見出し画像

【論文レビュー】組織社会化の成果は短期と長期で分けて考えるべし!:Bauer & Erdogan(2012)

今回取り上げるのは、立教LDCの同窓生である落合央さんから教えていただいた論文です。落合さん、素晴らしい論文をご紹介いただきありがとうございます!!本論文は予期的社会化の結果として得られる成果に関するレビュー論文で、短期的成果と長期的成果としてまとめてくれている論文です。

Bauer, T. N., & Erdogan, B. (2012). Organizational socialization outcomes: Now and into the future. The Oxford handbook of organizational socialization, 97-112.

短期的成果

短期的成果(Proximal Outcomes)は、個人が新しい環境に参画してから3ヶ月間のスパンで現れるものとしています。

具体的に本論文では、①同僚からの受容感(acceptance by insiders)、②役割明確化(role clarity)、③業績自己効力感(performance self-efficacy)、の三つが適応指標として挙げられています。

長期的成果

さらにより長い期間を経て現れる成果(Distal Outcomes)としては多くのものが明らかになっています。

具体的には、①職務満足(job satisfaction)、②組織コミットメント(organizational commitment)、③職務パフォーマンス(job performance)、④離職の低減(turnover)、⑤個人職務適合(Person-Job Fit)、⑥個人組織適合(Person-Organization Fit)、⑦ストレスの低減、⑧倫理観(ethics)、です。

さらなる長期的成果

上記の八つ以外にも、本論文の執筆時点に近いタイミングで新しく出てきている長期的成果についてもまとめられています。

具体的には、①ワーク・ライフ・コンフリクト、②人生満足感(life satisfaction)、③知覚された経験の過剰さ(perceived overqualification)、④組織内関係性変化(changes in organizational relationships)、⑤リーダーのストレスの低減、⑥リーダー・ウェルビーイング、⑦社会化の成果に影響を及ぼす時間の役割(the role of time in socialization outcomes)が挙げられています。

本論文をもっと理解したい方へ

ここまでポイントだけ見てきました。組織社会化の成果と一口に言っても、内容によって現れる時期が異なるという点は実務的にも意識しておく必要があるものでしょう。大変示唆深い論文でした。

本論文を日本語でもう少し理解したいという方は、尾形真実哉先生が『若年就業者の組織適応: リアリティ・ショックからの成長』の補論で丁寧に解説してくださっているので、そちらを読まれることをお勧めします!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?