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【読書メモ】若手社員の組織適応を促すために重要な存在とは?:『若年就業者の組織適応』(尾形真実哉著)

企業等の組織に入るとき組織に馴染むことを組織適応と言います。この組織適応を促すために組織が支援することが行われ、その主たるものがビジネス現場でも使われるようになったオンボーディングです。今回は、尾形真実哉先生の『若年就業者の組織適応』の第8章「組織適応エージェント」を基に組織適応を促す存在についてまとめます。

同僚サポートの調整効果

職場のコミュニケーションの活発度合いをコミュニケーション風土と呼び、勤務する組織の暗黙的なものも含めた文化規範に慣れる度合いを文化的社会化と呼びます。コミュニケーション風土が高い組織であれば、新たに組織に参画する若手社員の文化的社会化も高まる、という関係性です。

さらに、この関係性を強化する(統計的には「調整する」)のが同僚サポートです。つまり、新しく入った社員にとって周囲からのサポートが多くあると、コミュニケーションが活発な風土においてより文化的社会化がなされるという関係性が検証されました。

情報の信頼性も重要

また、上述したコミュニケーション風土と離職意思との関係性についても著者は検証しています。ここで興味深いのは、コミュニケーション風土が高ければ離職意思が下がるという単純な関係性ではないということです。

コミュニケーション風土と情報の信頼性との交互作用を検証しています。その結果、コミュニケーション風土が高くその上で情報の信頼性が高い職場では新規参入者の離職意思が下がる、という関係性を明らかにしています。

オンボーディングには多様な要素が必要

オンボーディングという言葉が流行っていることは良いことだと思います。中途採用が増える状況からすると、新卒社員だけではなく中途入社社員がいかに組織に定着し活躍するかを支援することは大事です。

そのためには本書のような多様な観点での関係性を検証している本書は優れたテクストとなるのではないでしょうか。


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