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『つるばみ色のなぎ子たち』の講習会に行った話。


先日、半年ぶりの『つるばみ色のなぎ子たち基礎講義2』に出席。
作品を手掛ける片渕須直監督を講師に3回目の開催。3度目の受講。

講義を通じて語られる、物語を『読み・解く』という事。
それは、『あらゆる事象に疑問を持つ』という事。
ネットに載る文章が、出版される本が、果たしてどれだけ『真実』を語っているのか。

本作は『清少納言』の生涯を『枕草子』を通じて描こうとしている。

まず『清少納言』という人物は本当に実在していたのか。
『清 少納言』という文字列は彼女を表す単なる『符号』でしかない。

例えば、清少納言と”ゆかり”ある貴族の文献に『"少納言"と面会した』と、記述があるとする。

『少納言=清少納言』と立証できるか。
少納言が何歳の頃の出来事か。どこにいたのか。何を纏っていたのか。
面会した時の季節は。時間は。どのような風景が広がっていたのか。
面会した貴族は対等に話し合える"位”の人物なのか。他人か身内か。
当時の社会情勢は。『枕草子』にはどの場面で登場しているのか。
そもそも”ゆかりある貴族”も当時存在していたのか…。

枝葉のように分かれた些細な『疑問』を監督や製作メンバー陣は徹底的に調べ上げる。平安当時の文献、はたまた別の時代の文献、時には実験での検証、フィールドワーク…様々な『資料』を持ち合わせて、ようやく記述を立証させる。『立証の繰り返し』を基に作品を作り上げる。

絵に、動画に起こせば僅か数秒で通り過ぎる風景ではあるのだが。

片渕監督の手掛ける作品は『古典』も『歴史』も『地理学』も『生物学』も『社会学』も――あらゆる『ジャンル』・『カテゴリ』を超越し、重ね合わせた先にある。

最後に今、私から提示できる情報を『3つ』掲載。
1つ目は『予習も兼ねて観てほしい作品』
2つ目は『作品に関わるスタッフ様たちの経歴』
3つ目最後は『つるばみ色のなぎ子たち』のパイロットフィルム。

まず1つ目『予習も兼ねて観てほしい作品』

◎『マイマイ新子と千年の魔法』

☆あらすじ:主人公・青木新子は祖父から教わった『千年前の街』と、かつてこの地にいた『お姫様・なぎ子』に想いを馳せる。クラスに馴染めない転校生・島津貴伊子と次第に心を通わせるように。
二つの時代に二人の少女。山口県防府市を舞台に、天延2年と昭和30年を行き交う様に物語は展開する―。
★感想:片渕監督の作品。YouTubeで視聴(¥330)。
この作品を基に今作の企画があるので必須科目と言っても過言ではない。
ほんわかした雰囲気で某教育番組調タイトル『楽しい木造建築』が始まったと思って油断してたら、後半ロア〇プラが始まって戦慄する。
貴伊子の家の台所・母親の形見(大事なモノを仕舞う棚?)の繊細さに幾度かか映像を巻き戻した。戦後から約10年の世界感ではあるが、クラス内の社会格差が激しい印象。お互いに『ズレ』は感じるものの、『受け入れる』子供の柔軟性、想像力や自由さを信じた監督の心が垣間見える作品。

◎『窓際のトットちゃん』

☆あらすじ:女優・タレントの黒柳徹子さんのノンフィクション自伝作品を映像化した作品。昭和15年、前の小学校を追い出されるかたちで新たに『トモエ学園』へ入学した”トットちゃん”。お転婆な彼女をおおらかに受け止める小林校長や大石先生、個性豊かな仲間たち。”自由な校風”の『トモエ学園』で楽しく過ごす時間を蝕むように、悲しみの足音が刻々と近づいて―。
★感想:同じ監督、同じ時代として『この世界の片隅に』を挙げるべきでは?と声も挙がりそうではある。それも承知。あくまで余力があれば。
子供の無邪気さに加え、物語後半に進むにつれ『不安感』を誘うストーリーラインがよく似ている作品なので紹介。路地裏に逃げ込んだ先のスローモーションの演出の不気味さよ。
『マイマイ』の貴伊子の家の雰囲気とトットちゃんの家の雰囲気がとても既視感があったなと。あと風の噂で『トットちゃん』も『つるばみ』も『新人が頑張ってる』という話を拝聴。そこから『もしかしてコントレールさん一枚噛んでる?』と思いエンドロールを確認。『製作協力』に社名が。
…同一人物だったら使いまわしされてないか心配。


2つ目は『作品に関わるメインスタッフの経歴』
公開されている(片渕監督含め)5名についての紹介。
ここからでも興味を持ってほしい。

・音楽:千住明
『黄泉がえり』『VIVANT』『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』
・作画監督:安藤雅司
『千と千尋の神隠し』『かぐや姫の物語』『君の名は。』『妄想代理人』
・美術監督:金子雄司
『キルラキル』『機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島』
『アイの歌声を聴かせて』『BLACKFOX』『ジョゼと虎と魚たち』
『ゴジラS.P<シンギュラポイント>※コンセプトアート』
・監督補:浦谷千恵
『MEMORIES』『マイマイ新子と千年の魔法』『この世界の片隅に』
・監督・原作・脚本:片渕須直
『名探偵ホームズ』『MEMORIES』『この世界の片隅に』
『マイマイ新子と千年の魔法』

なおパイロット版の英訳にロア〇プラ方面でお世話になった方を起用したそう…講義中飛び上がりそうになった。


3つ目最後『つるばみ色のなぎ子たち』のパイロットフィルム。
鑑賞後『史実を聞いた通りの平安京の映像だ』と心が躍った。
映像の解説をしようかとも思ったが、今回は控える。
みんなが大好きな場所が映像内に2か所、登場。私の推しの聖地も登場する。講義中飛び上がりそうになった(2度目)


『京都』という街が『平安京』と呼ばれた場所が決して雅で華やかではなかったことを知る人はどのくらいいるのだろう。

『洛中以外京都に非ず』という生粋の京都人の気持ちも分からなくはない。
『陰陽師・安倍晴明』も芥川龍之介の『羅生門』も生まれなかったと思う。

『つるばみ色』は『喪に服す』色。
誰のための『つるばみ色』であったのだろうか。
誰かのためだけの『つるばみ色』だったのだろうか。

『清少納言こそ、したり顔にいみじうはべりける人。』
と語る歌人の言葉はあまりにも有名。それ故の『落魄説』もあるほど。
しかし、それが『清少納言の真実』となりえるのだろうか。

監督曰く『”清少納言”を空想で埋めたくない』。

2年後の完成を目指す、と最初の講義で教えて頂いた。
これからの進展にますます目が離せない。

気付かれただろうか。
私たちは今、『古の道-朱雀大路』を辿ったのだ。


✾編集後記✾


改めて、おはようございます。
正直、話すことにとても困っています。

主催者様側から"熱意"をいつも受け取って帰ります。
『京都で生まれた作品を京都から発信したい。』
『若い人を中心に作品をもっと多くの人に知ってもらいたい』
※個人様企画の講習会です。

私も片渕監督の作品の凄まじさを世に伝えたい。
※現役の大学教授も舌を巻く監督の解析度はあまりにも有名。

ただなぁ…監督作品の周りになぁ…。
妖怪・あけすけどんどんが蔓延ってて見られてたら嫌だなと。
(´-`).。oO(ツガイであけすけどんどん…)
(´-`).。oO(こんな事言ってたら心の淀んだ人に”ちゃちゃ”入れられるかな…)

げにあさましきものどもかな。

既に監督自身の声で今作についての解説は世の中に出ています。
そこまで神経質にはならなくてもいいと考える一方。
どこまで『作品』を開示すればいいのか、苦慮しています。
貴重な資料も拝見しています。
私も監督の話を受けてフィールドワーク活動をしています。
あけすけどんどんにどんどんあけすけどんどんされちゃぁなぁ(白目)

多少の事で片渕監督の『作品の土台作り』に懸ける情熱は揺らがないはず。
これは監督自身のメッセージでもあり、私自身の言葉でもあります。

まずは『枕草子』を読め。
※自分で調べろ!京都を歩け!←私個人の意見

もしくは『文藝春秋 5月号(6000字弱)』を読め。
※その後オンライン連載予定の2万字弱の文章も読め!!←これは宣伝


今日も各々己が鍛錬に励むように!!以上!!
※訳:ここまで見て頂きありがとうございます。
 今日も良い一日をお過ごしください✿



今日のTOP画解説:『紫式部VS清少納言』



◎追記:ずっと気になっている事。
某ロア〇プラでUボートを研究してた人と。
『この世界の片隅に』で爆弾の投下の速度計算してた人と。
『つるばみ』で牛車の車輪の回転速度が合わないと嘆いてる人は同一人物なのだろうか…。お疲れ様です…。






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