもっているのか知る必要があります。 異文化理解、対話の大切さを強調するのはよいのですが、相手も自分たちを同じ価値観を持っているという前提のもとで語っているのであれば、それは不可能であるばかりか傲慢な態度であるといえるかもしれません。 歴史的に中国人はどのような価値観を持ってきたのか? 史料を駆使して人間観、社会観、世界観を知り、その行動原理を理解しようというのがこの本の狙いです

          【歴史本の山を崩せ#032】『思考と行動の中国史』竹内康浩