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selfcareを、もしかすると雑多な日常のなかで、みんなが獲得できるものに保ちたいんだよ


ひさびさに心斎橋へ行くことがあった。トレンドっていうんでしょうか、歩いているだけで受け取るものが多い。東京にいると常にこんなモードになるのですが、関西では心斎橋の中心だけ同じようなモードになっていく。

目当ての店があり、心斎橋を代表するファッションビルへ行く。どうせならと一通りフロアをいちばん上の階からざっと見ようと向かう。上階、ワンフロアブチ抜きでウェルネスをテーマにしてた。わりと長い間、selfcareに興味があります。おお、すごいな。ボディコピーは「じぶんを、愛そう。」ふむふむ、必要ですよね。さすがだな。クリエイティブすごいなと感じ入ると同時に、どんな店舗が入っているのかを見て、どっとやるせない気持ちが押し寄せる。

骨格診断、一人ひとりの肌悩みに合わせ最適な「外用薬・内服薬」を組み合わせた治療を提案するメディカルブランド、スキンケアオンライン診療・・

・・なんだこれは?
わかる。あらゆるマーケティングで「うっ」となる違和感を持つのは、単純に「ぼくがターゲットではないから」だ。すべてのアウトプットがぼくに向けておこなわれているわけはない。だとしても。selfcareは資本主義に吸収されてしまっていいものなんでしょうか。


このファッションビルは長くカルチャーを発信し続けてきていることも知っている、敬意に近い気持ちもあります。心斎橋店は数年前にリニューアルしたと記憶しているのですが、めちゃくちゃかっこいいなといつも見ていたベンチャーに、おそらくビル側から声をかけ、スナック酒場のような取り組みをしていることも見ていた。すごい。尖ったベンチャーに(おそらく)お金を払い、物販をさせるわけでもなく、ただ、話す場所を提供する。この意思決定はなかなかできない。

だとしても、だ。selfcareが資本主義に吸収されていくのを見るの、ほんとうにやるせない。悲しいです。

いっぱいはたらくひとがおかねをたくさんはらい整形をして 清潔な空間でカウンセリングをうけ 薬を飲むことが「じぶんを、愛そう。」なの?ちがうでしょう ぜんぜんちがうでしょう。


すべてのクリエイティブは世の中へのメッセージだ。特に、このビルはそのようにしてカルチャーを生み、保たれてきたと思う。そのことに自負を持たれているとも思う。「selfcareは、たくさんはたらくひとがおかねをはらい整形をして 清潔な空間でカウンセリングをうけ 薬を飲むこと」というメッセージ、ほんとうにそれでいいのか・・?これが、みなさんの望まれるところなんでしょうか。


この仕事の残酷さ、無意識でやってるんだろうか。 従来なら横文字の肩書きのひとが着想し、まーけてぃんぐをし、コンセプトを決めあーとでいれくたーにを巻き込みリアルの場をつくっていく。そこに良心がはたらくことは奇跡だということは、もう、知っているので。ほんとうに。それで、いいの?

それともぼくが考えすぎなんだろうか。すべての仕事に背景を想像することができます。そこに込められているものを受けとりたい。丁寧なお仕事は語られなくても確かな、ひとをいかしていく存在感があるし、側だけきれいにつくられている仕事は「見られるところだけ美しければよい」というメッセージとして届いていくと思う。

日本におけるDV ードメスティック・バイオレンスにおける第一人者であられる森田ゆりさんは、「DVは、病気などと同じように公衆衛生の問題として取り扱われないといけないと思う。ひとが健康に生きていける権利を侵害するから」と話されている。森田さんの貢献も大きく、「女性側にも問題があるんだよ」と平気で話されていたDVは、はっきりと「被害者の存在がある問題」として取り扱われるようになった。


「DVは公衆衛生の話」という言葉、大きくうなずくと同時に、selfcareについても同じことを思う。自分を大切にすること。そのための生活のなかでの具体的な技術。それらを「たくさんはたらき、おかねをはらい」ということを可能なひとだけがアクセスできるものにしていいわけがないと思うのです。

みんなが自分を大切にできる社会になってほしい。すべての持続的なよきものは、そこにしか根差さないと思います。どうすればいいんだろうね。具体的に、みんながselfcareに接続できるようになるための一端には、なりたい。そこに人生の一部を投入したいと感じるトピックだ。どうしたらいいと思う?アイデアあればおしえてください。


すべてのクリエイティブはメッセージだ。そうは受けとらないひともいると思うし、そのひとたちが楽しく生きていけることはあたりまえに担保されていてほしい。が、ぼくが届けたいとおもうひとは、すべてのクリエイティブからメッセージを、もう、見つけるとかじゃない。自然と受けとってしまうようなひとたちが多いなと思うので。すべてのクリエイティブはメッセージ。胸に刻んでいたい。

このnoteが、骨格診断や一人ひとりの肌悩みに合わせ最適な外用薬・内服薬を組み合わせた治療を提案するメディカルブランドやスキンケアオンライン診療・・そういったものが「自分を、愛そう。」の具体的な中身なんですよーーと言外に伝えているひとたちに届いてほしいとは思っていない。けれど、彼らにこそ、selfcareをみんながアクセスできるものにする、その流れを担ってほしいと、これはぼくの願望がしゃべっているな。けれど、願わずにはいられない。

いろんなことを受けとりながら過ごす友人たち、どうかselfcareがありますように🌸

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