思想は昭和の最新キッチン #209
実家のリフォームのために住宅設備メーカーのショールームにいったら、びっくりするほど昭和の家事が残っていました(笑)
いまの家事のスタイルに全然合っていないキッチンがデフォルトで販売されていることにとっても違和感を持つとともに、
既存の住宅設備メーカーが提案していない切り口からキッチン空間の提案ができると、新たなビジネスチャンスが豊富にあるなと思いました。
ショールームを見ていて、どの商品からも、時短になるな、共働き家庭の家事を理解しているなーということを感じることはありませんでした。これはとても良い気付きでした。
キッチンという商品の設計に隠れた昭和型家事思想の前提と時短家事のために必要な視点について考えたいと思います。
既存のキッチンに隠れた前提
見てきたショールームでは、時短の視点、自分以外の誰かも使う場所というシェアの視点が欠けていることが、共働き家庭の家事動線と合っていない違和感最大の原因だと感じました。
住宅設備メーカーの決裁権を持つオジサンの頭の中では、キッチンはママが使いやすいもの、料理を楽しんで行う場所、ママの聖域という思想が根強くあるのだと思います。
そのため、なるべく時短をして、調理家電をフル活用し、パパもママも、家事代行の方も、祖母も出入りする共働き家庭のリアル家事動線をイメージできないのだと思います。
いまの忙しい共働き家庭のリアルな時短家事にとって最適なキッチン環境とは何か?という問いがないため、
価格の違いは機能付加、素材の豪華さという方向に行ってしまっています。
手をかざすだけで水が出てくる水栓とかどーでもいいんです。そもそも水をなるべく使わなくていい、引き算の思考にしないと時短になりません。
ホットクックを置かない展示サンプルの違和感
この昭和型の家事観というのは根強いようで、キッチンショールームにサンプルで展示されている家電は炊飯器、電子レンジ、電気ポットの3つくらいが基本となっていました。
どこを見ても、ホットクック、電気鍋が2つ置ける、冷蔵庫と冷凍庫が置けるような展示イメージはありませんでした。
一方で、どの価格でも、ガスコンロは3 口で、魚焼きグリルがあるみたいな構造は変わりません。
また、収納スペースの豊富さをアピールし、食洗機を小さくしてでも、収納スペースの多さを優先しています。
うーん、そもそも収納するものが少なくて済むような構造とか、限られた空間を有効に使えるという提案があってもいいのになーと思いました。
まぁ、LIXILからしたら、パナソニックの食洗機のためのスペースを多くとる必要はないので、こうなってしまいます。
業務用でも良いくらい大切なのに食洗機の重要性を軽視している
既存のビルトイン食洗機はサイズが小さいことが課題だと思います。
5人家族で暮らしていると、通常のビルトインだと足りません。
フライパンもそのまま放り込める、すべての洗い物を放り込めるのが理想ですので、飲食店の業務用サイズを使いたいというニーズもあると思います。
収納スペースが少なくても、ホシザキさんレベルの業務用サイズが使えて、とにかく洗い物はなくなります!というキッチンがあってもいいのになーと感じました。
とにかく時短をしている家庭にとっては、食洗機から取り出して、遣い終わったらまた食洗機に放り込んでいるので、食洗機が食器置き場も兼ねてるような感覚になっています。
家事代行サービスの利用など複数人で使うという前提に立った設計が必要
また、家事の時短を進めると、家事代行サービスの方にキッチンを使っていただくことも多くあります。
そこでほしいのは、初めて使う方も分かりやすいデザインであることです。
自分しか置き場所を知らないということではなく、誰がみてもどこに何があるかわかるレイアウトにしておくことが大切だと思います。
時短という視点から価値をつける
豪華な商品は素材が高く、機能が豊富ということを差別化にしていますが、このキッチンだと時短になる、楽になるということも強力な付加価値になると思います。
時短調理家電が置きやすい、食洗機が大きくて使いやすい、家事代行サービスやネットスーパーでの買い物を踏まえた置き場が確保されている、といった、令和の共働き家庭の家事動線に合わせたキッチンこそ、マーケット感覚のあるキッチンだと思います。
既存のキッチンメーカーでは難しいと思いますので、こうした領域にアイリスオーヤマとかニトリがグイグイ食い込んでくると面白いなーと思いました(笑)
やっぱマーケット感覚が何よりも大切なのだと感じたフィールドワークでした。
よろしければサポートお願いいたします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費、双子育児の挑戦に使わせていただきます!