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社会を変える伝え方を大学生と実践します【慶應大学で非常勤講師として、社会変革に挑戦します】

●既存の報道では、解決に至っていない

 私は1年ほど前、NHK報道局のディレクターをやめ、クラウドファンディングで600万円ほどご支援いただき、時事YouTuberになりました。YouTuberに転身した理由の1つは、社会の事実を伝えることが、社会問題解決には距離があることに違和感をもったからです。「事実」は大事だけど、そこから、社会問題を解決するために、どのような文化や制度が必要なのか、そのボトルネックは何なのか。先行研究や、海外の事例、現場を取材すると、それが見えてくることがおおくあります。しかし、その方向性は、しばしば「意見」として見られてしまったり、映像がなかったりして、伝えきることが、あまりできませんでした。私の力不足もあったと思います。

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●社会問題解決型の報道番組を目指して

 また自殺者数を追うことも大事ですが、それだけでは命は救えません。取材する中で、家と学校両方で居場所を失ったという声が多くありました。
 だから、私はYouTube上に居場所を作りたいと考え、著名人の人に過去の辛かった日々や、それがどうやったら和らいだかお話をきくシリーズ「#元いじめられっ子から今いじめられている君へ」を作りました。

 今苦しんでいる子どもたちに、「私だけではない」「もう少し生きてみようかな」と少しでも前向きになり、解決につなげたいと考えているからです。他にも、社会問題解決型とは、当事者に寄り添うほか、制度改革や支援につなぐなど様々な方法が考えられます。

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●私を助けてくれたのは、「アカデミック」

 取材とは、仮説と検証を繰り返す作業だと私は思います。その仮説が本当に正しいのか、検証する。これはアカデミックの分野では強くもとめられます。「賛成派が多いと思います」「では統計学上はどうなの?」「その調査方法は?」などたくさん問い詰められると思います。
 ところが、マスコミでは、強すぎる現場主義のため、1人でもそういう人がいたら、誇大に報じてしまうところがあると思います。ワクチンによる副作用などがまさにこれに当たると思います。ワクチンの副反応による死なのか、そうではないのかきちんと検証されないままたくさん報じらているのを見ました。不安を煽ったり、デマを流したりするのは、もちろんよくないことだと私は思います。
 いい仮説を立てるのは、本や論文、歴史、ニュース、海外などたくさんの情報を知らないといけません。それに、その情報は本当なのか疑ったり、一次情報にあたったり、量的なアプローチなのか、質的なアプローチなのか考えたりすること、このような訓練を徹底的におこないます。私は修士課程までしかでていないし、決して模範的な院生ではなかったと思いますが、このような訓練や力をつけられたのは取材をする上でとても大事だと気づきました。

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 面白そうな現場から一歩ひく。取材中に意識していることです。取材していると、その出会いに興奮し、冷静さをかくことがよくあるからです。ついつい、現場を自分の言いたい主張に都合よく切り取ってしまいがちなのに、取材者は抑制的であるべきだと思います。
 社会問題の論点整理やボトルネックはどこにあるのか考えるためには、私は文献のリサーチもすごく大事だと思います。現場をつみかさねて見えることもあるし、それも疎かにしてはいけないけど、こういうことを軽視されがちな報道現場に驚きました。
 社会問題のボトルネックが何か仮説をたて、検証する力。そして、それを伝える力。私は社会起業家としても、YouTuberとして、NHKのディレクターとしても、これを実践してきました。どうやったら、若者の投票率を上げられるのか、どうやったら、政治や社会問題を身近に伝えられるのか、解決できるのか。このことにほとんどの時間を費やしたと思います。

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 そして、この力をもっと若い人に身につけてもらいたいと考えるようになりました。大きなソリューションになると考えたからです。
 社会問題には多様なアクターが関わっていて、すでに誰かが解決しようとはしているけど、なぜ解決にいたらないのかなどしっかり考え、リサーチしてもらいたいと思っています。

●恩師からの誘い、慶應義塾大学で非常勤講師に

 そして、ついに、いつかはやってみたかった大学で授業を持つという夢が叶いました。昨年、NHKを退局の報道が出た際に、慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパス(SFC)の清水唯一朗先生から、「一緒にワークショップの授業をやりませんか」とご連絡をいただきました。清水先生は、私のゼミの先生で、政治のことを基礎から教えていただきました。

「政策デザインワークショップ」という、政策分析、政策立案をするワークショップ中心の授業で、「実践面を中心に指導してもらいたい」とお声かけいただき、先生とコラボしました。そして、今年は、非常勤講師になり、授業を1人でデザインすることになりました。

 SFCは、多くの社会起業家を生み出してきた大学で、私はここで学んだことがたくさんあります。そして、昨年ワークショップの授業をして、その記事をいくつかメディアとコラボして発信したり、その授業をとっていた子がまさにフロントランナーとして実践し、社会を変えていく姿を目の当たりにしました。元々すごい意識も能力も高い子たちが履修していたので、私の力では全くないですが、一緒に社会変革していきたい、若い子の感覚をどんどんメディアで発信してほしいと私は考えており、メディアとつなぐのも私の役割だと切に感じました。
 原点を思い出し、ワクワクしました。

●お力添えください

・SFCの学生さん奮ってご応募ください
 実践が中心になり、各自で決めてもらったテーマで、リサーチし、取材し、記事執筆をしてもらうことを目的としています。文章のスキルアップにもなると思います。履修選抜をするので、もともとスケジュール的に難しいなど、履修するつもりがない方はご応募をご遠慮ください。

・SA、TAさん募集します
 卒業し、まだ4年ほどですが、システムが変わったりして、なかなか分からない点もありまして、授業サポートをしてくださる方を募集しています。

・政策立案につよい方、報道関係の方
 非常勤講師という立場ゆえに、規定により謝礼はお支払いできませんが、よろしければ、ゲスト講師やコラボなどできたら嬉しいです。この記事をよんで、こういうことを提供できる!という方いたら、ご連絡いただけますと嬉しいです。

 私自身、毎週授業準備などに1日予定をブロックして、社会問題を解決するためにはどうしたらいいのかということを本気で考えたいと思います。もちろん、私が経験した成功や失敗などお話して参考にしてほしいですが、一緒に学ぶということができればと考えています。
 私も昨年みなさんから、たくさん学ばせていただき、楽しみにしております。

 話し合いの多いこのワークショップの授業で、昨年、「大学に入ってはじめて、こんなに友達と話すことができた。1人でつらかった」と涙された方がいました。このワークショップの授業が履修者の方にとって、学びもですが、コミュニティとしてもいいものになるよう頑張ります。

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