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息子に読み聞かせる。

回を追うごとにプレッシャーを感じている。
風当たりも強い。
D通北海道のS野さんが
「ああ、東井のあの内輪受けのブログ?」
と言っていたらしい。
あの人はそんなこと言いながら、ちゃんと読みに来てそうで怖い。
しかも、「いいね!」とか「スキ」とかを押さずに。

そうか、すべての陰謀はD通によって仕組まれているんだった。
私のnoteが回を追うごとに「スキ」が減っているのも、
息子がいまだに私のことをパパと呼ばず
今日は指差して呼んだと思ったら「マンマ!」と叫んだことも、
すべて陰謀にちがいない。
(冗談ですよ…。D通様にはいつもお世話になっています)

そのせいか、昨夜は電通北海道に舞い戻り、
新入社員に敬語を使って話している夢を見た。
なんの暗示なんだろう。

2回目のnoteでこんなことを書いたもんだから、

ウ●コピーライターと呼ばれていないか不安が募る。

そして前回3回目のnoteはコピーライターとしての実力が足りていないことを
カミングアウトしたようなものだ。


アピールも兼ねてnoteを始めたのに逆効果というやつではないか。
ここらで挽回しなければ。
もっと自分の土俵で戦えるネタを…。

そうだ、絵本の話をしよう。
コピーライターに今求められるスキルのひとつがStory Tellingだ。
言葉によってさまざまなメッセージを紡いでいき、
ブランドの世界観を構築すること。
まさに絵本と通ずるところがある。
何より絵本の読み聞かせに言及すれば、
なんとなく育児をやっている感が増して、好感度も爆上がりだ。
幸か不幸か、妻は本に関わる仕事をしているので、
家にはそれなりの本があり、絵本もかなりの冊数揃っている。

まず息子が食いついたのが「はらぺこあおむし」だ。

これは仕事仲間のアートディレクターから出産祝いでもらったもの。
絵本とぬいぐるみのセットだ。
「子どもはみんな、これ大好きなんですよ!」
と二人の子どもを育ててる彼のお墨付き。

確かに息子も気に入ったようだ。
まず、セットのぬいぐるみにご執心だった。
息子のヨダレを吸いまくって、
心なしかはらぺこじゃないように見える。
飲食店に連れて行った時にグズり始めたら、
このぬいぐるみをスッと差し出すと大人しくなる。
効果絶大。最初はとても重宝していた。

しかし、物事には光と影がある。

ほどなくして絵本自体にも興味を示し始めた息子。
手にした絵本をブンブン振り回しながら、
私のもとに駆け寄ってくる。
はじめのうちは
「おお、よしよし。お父さんが読んであげよう」
と喜んでいたのだが、
彼の要求は徐々にエスカレートしてくる。
何度も何度もはらぺこあおむしを持ってきて、
読め読めとせびるのだ。
ガニ股でこちらに向かってきて執拗に督促する様は、
さながらショバ代をせびるヤ●ザのようだ。
あまりに繰り返すもんだから、
「そんなに何度も読んだら
はらぺこあおむしが、はらぺこじゃなくなるだろ!」

と謎の理屈を繰り出してしまった。
我ながら大人気ない。

息子は次第に他の本にも興味を持ち始める。
そのひとつが、これだ。

長新太のベストセラーだ。
最初と最後のページ以外の文章は、すべて
「ごろごろにゃーん ごろごろにゃーん と ひこうきはとんでいきます」
という奇抜な一冊。
ストーリーもあってないようなものだ。

これを息子に何度も読んでくれとせがまれると、こうなる。

「ごろごろにゃーん ごろごろにゃーん と ひこうきはとんでいきます」
「ごろごろにゃーん ごろごろにゃーん と ひこうきはとんでいきます」
「ごろごろにゃーん ごろごろにゃーん と ひこうきはとんでいきます」
「ごろごろにゃーん ごろごろにゃーん と ひこうきはとんでいきます」
「ごろごろにゃーん ごろごろにゃーん と ひこうきはとんでいきます」
「ごろごろにゃーん ごろごろにゃーん と ひこうきはとんでいきます」
「ごろごろにゃーん ごろごろにゃーん と ひこうきはとんでいきます」

発狂しそうだ。
最後のほうは読み上げる声が高くなってくる。

今、Amazonの商品説明を見ていたらこんな記載があった。

出版社からのコメント
「猫はふだんから鳥とかを見ていて、『空を飛んでみたいなあ』と思っているんですよ」この絵本の作者、長新太さんは語ります。刊行されてから、大人たちの困惑抗議が殺到し、子どもたちからの圧倒的な支持をもって迎えられた究極のナンセンス絵本、そのテキストの90%を占める「ごろごろにゃーん」という言葉は、猫の声と飛行機の音をかけて考えだしたそうです。 この絵本、一度お子さんに読んでみてあげてください。きっと思いもよらない反応を示してくれることでしょう。 読んであげるなら:2才から

「大人たちからの困惑抗議が殺到し」
なぜ、うちの妻はこんな本を買ってきたんだ。

さらに私を困惑させるのが英語の絵本だ。
絵本棚には妻がどこからか仕入れてきた英語の絵本が数冊ある。

これを手にとって目を輝かせながら、息子が駆けてくる。
仕方ないから声に出して読むわけだが、
とはいえ、下手な発音では教育上よろしくなかろう。
何を隠そう私は大学時代にイギリスに語学留学していた。
TOEICも865点だ(ただし2002年当時)。
過去の栄光。昔取った杵柄。
「ゲナイ・ムゥーン(GOODNIGHT MOON)」
とイングランドなまりの英語で読み上げてみた。
息子が真顔だ。
「はらぺこあおむし」や「ごろごろにゃーん」と違って
明らかに反応が悪い。
数ページで、どっか行ってしまった。
残されたのは、すっかり本場の発音を忘れてしまい、
カタカナ英語をロボットのように連呼する42歳男性の姿だった。

ところで、「クリエイティブ業界あるある」として、
大体みんな絵本を作り始めるということはないだろうか。
(別にディスってはいません)
確かに絵本を読んでいると、
「これなら、私でも書けるのでは…」と思えてくる。
例えば、あの世界的巨匠ディック・ブルーナの
「うさこちゃんとどうぶつえん」
つまりミッフィーの絵本。

こんな始まり方だ。

「あるひ とうさんが いいました『おい うさこちゃん とうさんは
どうぶつえんへ いこうかとおもってるんだが いっしょにくるかい?』」

えらい唐突だな。
うさこちゃんが断ったら、父さんは一人で動物園に行くのか。

それに対してうさこちゃんは

「『どうぶつえん!』と うさこちゃん。
『うれしい うれしい ばんざあい!
でも どうぶつえんまでは あるけない。
とうさん きしゃで いきましょう』」

うさこちゃん、冷静な判断&提案が的確すぎるだろ。

もし若手コピーライターとかにストーリーを考えるお題を出したとして、
こういう文章を打ち合わせに持ってきたら、
書かれた紙を人差し指と親指でつまんで、
「あのさぁ、これ何?」
と真顔でガチ詰めするところだ。

世界的巨匠でさえこの有様だ。
これなら、このnoteに挿絵を提供してくれている前田麦氏と
絵本を作れば勝算があるのではないか。
麦氏も
「ああ、ディックね。まあ、彼も頑張っていたよね」
と上から目線で言ってた気がするし。

大人にとっても子どもにとっても
読んでいて面白い絵本は作れないだろうか。
普遍性があって、示唆に富んでおり、
何度も読めて、新たな発見がある。
親しみもあり、新しさもある、そんな絵本を…。
そう麦氏に持ちかけたら原案が上がってきた。










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やっぱりな…。
(マッチについては、前回のnote参照)

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