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スピリチュアル・オカルトもの

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スピリチュアル、オカルト、幽霊やあの世、死んだ後のお話をまとめています。こちらに置いてあるものはすべて無料記事です。ここにある作品で解説が欲しいなと思われた方はリクエストしてくだ… もっと読む
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記事一覧

ドア

 激安スーパーのバイトを終え、廃棄弁当を一つもらって帰宅中の私は、おかしなものを見つけた。  いつもの帰り道、歩道のど真ん中に……、ドアがある!!  ええ?!なに、これ!!  ちょーウケるんですけど!!!  アスファルトの上に、ドアだけが立ってる!!  枠も何もないから、ど○でもドアよりも貧弱っていうか!!  こんな目立つ場所に、一体だれが!!  ……もっと近くで見てみよ!!  ドアに駆け寄って、まじまじと観察をば。  古めかしいドアノブの付いた、茶色いドア…何こ

ドア

 仕事を終え、コンビニでメシを買って帰宅しようとした俺は、おかしなことに気が付いた。  いつも歩き慣れている、歩道のど真ん中に……、ドアがある。  ……なんだ、これは。  アスファルトの上に、ドアだけが立っている。  ……テレビ番組の収録か?  辺りを見回すも…誰もいない。  とりあえず…避けるか。  ドアの横を通り、前に進む。  なんだ、スルーできるんじゃん…と思って、前を向くと。  ……少し離れた場所に、ドアがある。  ちょっと待て、ドアが…移動した?  

ハッピーボックス

 仕事を終え、コンビニでメシを買って帰宅した俺は、おかしなものがあるのを発見した。  ワンルームの、部屋のど真ん中に……、段ボール箱がある。  ……なんだ、これは。  宛名も、メモ書きもない。  ……母ちゃんが来たのか?  来るという話は聞いていないけどな。  とりあえず…開けるか。  ガムテープを剥がして、開けてみる。  ……段ボールが入っている。  壊れ物でも入っているのか?  近頃の梱包は無駄に厳重だからな……。  ガムテープを剥がして、開けてみる。  …

看板

 ……毎日通る道に、おかしな看板がある。  片側一車線のやや混みあう道路の、自転車専用車線横に並ぶ歩道に面した…美容院とキャバクラビルの間にある、少々錆の目立つ、看板。  建物の前にはやや広めの駐車場があり、敷地の境目として同じ大きさの看板が二枚、背中合わせで立てられている。駐車場に面した壁になっているのでどちらもよく目立ち、駅に向かう人も駅に到着して家に帰る人も必ず一度は見るであろう看板だ。  目につく位置に大きく店名が書かれており、宣伝効果は非常に高いと思われる。キ

優しい神さま

 ……神様というのは、本当にいるもんだなあとしみじみ思う。  俺は今までずっと、願いを叶えてもらってきた。  母ちゃんに怒られませんように。  先生に当てられませんように。  腹痛が収まりますように。  ごまかせますように。  バレませんように。  何度も……助かってきた。  めちゃめちゃ、やさしいなあと思う。  神様は、ほんの少し思い浮かべた願いを叶えてくれたのだ。  見られてませんように!  誰にも気づかれませんように!  このまま無事に終わりますように!

0/1理論(ゼロイチリロン)

 ……人の歴史に、数値あり。  有るものを数える。  有るものを数字で表す。  数字という考え方は、人を発展させた。  数を使い、物質を管理する。  数を使い、生活に利用する。  数字を使うための、計算という技術が生まれた。  数字を使い、予測をする。  数字を使い、答を出す。  数字を使う上で、人は足りないものに気付いた。  数字は、有るから使うものである。  数字は、無いものには使えない。  無いものを表す数字がない。  無いものがあれば、有るものと比べ

カナウネガイ

 ……ばあちゃんから、おいしいまんじゅうをもらった。  めっちゃうまい。もっとくいたい。  ばあちゃんのぶん、くれねえかな!  ……クッソ!ばあちゃんぜんぶくっちまった!  はもないくせにくうなよ!  あーあ!ねがいってのはかなわねえのな!  ……おじちゃんに、自転車にのせてもらった。  すげーかっけー。これめっちゃほしいな。  おれにくれねえかな!  ……なんだよ!ただの見せびらかしかよ!  ムカつくな、けってやろ!  あーあ、願いなんかするもんじゃねえなあ!

叶う願い

 ……おばあちゃんから、おいしいおやつをもらった。  すごくおいしい。もっとたくさんたべたいな。  こんどはたくさんたべれますように!  ……やったー!おばあちゃんから、にまいもおせんべいもらえた!  たくさんたべれた、うれしいな!  あのね、ねがえばかなうの、ホントだよ!  ……おばちゃんに、かわいいねこをなでさせてもらった。  すごくかわいい。もっとたくさんなでたいな。  どうか、ねこがうちにきますように!  ……やったー!おにいちゃんが、ねこをもらってきた

線香のにおい

 ……ああ、今、線香のにおいが、した。  なんてことない日常で、ふわりと香る、辛気臭いにおい。  どこにも姿がないのに、なぜかにおう、その気配。  このにおいは、いったい。  このにおいは、どうして。  このにおいは、もしかして。  スン、スンと…鼻を鳴らして、あたりを確認する。  ……よくにおいを嗅いでみたら、線香じゃ……ない。  鼻腔に届いた、コーヒー独特のコクのある香り。  キッチンのシンクの端に…、ドリップコーヒーのカスが落ちている。  香りは、空中にふわ

ガソリンスタンド、大人気!

 只今の時刻、朝の六時…ちょっと過ぎ。 「ぐぬぬ…風が冷たい!さぶー!」 「ずいぶん寒くなった!」  日課のウォーキング&公園のラジオ体操に参加するべく、このところめっきり日の出が遅くなった幹線道路沿いの歩道を震えながら並んで進む、私と息子。  見上げる空はまだ鼠色をしているものの、端っこの方は幾層にも重なる雲に朝日が射しており、薄ピンク色になっている。ボチボチ見事な、朝焼けだ。  もう少ししたら、夜明け前の薄暗い道を歩いて公園に向かわねばならなくなる時期だなあ。そんな

よく当たる占い師印下恭彦は、姓名判断を駆使して迷える子羊たちを慮(おもんぱか)る。

 ……私の名は、印下恭彦(しるししたやすひこ)。  35歳独身、占い師をしている。  私の専門は姓名判断である。  名は人を表し、運命を表す。  おかしな名前に、よくできた名前。  ありえない名前に、誂えたかのような名前。  名前の数だけエピソードがあり、それを垣間見る私にも学びがある。  数多くの悩める人々の背を押してきた私。  数多くの迷う人々に道を示してきた私。  どれほど多くの感謝の言葉を頂いた事だろう。  どれだけ多くの人々の笑顔を拝見した事だろう。  

恐ろしい物語

 ……なんだかおかしなものが見える。  さわれない何かが、目の前にいる。  ゆらゆらと揺れる、あいまいな、シルエット。  ……なんだおばけかと思って、はっとする。  いるわけないでしょ、こんなに明るい時間なのに。  私は、怖いと思う心を落ち着かせて、目を閉じた。  ゆっくりと…目を、開ける。  ……やっぱり、なんだかおかしなものが見える。  明らかに人間ではない形をしたものが、目の前にいる。  ふわふわと浮ぶ、不確かな映像。  ……なんだ宇宙人かとおもって、頭を振

普通の人

 ……私は、ごく普通の人だ。  どこにでもいる、アラサーの社会人。  どこにでもいる、中肉中背の目立たない女子。  どこにでもいる、消極的で目立たない一般人。  私は、ごく普通の人間なのに、なぜかいつも、おかしな出来事に遭遇するのだ。  月曜日、バスを待ってたら前にいたおばさんが倒れてびっくりした。  火曜日、目玉焼きを作ろうと卵を割ったら三つ子だった。  水曜日、テレビを見ていたら同級生が詐欺の容疑で捕まっていた。  木曜日、仕事帰りに量販店に寄ったら陽気なアメリカ人

順番待ち

……ああ、お腹が空いた まだまだ、わたしの番がこない 並ぶ列、香る匂い 人気のお店だもの 美味しいお店だもの ……ああ、お腹が空いた まだまだ、わたしの番がこない 増える客、薄くなる空気 話題のお店だもの 魅力的なお店だもの ……ああ、お腹が空いた まだまだ、わたしの番がこない 狭い空間、苦しい場所 みんなが行くお店だもの みんなが並ぶお店だもの みんなが待つお店だもの ここに並んでいたら ここに並んでいれば ……ああ、お腹が空いた まだまだ、わた