マガジンのカバー画像

追悼:筒美京平

13
筒美京平さん追悼で、関連する記事を書いていきます。
運営しているクリエイター

記事一覧

「筒美京平の記憶」出版記念トークショーを4月25日にやります

「筒美京平の記憶」出版記念トークショーを4月25日にやります

コロナでなかなかイベントができませんでしたが、久々にやります。

ミュージック・マガジン社から出た「筒美京平の記憶」の出版記念として、同書を監修した馬飼野元宏さん、ライター、そして編集協力として関わった真鍋新一さん、そして、いくつかの記事を執筆した池上で、京平さんの音楽から取材の裏側まで、レコードを聴きながらいろいろ語ります。

近年は歌謡曲の聴き方も変わってきて、作詞家、作曲家はもちろん、編曲家

もっとみる
「筒美京平の世界 in コンサート」が壮絶だった件

「筒美京平の世界 in コンサート」が壮絶だった件

京平さんのコンサート、2日目に行ってまいりました。
ヒロリンが出る方ね。
これがものすごい内容で。"壮絶"と言ってもいい。
なぜ"壮絶"だったのか、書いておきます。

まず、そのボリューム。17時スタート、21時まえに終了。2部構成で正味3時間半くらいかな。何曲やったんだろ?数えてないけど40曲くらいやったのかも。それを矢継ぎ早に演奏していくわけです。バンドは落ち着く暇もないですよね。

で、オム

もっとみる
008 沖田浩之「俺をよろしく」(1981年)

008 沖田浩之「俺をよろしく」(1981年)

作詞:阿木燿子 作曲:筒美京平 編曲:鷺巣詩郎

京平さんの曲って、なんでこんなパートがくっついてるの?ってのたまにありません?京平さんがいろんなレコードを聴いてそこからネタを拾ってくることは良く知られてますが、どうしてもそのネタを使いたかったんだろうなぁっていう結果なのかなと想像しているのですが。

ヒロくんの4枚目のシングルは、曲は普通のアイドルポップスといったらアレだけど、けっこうそつなく作

もっとみる
007 柏原よしえ「あの場所から」(1982年)

007 柏原よしえ「あの場所から」(1982年)

作詞:山上路夫 作曲:筒美京平 編曲:高田弘

柏原よしえの最初のヒットといえば「ハロー・グッバイ」(81年)で、聖子と同期の80年デビューでありながら、7枚目のシングルでようやくのヒットでした。しかも、カヴァー曲。原曲はアグネス・チャンのシングルB面曲で、それを讃岐裕子がカヴァーし(77年)、その讃岐版を柏原がカヴァーという、3度目の正直で日の目を見た曲でした。

その翌年、10枚目のシングルと

もっとみる
006 渡辺桂子「赤道直下型の誘惑」(1984年)

006 渡辺桂子「赤道直下型の誘惑」(1984年)

作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平 編曲:大谷和夫

先日、筒美京平さん追悼と銘打って、京平さんの曲だけをかけるDJパーティーをやりました。その時に、歌謡曲ライターとして有名な馬飼野元宏さんがかけたのがコレ。

実はイントロが、先日ここで書いた小川みき「燃える渚」からの引用なんです。もちろん、馬飼野さんも「燃える渚」に続けてこれをかけてました。実は僕も同じこと狙ってこの盤を持って行ってたんです。ちょっ

もっとみる
005 平山三紀/あなたが来る店

005 平山三紀/あなたが来る店

作詞:荒井由実 作曲:筒美京平 編曲:萩田光雄

両面とも荒井時代のユーミンが作詞していることで知られるシングルです。
A面の「やさしい都会」はまた今度に譲るとして、今回はB面に収録の「あなたが来る店」を。

ソニー移籍後は、「熟れた果実」など、フィリー・ソウル的なアレンジの楽曲が印象に残りますが、この曲はその最たるもの。
フィリーというより、かなりイケイケなディスコ的な楽曲といったほうがいいかも

もっとみる
004 近藤真彦/ふられてBANZAI(1982年)

004 近藤真彦/ふられてBANZAI(1982年)

作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:後藤次利

マッチの曲の中でもあまり語られることがない曲だと思うんですが。
こういう曲こそが京平さんの真骨頂だと思うんですよ。

元ネタはサム&デイヴ「Hold On I'm Coming」ですね。
まず歌い出しのAメロは、跳ねたリズムと反復するコード進行。
前半の4小節はシンプルな下降メロですが、後半の5〜6小節でいきなり高音に飛ばすメロが出て来る。
タツロー

もっとみる
003 奥田圭子/Single Woman(1987年)

003 奥田圭子/Single Woman(1987年)

作詞:松本隆 作曲:筒美京平 編曲:鷺巣詩郎

個人的に筒美京平と言ってまず思い浮かぶのがコレなんですよね。大好きな曲で。

奥田圭子は、今となっては「夢ください」よりも、氷室京介作曲/布袋寅泰編曲の「プラスティック」を歌った元バンギャルとして有名かも。

ラスト・シングルとなったこの曲は、英国系ブルーアイド・ソウル風のオシャレなナンバー。

鷺巣詩郎のアレンジは、スタイリッシュでありながらいろい

もっとみる
002 小川みき/燃える渚(1973年)

002 小川みき/燃える渚(1973年)

作詞:安井かずみ 作曲・編曲:筒美京平

ベースラインのリフが超カッコいいグルーヴ歌謡の大傑作。

同じく小川みきの前シングル「雨の中のくちづけ」のB面に収録されていた「小さな過去」の歌詞を変えてリメイクしたもので、後にヘレン笹野が「初恋同士」とタイトルを変えてカヴァー、というめんどくさい履歴を持った曲。さらにジャケも2種類ある。歌のうまさ、アレンジの完成度も含めて、これかいちばん良い出来です。

もっとみる
001 松本伊代/ポニーテイルは結ばない(1985年)

001 松本伊代/ポニーテイルは結ばない(1985年)

作詞:売野雅勇 作曲:筒美京平 編曲:萩田光雄

京平さんの曲をいろいろ聴き返していて、これがすごく響いちゃったので紹介します。

伊代ちゃんが大人路線に転換する少し前の作品で、ロッカバラードの名曲です。
京平さんの曲は特に凝ったところはないんですが、典型的なロッカバラードにならない、歌詞の物語を運ぶメロディの良さが素晴らしいです。

で、売野さんの歌詞がイイんです。

夏の終わりの別れの歌なんで

もっとみる
少年隊「仮面舞踏会」/ザ・ベストテン 1986年出演時の演出の謎

少年隊「仮面舞踏会」/ザ・ベストテン 1986年出演時の演出の謎

京平さん(僕は先生とは呼びません。弟子でもない奴に先生とは呼ばれたくないかもしれないので)が亡くなって、SNSのTL上は京平さんの話で溢れています。

そんな中で見つけた動画。
少年隊が1985年の年末に「仮面舞踏会」デビューして、1位を爆走中だった頃にザ・ベストテンに出演したときの映像です。
5週連続1位(おそらく初登場1位)ということは、リリースから1月半ほど経った頃でしょうか。
作詞はちあき

もっとみる
追悼:筒美京平さん

追悼:筒美京平さん

90年代半ば、渋谷系の隣で、初めて歌謡曲の再評価が始まった。
その時、<歌謡曲>は<昭和歌謡>になった。
つまり、歌謡曲の再発見だ。

その時の価値基準はサウンドだった。
それは筒美京平が行った歌謡曲のサウンド感覚の革命が音楽的な評価をされた瞬間だった。
ここで初めて歌謡曲のサウンドが語られ、歌謡曲=メロディという呪縛から解き放たれたんだと思う。
それがなければおそらくDJが和モノをかけることもな

もっとみる