【徹底解説】キャリア構築理論とは何か?(7)エージェント:Savickas(2013)
キャリア構築理論では、個人は(1)アクター、(2)エージェント、(3)オーサー、という三つの社会的役割を持っているとしています。このうちの(1)アクターについては前回扱ったので、今回は(2)エージェントについて見ていきます。
社会への参加とキャリア
前回見たように、アクターは主に家庭内での活動から始まったわけですが、エージェントの役割では家庭からコミュニティや学校へと自己を拡張する、という考え方をサビカス先生は取っています。
その上でエージェントにおける私たちの目標を以下のように述べておられます。
職業選択およびキャリアという観点がここで登場します。職業を選び家庭の外にある社会に参加することで自分自身という社会的な存在が明らかになるとしています。ちなみに、「social niche」を社会的な隙間と訳したのが正しいのかどうかはちょっとよくわかりません。。
変化を促す挑戦
日常的な生活でも該当しますが、変化する状況に適応することを通じて、私たちは学びを深められたり精神的な発達を促されます。しかし、そうとは分かっていても現状から変わることはストレスをもたらし、容易に変化できるわけではありません。キャリア構築理論では、変化を促す三つ挑戦があるとしています。
adaptの語源
こうした開発課題、職業移行、トラウマに対処するためのキーワードがadaptです。ようやくキャリア・アダプタビリティ(career adaptability)に近づいてきましたね。
adaptの語源はラテン語の「適合すること」だそうです。重要なのはその意味合いです。私たちの内側にあるニーズと外がにある機会を主体的に調和させる、というように私たち個人の内側からの働きかけを意味しているようです。
このadaptについてサビカス先生は、adaptive readiness(適応準備)、adaptability resources(適応資源)、adapting responses(適応反応)、adaptation results(適応結果)、の順番で連なっていると捉えています。adaptを用いて微妙に表現を変え、次の単語も"re"で始まるというこだわりが感じられますね。
次回はこのうちのadaptability resourcesとしてのキャリア・アダプタビリティについてじっくりと見ていきます。
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