【柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師】を目指す学生が気をつけておくべきこと、やっておくべきこと
先日、卒業後の進路に悩んでいる鍼灸師の学生の方の話を聞き、他にも悩んでいる人がいるのかもしれないと考え、文章を綴ることにしました。
※こちらの記事は医療系国家資格を有していない方に向けた内容となります。
卒業後の進路を大きく分けると
開業
就職
の2つですが、
就職する人の方が多いと思います。
そこで、卒業後即戦力として働けるように、学生時代に
気をつけておくべきこと
やっておくべきこと
をお伝えします。
私のプロフィールはこちら。
初めに:国家試験合格はスタート地点に過ぎない
質問ですが、前者と後者どちらに当てはまりますか?
国家試験に合格するために必死
ツボとか五行色体表とか覚えるの大変
骨折の転位方向や受傷機転とかイメージできない
と学校の勉強で手一杯なのか。
学校のテストは簡単、もっと臨床の勉強をしたい
勉強が面白くて、教科書以外の本も読んでいる
国家試験は目標を叶えるための通過点に過ぎない
と強気でハングリーなのか。
卒業後希望のところに就職したり、開業をしてうまくいっている人は圧倒的に後者です。
※私の周りの人を見ての印象。
どうしてだと思いますか?
後者の人は卒業後のビジョンがしっかりしていて、勉強(努力)をすることの基準が高いんですよね。
卒業後は資格を持っていることが前提
国家試験合格後、リラクゼーションサロンや国家資格を有さない整体院等にに勤めるのなら別ですが、
病院
接骨院(鍼灸接骨院)
訪問マッサージやデイサービス
に施術スタッフ、機能訓練指導員として入職するのなら国家資格を持っていることが前提です。
職場では
「あなた資格を持ってるんだからそれなりの仕事をしてよね」
という期待をされるわけです。
もちろん、新卒1年目のスタッフに高いレベルのことは要求されないでしょうが、後輩を指導する立場として、
“国家試験合格のために必死だった人”
“卒業後のキャリアを考え国家試験に臨んだ人”
どちらに期待をよせるかは明白でしょう。
※国家試験合格のために必死だった人が卒業後活躍できないという意味ではないことを、ご理解お願いいたします。
以上を踏まえて、学生のうちに注意した方が良いことをお伝えします。
学校内の成績は“実力”を示すものでない可能性が…
失礼なことを伺いますが、学校の実技の点数の評価基準は適正ですか?
私の卒業校の話になるのですが、
普段の授業態度
教員の個人的な好き嫌い
手順通りに施術をできているか
で点数を決める教員がおりました。
印象に残っているのが「あなたには邪気がついている」と言い、特定の生徒を不合格にした教員がいることです。
1と3に関しては賛否両論ありそうですが、実技の試験に普段の授業態度を含めるのはおかしいと思うし、プリントに示してある手順を流れ作業的に行うことに何の意味があるのかと思います。
試験内容を、
〇〇の症状に対するツボを選び、一定のペースで灸をすえなさい
○○筋の起始、停止、支配神経を述べ〇〇°の角度で2㎝刺入しなさい
○○に対する徒手検査を実施後、施術時に気をつけることを述べ、マッサージをしなさい
のようにする方が生徒の思考力を磨き、且つ客観的に評価ができて良いと考えています。
定期試験の筆記問題は解いたことある問題ばかりじゃないですか?
定期試験の筆記問題は、
国家試験の過去問題
授業でおこなわれた小問題
「ここ出題します」といわれた所
がそのまま出題されることも珍しくはないでしょう。
要するに“問題と解答を丸暗記”するだけで点数が取れてしまうのです。
もちろん、要領を押さえるのは大事だし、過去問を解くことが国家試験合格の近道です。
しかし、丸暗記して点数をとることが習慣化してしまうと、自分で調べたり考えるクセが身につきません。
日頃から教科書は徹底的に読んでおくことをオススメします。
内容を理解することで応用問題にも対応ができ、卒業後臨床に活かすことができます。
続いて、学校で学んだ知識を長期記憶する方法をお伝えします。
学んだことを徹底的にアウトプット
学校で勉強したことは積極的に声に出して、発言するのがお勧めです。
例えば、
「肝経の原穴は太衝だ!」
「肩甲挙筋の停止は肩甲骨の上角だ!」
など。
口に出すことで脳が記憶に結び付けます。
また、学校の先生には積極的に質問をするのがオススメです。
質問をすることで知識が深まり、どうして理解できなかったのかに気づくきっかけとなります。
オリジナルの問題を作ってクラスメイトと出題しあうのも良いでしょう。
互いの知識の共有になり、クラス全体の学力の底上げになります。
アルバイトは学んだことを発信できる環境がオススメ
フィットネスクラブでのアルバイトをオススメします。
フィットネスクラブには、
腰・膝・肩の痛みを改善したい
病院から痩せなさいと言われた
筋力(体力)をつけたい
などの目的の方が多いので、解剖学・生理学・臨床医学各論などの知識を相手が分かりやすいように伝える(発信)場として最適なんですよね。
※もちろん学生ということを伝えて、分からないことは「勉強不足です。学校の先生に聞いてきます」と答えるのが筋ですよ。
学生のうちからお客さんや職場のスタッフに実力を認めてもらえたら、卒業後パーソナルトレーナー兼施術スタッフとして仕事をもらえるかもしれませんからね。
ちなみに私はあん摩マッサージ指圧師・鍼灸師の学生時代の3年間は、柔道整復師の資格を活かしてフィットネスクラブで働いていました。
週に10本近くのスタジオレッスンを担当して学んだことを人前で発信したり、完全予約制で自費の施術をしたりと貴重な経験を積むことができました。
技術の練習はイヤというほどしておいた方が良い
家族、クラスメイト、友人、職場のスタッフ。
あらゆる人に練習相手になってもらいましょう。
当然のことを言いますが、技術をレベルアップさせるためには反復練習が必要です。
そして練習をした後は必ず、フィードバックをもらいましょう。
テーピングや包帯の圧迫は強過ぎないのか
鍼を打つときは痛くなかったか
マッサージは気持ちが良かったか
など。
忖度なしで感想を伝えてもらうことで、改善点が見つかります。
※鍼に関しては気胸を起こしたり、内臓を損傷させてしまうと大変危険です。学校で習ったこと以上のことはしない方が賢明です。
2年生の後半にもなると基礎学力や基礎技術が高まっていると思うので、
問診→施術→施術後の状態の確認
までの流れで練習するのが良いでしょう。
最後:就活について
卒業後、どのような環境に従事するかは施術者としての人生を決めると言っても大袈裟ではないと考えています。
明確なビジョンが定まらず、なんとなく就職してしまうと
やりたいことと違う
数字のことばっかり言われてイヤだ
なんのために資格を取ったのか分からない
などの思いをして、仕事に楽しみを見つけることができません。
100%やりたいことが決まっていなくて良いと思います。例えば、
「スポーツに関わりたい」
「美容鍼灸がしたい」
「寝たきりで困っている人を少しでも楽にしてあげたい」
など、興味がある分野の情報を学生のうちに得ることが大切です。
手段としては、
企業説明会に参加
SNSで気になる先生にメッセージを送る
学校の先生を頼りに卒業生の職場を見学させてもらう
などの方法があります。
卒業後、楽しんで仕事ができる環境を学生のうちから探しておきましょう。
志ある方が長く施術者を続けられますように
立派なことを書いてきましたが、「お前は卒業後どうやってん?」と突っ込まれそうなので、少し私の話に触れておきます。
私は柔道整復師の国家試験合格後、3ヶ月の間に2ヶ所接骨院を退職しています。
退職した接骨院の特徴は、
テーピング、包帯を一切使わない
全ての患者に同じ説明、同じ施術をする
患者に「こんなアホ雇って後悔してます」と言い、僕をバカにする
でした。
退職後、業界に嫌気がさし本気で転職を考えました。
その後、良い師匠に巡り会ったおかげで業界に留まり、開業に至ることができました。
私の場合は運が良かったのですが、同じように嫌気がさし業界を立ち去った同級生もいます。
私を含め、業界を過ぎ去った人の共通点は
“国家試験合格のことしか考えていない”
でした。
同じ思いをする人が1人でも減れば嬉しいと思い、今回の記事の作成に至りました。
施術に関することや業界に関することはTwitterでも発信しているので、気軽にフォロー・質問していただけると嬉しいです。
つたない文章に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
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