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【入門篇】キャリア構築理論とキャリア・アダプタビリティをざっくり知りたい方へ
先日、池田先生(東京大学)が企画され、関根さん(東大・中原研究室OB)がアレンジしてくださった組織行動論勉強会に参加させていただきました。参加者のみなさまの読み込みの深さとツッコミの的確さにアワアワしましたが、マーク・サビカスのキャリア構築理論とキャリア・アダプタビリティについて発表してきました。池田さん、関根さん、貴重な機会をどうもありがとうございました!
※尚、表紙の画像は関根さんに許可をい
【読書メモ】宗教的なるもの:『ウィリアム・ジェイムズのことば』(岸本智典編著)
第三章のタイトルは「宗教的なるもの」であって、宗教そのものを扱ってはいません。この違いは重要です。というのも、特定の宗教を持たない私のような人間が多い現代の日本社会において宗教は心理的に遠い存在になりがちですが、宗教「的」となると間口が広がる感じがします。実際、私は読んでいて興味深い部分が多いように思いました。
ほろりとする気持ちでは「宗教的」とはどのように捉えれば良いのでしょうか。著者はそのキ
【論文レビュー】インドネシアでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Sulistiani et al. (2019)
Savickas & Porfeli (2012)の国際版キャリア・アダプタビリティ尺度は、インドネシアの現地語にも翻訳されています。本論文はその検証結果について報告しています。
インドネシアの文脈冒頭ではインドネシアにおいてなぜキャリア・アダプタビリティ研究を行うのかが述べられています。インドネシアはアジアとオーストラリアの間に位置しており、集団主義的な文化だとされています。また多様な文化を持
【論文レビュー】リアリティショックと組織コミットメントの不思議な関係!?:Dean et al.(1988)
職業柄(研究柄?)、リアリティショックに関する設問を読み込む機会があり、設問文という極めて具体的な文言を読んでいると、リアリティショックという概念って改めてなんだっけ?というゲシュタルト崩壊的な感覚に陥りました。今回は、古典的なリアリティショックの実証研究を取り上げます。
リアリティショックとはリアリティショックは、新しい組織での現実に直面した際に私たちが感じるショックです。本論文では、リアリテ
【論文レビュー】イランでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:McKenna et al. (2016)
イランでもSavickas & Porfeli(2012)のキャリア・アダプタビリティ尺度が翻訳されています。後ほど引用しますが、ペルシャ文字で書かれた文言が入った論文を読むのは人生で初めての経験でした。いちおう、学部でアラビア語の一般教養の授業を受けていたのですが、全く記憶に残っていませんでした。
記述統計イランでの調査では204名の社会人(平均年齢36.88歳)を対象として行っています。他の
【読書メモ】ランニングエコノミーを心拍数で科学する!?:『ダニエルズのランニング・フォーミュラ 第4版』(ジャック・ダニエルズ著)
『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』の第3章は心拍数に焦点が当たっています。なんとなくおぼろげながらの理解だったものが、解像度を上げてクリアに理解できる素晴らしい内容です。ぎっくり腰のせいでずっと走れていないため、知識だけ増えてきていてアンバランスな状況です。早く走りたいなー。
ランニングエコノミー市民ランナーの方であれば、ランニングエコノミーという言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。た
【論文レビュー】フィリピンでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Tolentino et al. (2013)
Savickas & Porfeli(2012)の国際版の尺度開発に関わっていない国として、フィリピンでもキャリア・アダプタビリティ尺度の検証が行われています。
フィリピンの特徴著者たちは、フィリピンでの職場の特徴について、先進国の職場では高い年齢の社員が働く環境になりつつあるのに対してフィリピンでは若い社員が多く経済発展が続いているとしています。また、個人は家族との繋がりを大事にし、自身の環境
【論文レビュー】キャリア・アダプタビリティとキャリア決定自己効力感:Stead & Hurtado Rua(2022)
キャリア決定自己効力感(Career Decision Self-Efficacy)という概念があります。これは、バンデューラの自己効力感をキャリアの領域に援用した概念で、自身のキャリアを決定することに関する自己効力感を表すものです。キャリア・アダプタビリティがキャリア決定自己効力感と有意な相関関係を表す先行研究はいくつかあり、本論文ではそれらをメタ分析しています。
メタ分析に用いた論文の一覧著
【論文レビュー】トルコでのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Buyukgoze-Kavas(2014)
Savickas & Porfeli (2012)の国際版のキャリア・アダプタビリティ尺度開発に参加しなかった国において、同尺度を翻訳して開発している国があります。トルコでの研究もその一つで、本論文ではトルコ版のキャリア・アダプタビリティ尺度の開発を行っています。
尺度翻訳の背景なぜSavickas & Porfeli (2012)のキャリア・アダプタビリティ尺度を翻訳したのかという理由について
【ランニング】フォームを改善するための靴とサンダルを履いてみた感想:2024年4月28日〜5月4日
ぎっくり腰からの回復期間中でまだ動くと痛みが出るのでランニングは再開していません。通常よりゆっくりめに歩くことはできますし、適度に動いた方が良いと言われますので、それなりに歩くようにしています。そこで、長野マラソンの振り返りのnoteでも触れましたが、知人から話を伺って興味を持っていた姿勢を矯正するためにMBTのシューズとサンダルを購入したのでその印象を書きます。結論から書くと、私のように姿勢が悪
もっとみる【論文レビュー】キャリア論の「第4世代」サステナブルキャリアとは何か?:石山(2024)
石山恒貴先生のサステナブルキャリアに関する論文、大変興味深く拝読しました。学びになるとともに、個人的な今後の研究についても大いに刺激になる内容でした。今後、サステナブルキャリアを後続する研究者やビジネスパーソンが学ぶ際の大事なテクストの一つになる存在と言えます。少なくとも個人的には何度も読み返すものになるでしょう。
サステナブルキャリア(sustainable career)ではサステナブルキャ
【読書メモ】ランニングの基本原則とは何か?:『ダニエルズのランニング・フォーミュラ 第4版』(ジャック・ダニエルズ著)
多くのランチューバーの方々がこぞって推奨する『ダニエルズのランニング・フォーミュラ』を読んでます。これはランニング好きな方々におすすめの一冊です。フルマラソンを速く走りたいという方にも推奨できますが、健康的に走りたいという方にも推奨できるものです。1章ずつ丁寧に読んでポイントをまとめますので、興味関心を持ったランナーの方々、あるいはランニングを始めたい方々はぜひ本書をお手に取ってみてください。
【論文レビュー】韓国でのキャリア・アダプタビリティ尺度研究:Tak (2012)
国際版のキャリア・アダプタビリティ尺度開発研究には韓国の研究者の方も参加されています。本研究では、韓国の278名の大学生を対象とした調査(平均年齢21.6歳)を行い、尺度の検証を行っています。
記述統計4つの下位尺度および24設問の記述統計を見てみます。スコアは中華圏や南北アメリカ大陸と比べるとやや低めという印象で、天井効果や床効果は特に問題がなさそうです。
クロンバックのαも出してくれていて