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たかともの詩集 1

39
発達障がいを抱えながら、音楽のある生活を楽しんでいます。 そんなたかともの、作曲中に生まれた詩集を作ってみようと思います。 ぜひ、ご覧ください😃
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記事一覧

【詩】水たまり

【詩】水たまり

お日さまが お片付けしわすれた
水たまりが ひとつ ぽつん
落ち葉が泳いでプールになった
のぎつね 口つけ 泉になった
お日さま 途中で気づいたけれど
忘れたままでいてくれた
雨のち晴れた 初夏の昼過ぎ

【詩】 はしゃぐ屋根

【詩】 はしゃぐ屋根

物置小屋の屋根が
風に吹かれて バンザイしてる
手を叩きながら わらっている
バタンバタンと まあ はしゃぐ
釘を刺しておいた方が
いいかもしれない

【詩】夢を浮かべて

【詩】夢を浮かべて

海辺の古い家の窓から
青い景色が見えるのです
指先についた汚れを横目に
視線を前に戻します

この部屋の窓からは
大きな海が広がります
ホコリと一緒に光を受けて
遠くに浮かぶ船を数えます

潮の香りを感じながら
カモメを目で追いかけて
波音に耳を澄ませれば
ほんの少しの幸せ感じます

今日は良い天気です
この窓の景色が好きです
水平線の向こう その先は
僕にしか見えない世界が広がるのです

【詩】流氷

【詩】流氷

流氷 気ままにプカプカ
岸にもたれ 無邪気な白
母に抱きつく
子どものように

【詩】ドーナツ

【詩】ドーナツ

甥っ子とドーナツ
二人でモグモグ食べながら
「どうしてドーナツって
おいしんだろうね?」
って僕が言ったら
そしたら 甥っ子
「どうしてなんだろうね」って
笑いながら歩き回って
色んな人に聞きはじめた
「どうしてドーナツって
おいしいんだろうね?」
小さな不思議と
食べかすをこぼしながら

クナシリ

クナシリ

遠い海の向こう
うっすらと見えたクナシリ
晴れた日の午後
青と静けさの中
漂う 怒りと叫び
音を立てず「返せ」と
看板が無数に並び 訴える
目に見えぬだけで
この町は戦火に燃えている

何も知らぬ私が
平和を願ったところで
浅はかだ
私の願う平和とは
ただ 私が無事でありたいだけ

凍るほどの
哀しい先人達の涙が
降り積もった その雪の下
どんな化け物が眠っているのか
問われている 
あのうっすら

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白樺さん

白樺さん

雪になりたい 白樺さん
真似して白く なってみた
素直な子だから すぐ伸びる
皆んなもつられて 白くなる
無邪気ないのち 北の森で

つらら

つらら

冷たい言葉を
浴び続けたら
降った涙は つららになる
まつ毛をつたう 凍った棘
涙のたび 鋭利になって
顔を傷つける
その つららを溶かすには
暖かい言葉がいる
しかしきっと
私のではなく

玉ねぎ畑

玉ねぎ畑

青い空と 神社へ向かう白サギと
流れる雲が 少し早いだろうか

スマートホンは 使用禁止
大事なのは "今"

何も考えず 今を見れば
玉ねぎ畑が目に映るだけ

あれほど 騒がしかったこの頭も
この景色に見惚れたか

何も考えず 今を見れば
玉ねぎ畑が目に映るだけ

マトリョシカ

マトリョシカ

玉ねぎは マトリョシカ
むいて むいて マトリョシカ
食べる時は 一口だ
作るのには 一年だ

畑一面 マトリョシカ
秋の実 コロコロ マトリョシカ
いつか ご飯に 迎えたら
色んな苦労を 一口で

国後島が見える

国後島が見える

海風の 静けさの中に
響く叫び
「返せ」「返せ」
怒りが飛び交う

目に見える距離
あの場所に 奪われた
誰かの故郷がある

別海の資料館に
飾られた ロシア人の子と
日本人たちの写真

このロシアの子にとっては
国後は故郷なのか
何も知らない彼女からすれば
「返せ」は「よこせ」
なのだろうか

ああ 戦争は終わっていない
まだ 続いている 恨みの連鎖

薪ストーブ

薪ストーブ

薪は知らなかった
ほんの少しの火で
自分がここまで
熱く 燃え上がる事を

火がそっと 触れるだけで
波紋のように 熱くなり
人の心に また広がる

薪と火とストーブと
みんなで力を合わせれば
あたたかい薪ストーブになれる
パチパチ元気に
音を鳴らして

一本の大きな木から

一本の大きな木から

スズメ ヒヨドリ カラス
一本の木に
羽の色も関係なく
小鳥たちが休む
誰も喧嘩することなく

下を向いてしまうような
冬の冷たい風
彼らは 首をうずめて耐えていた

それに比べてどうだ 人間は
感情的に心を傷つけ合い
銃を突きつけ脅し
平和という言葉を使って
意見を通そうとする

鳥たちの目には
人間が
どのように 映っているのだろうか

あなたに

あなたに

ぼくの歌は届くだろうか
ギターの音色は届くだろうか

耳の聞こえないあなたに

人々の頭の間から
顔を覗かせて
あなたは静かに笑って
手を叩いてくれた

ああ あなたの目は
誰よりも綺麗に
心に通じているんだね
春の日の 長閑な道のように