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運命にまつわる話

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運命にまつわるお話をまとめています。ここにある作品で解説が欲しいなと思われた方はリクエストしてください。1000文字程度の解説を付けて後程有料記事として公開いたします。有料記事は… もっと読む
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ドア

 激安スーパーのバイトを終え、廃棄弁当を一つもらって帰宅中の私は、おかしなものを見つけた。  いつもの帰り道、歩道のど真ん中に……、ドアがある!!  ええ?!なに、これ!!  ちょーウケるんですけど!!!  アスファルトの上に、ドアだけが立ってる!!  枠も何もないから、ど○でもドアよりも貧弱っていうか!!  こんな目立つ場所に、一体だれが!!  ……もっと近くで見てみよ!!  ドアに駆け寄って、まじまじと観察をば。  古めかしいドアノブの付いた、茶色いドア…何こ

ドア

 仕事を終え、コンビニでメシを買って帰宅しようとした俺は、おかしなことに気が付いた。  いつも歩き慣れている、歩道のど真ん中に……、ドアがある。  ……なんだ、これは。  アスファルトの上に、ドアだけが立っている。  ……テレビ番組の収録か?  辺りを見回すも…誰もいない。  とりあえず…避けるか。  ドアの横を通り、前に進む。  なんだ、スルーできるんじゃん…と思って、前を向くと。  ……少し離れた場所に、ドアがある。  ちょっと待て、ドアが…移動した?  

~あらすじ~ この星に暮らすのは、土と、緑と、獣。穏やかにただただ繰り返される、命の定律。しかし、その中に混じることのない、唯一の存在があった。 なぜ存在しているのか、なぜ律から外れているのか、なぜ、なぜ、なぜ…。 好奇心旺盛な土は、孤独な存在に質問をする。 交わされる意思、伝わる意志、そして、遺志。 やがて時は流れ、星の終わりが訪れた。 その時、唯一の存在が思ったこととは。 1,星に暮らすもの  ……広い宇宙の、とある銀河に、ありふれた星があった。  二つの燃える星

優しい神さま

 ……神様というのは、本当にいるもんだなあとしみじみ思う。  俺は今までずっと、願いを叶えてもらってきた。  母ちゃんに怒られませんように。  先生に当てられませんように。  腹痛が収まりますように。  ごまかせますように。  バレませんように。  何度も……助かってきた。  めちゃめちゃ、やさしいなあと思う。  神様は、ほんの少し思い浮かべた願いを叶えてくれたのだ。  見られてませんように!  誰にも気づかれませんように!  このまま無事に終わりますように!

よく当たる占い師印下恭彦は、姓名判断を駆使して迷える子羊たちを慮(おもんぱか)る。

 ……私の名は、印下恭彦(しるししたやすひこ)。  35歳独身、占い師をしている。  私の専門は姓名判断である。  名は人を表し、運命を表す。  おかしな名前に、よくできた名前。  ありえない名前に、誂えたかのような名前。  名前の数だけエピソードがあり、それを垣間見る私にも学びがある。  数多くの悩める人々の背を押してきた私。  数多くの迷う人々に道を示してきた私。  どれほど多くの感謝の言葉を頂いた事だろう。  どれだけ多くの人々の笑顔を拝見した事だろう。  

普通の人

 ……私は、ごく普通の人だ。  どこにでもいる、アラサーの社会人。  どこにでもいる、中肉中背の目立たない女子。  どこにでもいる、消極的で目立たない一般人。  私は、ごく普通の人間なのに、なぜかいつも、おかしな出来事に遭遇するのだ。  月曜日、バスを待ってたら前にいたおばさんが倒れてびっくりした。  火曜日、目玉焼きを作ろうと卵を割ったら三つ子だった。  水曜日、テレビを見ていたら同級生が詐欺の容疑で捕まっていた。  木曜日、仕事帰りに量販店に寄ったら陽気なアメリカ人

きらわれもの

「うわ…これマズいんだよね、すてちゃお!!」 「…そう?おいしくはないけど、食べられるよ?」 「こんなマズいもん食べるの?キモっ!!」 「あたしはおいしいモノしか食べたくないの!」 「まずい食べ物なんて大っ嫌い!」 「まずいものが存在しているのが間違ってる!」 「食べものってホントバカ、美味しく生まれて来いっての!」  食べ物を投げ捨てている子の前に、神様が現れたよ! 「これ、この食べ物を捨てたのは誰ですか」 「この食べ物を、食べられなくしたのは誰ですか」  食べ

マッパマンのこだわりある人生

「……待ちなさい!!洋二!!服を着なさい!!危ないでしょ?!」 「へへー!!やーだーよ!きゃー!!!」 田舎の大きな屋敷の、縁側。 エプロン姿のお母さんが、洗濯物の入った籠を抱えながら廊下で声を荒げている。 飛び石、砂利、小さな池、植木鉢に少々伸びすぎた芝生…おぼつかない足取りで駆け抜ける、真っ裸の、幼児。むちむちとした健康優良児が、はだしで庭を縦横無尽に…、盛大に、飛び石の段差のところで、転んだ。 「…あっ、う、うぇええええん!!!」 「ほら!!言わんこっちゃない!!

復元スキル持ちの俺は、我慢の限界をとうの昔に突破している(後)

 ……こっちは依頼を受けて、真摯に向き合って、きちんと対応させてもらっているのに。  やれ、あいつの復元は50%の出来だだの。  やれ、あいつの復元はニセモノしか生み出せないだの。  やれ、あいつの復元はガサツで気遣いが足りないだの。  やれ、あいつの復元のせいで世界が混乱するだの。  こっちはきっちり復元しているにすぎない。  シミも傷もきっちり復元して何が悪い?  綺麗なお肌に戻りたいなら生まれたてまで戻るべきなんだ。  脳みその中身もきっちり復元して何が悪い?

復元スキル持ちの俺は、我慢の限界をとうの昔に突破している(前)

なんと前後編です(*´-`)  ……今をさかのぼること、…5年?前。  俺は、いきなり、スキルを授かった。  いわゆる、神から選ばれたと言うやつだ。  明日の企画会議めんどくせえな、帰りにセブンでニンニクラーメン買って帰ろ、今日は水曜だから見たいテレビがあるな、そういや今日クソしてねえな…、そんなことを考えていたら、いきなり地面が抜けて、あっという間に神様とご対面と相成った。  訳のわからない理屈に納得できない押し付け、断れないパターンに丸め込まれる展開、対価のチー

運命の人ってどんな人?

運命の人ってどんな人? 出会う事が決まっていた人の事だよ! 運命の人ってどんな人? 恋に落ちる事が決まっていた人の事だよ! 運命の人ってどんな人? 結ばれることが決まっていた人の事だよ! 不思議だね、不思議だね! 運命って聞くだけで、信じることができちゃう! お金がなくても、運命だから大丈夫! 嘘をつかれても、運命だから大丈夫! 浮気されてても、運命だから大丈夫! 結婚してるけど、運命だから大丈夫! 訴えられてるけど、運命だから大丈夫! 昔やんちゃだったけど、

ヘタレ病み桃太郎が気の毒すぎて涙出る(。>Д<)

 むかし、むかし、とある所におじいさんとおばあさんが住んでいました。  よく晴れたある日、いつものように、おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。  おばあさんが川で洗濯をしていると、大きな桃が流れてきたではありませんか!!! おばあさんは甘いものが大好きだったので、大喜びでそれを拾って背中に担いで家に帰りました。  おじいさんが芝刈りから帰ってきたので、おばあさんは事の次第を説明して、大きな桃を切ろうとしました。  すると、桃のてっぺんに包丁を入

完全犯罪のそのあとで

 僕は、完全犯罪を、成し遂げた。  気に入らない女を殺して、完璧なアリバイで偽装した。  僕が罪を犯した痕跡は、一つもない。  僕が罪を犯した証拠は、一切ない。  僕が罪を犯した事実は、誰も知ることがない。  僕は、莫大な財産を手に入れることができる。  僕は、自由に自分の人生を謳歌することができる。  ……はずだった。 『いやー!まさか殺すとは思わなかったよ、うーん、なんてこった!!』  金の勘定をしていた僕の前に現れたのは…まさかの!!  僕が殺したはずの……

卒業文集

 86年1組やまふじしげお 「楽しかった人間生活」  人間は、とても面白かったです。何が面白かったかというと、すぐに自分以外の人と比べるということです。自分のやりたいことをしているはずなのに、人がしていることが気になって仕方がないのです。自分がやりたくないことを一生懸命やるのも面白かったです。僕は、もう二度と人間にはなれませんが、この86年間の思い出は、いっしょう心に刻み込んで大切にしていこうと思います。僕と途中までいっしょに生きてくれた加奈子ちゃんには、心から感謝をしま