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逃げる 又は 手放すことの大切さ

キャリアコンサルタントの案件として、転職の相談はよく受けます
また、カウンセリングの流れでクライエントの環境改善のため、転職や転居を示唆することも儘あります
とかく生き辛い世の中ですから

しかしそういうクライエントの中には、「今の職場が合わないので転職したいが逃げる(
あるいは負ける)ようでなんか嫌だ」となかなか実行に移せない方が一定数おられます

今回は、そんな方々に向けてのお話です

この言葉は、転職をしたいと思っていても、なかなか踏ん切りがつかないような時に比較的よく言われる言葉ですね

このように、ご自身の葛藤を言葉にできる事は非常に良い傾向で、それなりに気持ちを整理できていて、それを表現できるゆとりがあると感じられます

これが心にゆとりが無かったりメンタルレベルが落ちていると、「転職したい」(と思いながら動けない)、あるいは「職場が合わない」(だけどどうして良いか分からない)という無自覚の言葉足らずで終始してしまう方が多く、面談を続けていくことで初めて葛藤しているご自身に気づくという方もおられます

しかし、「逃げてるようでなんか嫌だ」という言葉

この場合クライエントにとっては「逃げる」は「嫌」なイメージなのでしょうが、これに違和感を感じます
なので、この違和感をクライエントご自身に気づいてもらうことが、次のステップになります

本来、人だけでなく他の動物にしても、危険からの逃避は立派な生存戦術です
火事から逃げる、身の危険を感じて逃げる、どれも自然な行動です
ですから、「逃げる」事自体に「嫌」というイメージは直接には結びつきません

すると、クライエントが「逃げる」という言葉で表しているものは、実は本人も自覚していない別の忌避すべきものが隠されているのでは?と想像するのです

例えば、一般に逃げたり避けたり諦めたりすることは、弱さの表れだと言われます
だから、「逃げる」は「自分の弱さから逃げる」事かもしれません

また弱さは、「弱肉強食」という言葉にも繋がります
強者が勝って何かを得る 弱者は負けて何かを失うということです

このように、「逃げてるようでなんか嫌だ」と思っている人は、実は「弱さから逃げるのが嫌だ」、「弱いのが嫌だ」、「負けるのが嫌だ」、あるいは「負けて失うことが嫌だ」と思っているのを、無意識下で言い換えているのではないでしょうか、と考えるわけです

ここまでは、クライエントご自身が自己内省と自己理解によってしか判別することはできません

なので面談する際には、初期段階でこれらクライエントの持つ「漠然とした不安や不明瞭な理由による手詰まり感」を明確化して言語化するよう支援していくことになります

転職することで、誰が貴方を弱いと思うのか?その人から弱いと思われてどんなデメリットが発生するのか?
また、何に対して負けるのが嫌なのか?そしてその勝負に負けることで何を失うのか?失ったことでどんなデメリットが生じるのか?

これらを一つ一つ丁寧にクライエントの理性に問いかけていき、クライエントご自身に考えてもらい箇条書きにすることで言語化し、できればそれぞれ項目と-10~10の段階で定量化して示してもらいます

次に、転職に至るまでのクライエントの認識というか、こだわりが本当にクライエントにとって重要なものなのか、心の安寧やモチベーションを復活させるために必須のものなのかを確かめていきます

詳しくは、以前書いたこちらのページを読んでいただければと思うのですが、要するに認知の固定化というか信じ込んでいたものを、柔らかい思考で再認識するために少し視点を変えることを提案することもあります


ここまでくれば、クライエントが抱えていた問題は、転職することでしか解決しないのか、あるいは別の解決策があるのか、はたまた解決する必要がなかったものなのか、その結果として考えていた転職の是非などを、比較的建設的に再考することが可能となると思います

更に言えば、前述のように言語化する際に「逃げる」「負ける」「諦める」等の表現ではなく、「捨てる」「手放す」「放る」「選択する」等の表現を推奨しています

何事も自分自身の行為を否定的に捉えると、罪悪感や自己嫌悪感がまとわりつきます

ですので、その行為自体を積極的に肯定して「要らないものを捨てる」「意にそぐわないものを手放す」等の表現に切り替えてもらうことで、罪悪感や自己嫌悪から距離をおいてもらいます

このようにしていけば、自分一人で転職まで思い至るまでの問題の発見と、今後の行動指針の決定までは行けると思います
あとは実行&行動あるのみです

そして、もし現職の環境個人としてのメンタルレベルに問題があって前述のプロセスを上手くこなせない場合は、キャリアコンサルタントをご利用ください

問題の対処方法や転職に向けての適性や仕事興味の確認など、ご本人にとって納得できる将来に向けて支援することでしょう

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