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うなぎの「きんし丼」と伊藤若冲の錦市場 〜京都帰省便り

久々に京都に帰った。noteの京都名所巡り記事に触発され、今回は京都観光を楽しもうと思う。京都に住んでいた頃から、地元だからと神社仏閣には行ったことがない。もちろん京グルメと呼ばれるガイドブックお馴染みの店も然りだ。だからあえて、数十年を経て初めて名所を訪れ、話題の店で食べてみる。こんなにウキウキした帰省は初めてだ。

▶京風玉子焼きの誘惑、きんし丼

新幹線を降りて向かったのは、鰻の老舗「新京極かねよ」。お目当てはトップ写真の「きんし丼」。これ、鰻丼である。ビッグな京風玉子焼きが鰻を覆い隠しているのだ。

「新京極かねよ」のきんし丼と肝吸い。タレは少ない。


きんし丼は並・上・特があるが、「上」でも鰻はそれほど大きくないということだ。あくまで出汁のきいた京風玉子焼きを楽しむものか。じゃあ「並」でいい。
肝吸いは別らしい。「並」2,600円、肝吸い400円の合計3,000円。いざ、満を持して箸をのばす。・・・そして食べながらちょっと後悔した

▶見た目に惑わされても、舌は正直

ジャンボ玉子焼きの風貌に惹かれたものの、私が味わいたかったのはなのだ。だったら最初からうな重にすべきだった。これは完全に玉子が勝利の丼だ。店に落ち度はないだろう。見かけ通りの味である。鰻ちょっぴり、いつまでもどこまでもふんわり玉子のやさしいお味。京都は鰻と錦糸卵の組み合わせが多い。そういう意味では京都らしい一品かもしれない。

食べ物は妥協できないなと思い知る。私のようなにわか観光客は、京都らしさなんか求めてない。味だ、味。その基本的欲求を忘れていた鰻はたっぷりのタレでドドンと主役を張って欲しい。大の玉子焼き好きでもない私にとって、正直、3,000円は痛かった。

▶錦市場、まさかの伊藤若冲に感動

店をさっさと引き上げ、ぶらり散歩を楽しんだ。食への未練捨てきれず、足は京都の台所「錦市場」へと向かう。

京都市中京区、寺町通から高倉通にある錦市場。京都の地場野菜や特産品、揚げ物、京グルメの店が立ち並ぶ。


入口の垂れ幕、なんと伊藤若冲ではないか! 若冲の生家はこの辺り、錦小路の青物問屋である。それにしても商店街に堂々の若冲とは驚いた。
入口左右のモニュメント↓

これは「動植綵絵」の鶏! さすが京都錦! まさに庶民のギャラリーとなる懐の深さだ。

伊藤若冲は、享保元年(1716)京都の錦小路に生まれた。錦小路というのは、現在もその面影がいくぶん残ってはいるが、当時は魚や野菜の市場として毎朝雑踏をきわめた場所である。(中略)若冲の長い作画生活を通じての作品のレパートリーは、仏画や肖像画などもあるにはあるが、ほとんど動植物画に限られている。

─辻惟雄著「奇想の系譜」より─


美術館や画集ではなく、暮らしの場で若冲に出会うとは思わなかった。これはいい。前情報を全く知らなかった私は飛びきり得した気分になった。選択ミスしたきんし丼のショックも薄れそう。ところが・・・!

若冲発見と同じくらいの勢いで飛びついた看板のメニュー。

▶全国どこでも目を引くメニュー

錦市場入口を背に振り返ると、美味しそうなメニューの看板発見。「肉の階段ランチ」って何だろう。「肉寿司ランチ」も見逃せない・・・。
安すぎるから質や味はわからない。でもあのきんし丼3,000円より、きっと満足するだろう。玉子焼きでもたれた胃をさすりながらも、看板メニューの写真は撮る。ああ未練がましい。
京都B級グルメレポーターのnoterリンクさん、機会あればここで「肉の階段ランチ」、私の代わりにぜひ食べていただきたい。


さてこの後、夜は平安神宮の「NAKED ヨルモウデ」なるイベントに出かける。
このまま一人気ままに、思うぞんぶん楽しもう!
(続く)


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