【論文レビュー】トルコでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Buyukgoze-Kavas(2014)
Savickas & Porfeli (2012)の国際版のキャリア・アダプタビリティ尺度開発に参加しなかった国において、同尺度を翻訳して開発している国があります。トルコでの研究もその一つで、本論文ではトルコ版のキャリア・アダプタビリティ尺度の開発を行っています。
尺度翻訳の背景
なぜSavickas & Porfeli (2012)のキャリア・アダプタビリティ尺度を翻訳したのかという理由について、トルコという国家単位での理由を説明しています。端的に言えば、西洋と東洋を架橋する地理的な要因や、オスマン帝国以降云々といった表現があり、文化について考えさせられます。
集団主義的か個人主義的かという観点について、トルコは現在でも集団主義的であるものの個人主義的な価値観にも近付いているという言及があります。その背景にはグローバリゼーションがあり、こうした価値観の変容もあるので尺度翻訳を行って調査を行った、と説明されていて納得的です。
翻訳過程
順翻訳についてはしっかりと手順に従って行っています。他方で、原著者への事前の許諾については触れられておらず、また逆翻訳を行っていないと明言していることから原著者への翻訳版の確認も行っていないと思われます。ただ、トルコで推奨される翻訳手順に従ったとして先行研究に触れていらっしゃるので許容されるプロセスなのでしょう。
記述統計
4つの下位尺度および24設問での確認的因子分析を行い、モデル適合度としてはRMSEA=0.060、SRMR=0.049、CFI=0.90、という値から適合していると評価しています。その上で、24設問と4つの下位尺度の記述統計を以下の通りレポートしています。
天井効果が厳しいものもあり、やや高ぶれしているスコアと言えそうです。
妥当性の検証
併存的妥当性の検証としてhopeとoptimismという特性系の概念との相関を見ています。
上に引用した相関係数から併存的妥当性が検証されたと評価しています。こうして、トルコ版のキャリア・アダプタビリティ尺度が開発されたという結論づけている論文です。
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