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STRAIGHTENERとTravisに思う、積み重ねた先にのみ在る音

4年前くらいだったか、
YouTubeで何となくライブ映像をサーフィンしていて、
ベーシスト 日向秀和 ~ひなっち~ に目が止まった。
STRAIGHTENERが野外の会場でライブをしている映像だった。

私は、Art-Schoolというバンドが大好きである。
それについてはまた別の機会に書くが、
ベーシスト日向秀和といえば、
Art-Schoolの最初期を築き上げたメンバーであり、ベースを低く構え、ピック弾きで、ゴリゴリの攻撃的な音を奏でる、そして、ちょっと日本人離れしたくらいに、エモーショナルで、常に生きた音を出すベーシスト、
そんなイメージを私は持っていた。

YouTubeをサーフィンしていて目に止まった日向秀和は、
スラップで曲を彩っていた。そして、笑顔が輝く好青年、というイメージがピッタリだった。

「あっ、カッコイイ」とシンプルに私は思い、
「あぁ、この人は、進化する人なんだ。ゴリゴリのベースを貫く人かと勝手に想像してたけど、なるほどな~」と、
何度もその映像を見た。
そして、
STRAIGHTENERというバンドそのものに興味が湧き(存在自体は、2人体制でやっていた頃から知っていた)、
そのままYouTubeでいくつか曲を検索していった。

そして、
「シーグラス」という曲にハマっていった。

私は、「シーグラス」が入っているアルバム『COLD DISC』を買い、
何度も繰り返し聴いた。
聴けば聴くほど、
味わいが私の中で広がっていった。

COLD DISC / STRAIGHTENER

まず、
Vocal  ホリエアツシ の歌声の奥深さを感じずにはいられなかった。

ホリエアツシの声は、そもそも「歌手」としてインパクトのあるような声かというと、そんなことはなく(あくまで私の主観)、普通の声というか、
でも、だからこそ、
10年20年と一途に歌い続けてきたことを証明するかのような深みが、そこにはあった。

「カッコイイ…」
「長い年月を経た凄みが、声に表れとるなぁ…」
「節度をわきまえとるけど、躍動しとるでぇ」
「真っすぐじゃのぉ…」

たちまち、私は、ホリエアツシのファンになった。

2000年代初期、2人体制だった頃のSTRAIGHTENER、雑誌とかで評判なんかは目にしていて、「この2人、凄い強い意志を持っとるなぁ」と私は思っていたのだが、20年近く経ち、ホリエアツシの声に触れ、「いや、ホンマ、一途だわ、かっこええなぁ」と思った。

そして、
曲に対する、楽器陣のアプローチ、実際の音、仕上がり、そこら辺に対し、
私は、心の底から、うなった…。



スコットランドのバンド、
Travis、
私はこの美しきバンドが好きである。
2010年頃だったか、
アルバム『シングルス』を買い、
繰り返し聴いていた。
まず、「Sing」という曲の独特な空気感に心を奪われ、
そして、「Flowers In The Window」という曲で、ノックダウン。
とても綺麗な曲だ。曲の入りからして美しい。

2013年、『WHERE YOU STAND』というアルバムが出て、
私は、即、CDを買った。

WHERE YOU STAND / TRAVIS

このアルバム、
全曲に一貫した空気感があって、
アルバムを通して私は大好きなのだが、
私の中で、
春という時期、特に5月あたりに聴きたくなる作品なのだ。
5月の初旬、ポカポカ陽気の午後に外を歩いていると、私はこのアルバムを聴きたくなる。
そんな唯一無二の存在感を放っている。

2016年には、『Everything At Once』というアルバムが出た。
私は、即、CDを買った。

Everything At Once / TRAVIS

このアルバムを、何度も繰り返し聴いてる内に、
私の頭には、
STRAIGHTENENRのアルバム『COLD DISC』が浮かんできた。

「あのとき思ったことと同じだな…」




曲に対する、楽器陣のアプローチ、実際の音、仕上がり、そこら辺に対し、
私はこう思った。

「あぁ…、これは…、即席で出せるような音像じゃないなぁ…」

まず、
曲のアレンジ、
ドラム・ギター・ベース、それぞれ、いろんなアプローチを試してるな、
「こうやったらどうだろう?」
「こっちはどう?」
「ドラムがこうならベースはどうくる?」
いろいろ試し、しかも、
1度良いと思ったことも、ある程度寝かせて、時間を置いてからまたじっくり聴いてみて、
という作業をじっくりやってるな。

まぁ、そういう点は、当たり前のこととして、
そこではなく、

『これは、何年も一緒に試行錯誤、切磋琢磨してきたメンバーだからこそ出せる音だな…』
と、私は強く思った。

例えば、
世間的に多くの人から絶賛されているようなボーカル・ギタリスト・ベーシスト・ドラマーが集まり、
一緒にバンドを組み、
1枚のアルバムをつくったとしよう。
ドリームバンドだ。
そりゃあ、良いものができるだろう。
しかし、
STRAIGHTENERのアルバム「COLD DISC」
Travisのアルバム「Everything At Once」
には、
絶対かなわない!(いや、私の主観ね)

一朝一夕で作れるようなもんじゃない!

同じメンバーで長年一緒に『経験値』を積んで初めて到達できる領域!!



ホリエアツシの年季の入った歌声、
1人の人間がそれを成すことは、まぁそれぞれで可能ではあろう。

しかし、
4人もの人間がチームとしてそれを成すことが、どれほど難しいことか!!
有り、難いことか!

STRAIGHTENERもTravisも、
きっと、
メンバー同士お互いがお互いに尊敬の念を持ち、本当に信頼し合って、
曲作りに対しそれぞれが真摯に向き合っていると、私は思っている。
アルバム内の曲に、おざなりの曲なんてなく、1曲1曲丁寧に生み出していると、私は感じている。
「必ず前作を超えるモノをつくる」「今までで最高の作品にする」という思いをメンバー間で当たり前のように共有、そして、
「自分達の作り出す世界の可能性はまだまだこんなもんじゃない。まだまだイケるはずだ」と、常に新たな可能性を切り開こうとしている。私はそう感じる。
そうじゃなきゃ、あんな音像つくれない!


やっぱり音楽は、
その向こうにいるアーティストは、
私に、
人生を教えてくれる。

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