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ドント・ルック・アップ

今年のNetflix映画の連続限定上映作品のこれまでのラインナップは、

「THE GUILTY」黒人監督作品
「ザ・ハーダー・ゼイ・フォール」黒人監督作品
「チック、チック…ブーン!」ヒスパニック系監督作品
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」女性監督作品、ニュージーランドなどの合作映画
「消えない罪」女性監督作品
「The Hand of God」イタリア映画

と、最近の賞レースで評価されやすいポリコレ要素の強い作品ばかりだ。
ただ、ここまでの賞レースの受賞・ノミネート結果を見ていると、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」がまずまず健闘しているくらいといった感じだ。
その「パワー・オブ・ザ・ドッグ」だって、ナショナル・ボード・オブ・レビューやNY映画批評家協会賞といった主な映画賞では作品賞を逃している。

となると、ただでさえ地味に思えた今回のラインナップはさらに地味に思われてしまうのではないだろうか?
アカデミー作品賞にノミネートされる可能性の高い作品はこの連続上映のトリを務める本作だけということになるのかな?

ちなみに本作はこれまでの6作品とは異なり、監督のアダム・マッケイも主演俳優のレオナルド・ディカプリオも白人男性だ。
まぁ、ジェニファー・ローレンスはW主演みたいな形ではあるが…。そして、若干、地味めなセーター姿で登場する彼女が可愛い!

作品自体にポリコレ要素がないわけではないが、女性監督や黒人監督の作品というだけで優遇されるタイプのものでもないし、黒人差別とか女性差別を前面に出した作品でもない。

でも、これは社会性と娯楽性がほどよくミックスされていて非常に面白い!
これを作品賞にノミネートしないようではアカデミー賞は終わりだと思う。


勿論、監督、脚本、主演男優、主演女優といった部門にもノミネートされるべき作品だし、助演男優や助演女優なんて複数の候補者が出てもおかしくないくらいだ。
「マネー・ショート」、「バイス」といったアカデミー作品賞にノミネートされた過去のアダム・マッケイ監督作品を気にいっている人なら間違いなく本作も面白いと感じるはずだ!

地球滅亡の危機の情報を隠蔽しようとするアメリカ合衆国大統領が女性という描写を見ると、もしかすると、これって、リベラル批判?フェミ批判?民主党批判?って思ってしまう。
しかも、この女性大統領がビル・クリントン元大統領と仲良く写っている写真も作中には出てくる。
今の米エンタメ界でそんな思想の映画を作ったら酷評されるのではなんていう心配をしてしまいたくなる。
何しろ、去年、同じネトフリ映画である「ヒルビリー・エレジー」における90年代の米国は幸せでなかったという描写はクリントン政権時代の批判、つまり、民主党の批判と捉えられて賞レースではかなり苦戦を強いられてしまったくらいだからね。

でも、本作における女性大統領の支持者には、“地球滅亡なんて起こるわけがない”という考えの者が多いという風に描写されている。
それは明らかに陰謀論に簡単にだまされ、“コロナは風邪”とか“ワクチンは必要ない”とか主張する連中の思想とかぶっているようにも見える。
おそらく、地球滅亡の危機というのはコロナ禍のメタファーなんだと思う。

そう考えると、本作はどちらかといえば共和党批判的な作品なのではないだろうかという気もする。

ところで、この女性大統領を演じたメリル・ストリープが裸になっているシーンで胸から下にモザイクがかがっているのは何故?周囲にいる他の男優、女優はみんな、見せているのに…。メリル・ストリープは乳首どころか、乳房も見せるのはNGってこと?

エロ絡みといえば、人気アーティスト役で出演している人気アーティストのアリアナ・グランデも下ネタ系の台詞を言っていたな…。可愛いかったけれど。

ところで、この映画をジャンルわけすれば、パニック映画とか、SF映画になるんだろうけれど、ほとんどのシーンが室内での会話で、スペクタクル要素のあるシーンって、スペースシャトル打ち上げ(最近の民間ロケット打ち上げよりシャトルの方がやっぱり盛り上がるよね!)と終盤のそんなに長くない滅亡のシーン、それとエピローグくらいしかない。

要は酷評されているドラマ版「日本沈没」と同じ作り方なんだよね。
しかも、オールスターキャストなところも同じ。

なのに、本作はめちゃくちゃ面白くて「日本沈没」はダメな作品になっているというのは、結局、演出や脚本、撮影、演技なんてあたりがなっていないってことなんだろうね。

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それにしても、シネ・リーブル池袋にこんなに人がいるのを見るのって珍しい!それから、ネトフリ映画の限定上映で客席がある程度埋まっているのを見たのは今年に限らず初めてかもしれない。

なんだかんだ言って、レオ様人気って根強いんだね。

《追記》
スペシャル・サンクスのクレジットに国防総省が入っていたことに驚いた!協力してんのか!

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