【論文レビュー】キャリア・アダプタビリティとキャリア決定自己効力感:Stead & Hurtado Rua(2022)
キャリア決定自己効力感(Career Decision Self-Efficacy)という概念があります。これは、バンデューラの自己効力感をキャリアの領域に援用した概念で、自身のキャリアを決定することに関する自己効力感を表すものです。キャリア・アダプタビリティがキャリア決定自己効力感と有意な相関関係を表す先行研究はいくつかあり、本論文ではそれらをメタ分析しています。
メタ分析に用いた論文の一覧
著者が両者の相関分析に用いた論文は全部で18あります。キャリア・アダプタビリティの測定尺度としては、最も主流なものと言われるCareer Adapt-Abilities Scale(以下CAAS)と、Rottinghaus et al.(2005)によるCareer Futures Inventory(以下CFI)の二つと、キャリア決定自己効力感との相関を明らかにしています。
その結果の一覧が以下です。
キャリア・アダプタビリティは平均値との相関を分析している群(CAAS-mean)と、合計値との相関を分析している群(単に「CAAS」と記載されている2報)とに分かれます。シンプルにCAASのスコア平均との相関を見ている先行研究の方がやはり多いようです。
相関関係
18報を対象とした両者の相関関係は以下のとおりです。
キャリア・アダプタビリティは四つの下位尺度(Concern(関心)、Control(統制)、Curiosity(好奇心)、Confidence(自信))に分かれます。下位尺度と合計のそれぞれについての相関を見ていくと、合計との相関が0.53と最も高くなることが明らかになっています。下位尺度についてはそれほど大きな差はなさそうですね。
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