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【朝まで生テレビで話したかったこと】この国を建て直すには、社会問題を「自分ごと化」し、変革する人材を作る主権者教育を大事にすることだ。

若者が諦めずに社会を変える

 あけましておめでとうございます。朝まで生テレビに出てきました。「この国から出て行け!!」と田原総一朗さんに言われたのはビックリしましたが、自分の意見をきっちり言って、激論を交わせたと思います。

 生放送では、「この国を立て直すには、教育費にお金を回す必要がある!!防衛増税と同じぐらいのスピード感で教育費も増やしてほしい」「日本を立て直すには、教育を完全無償化することだ。失業しても、やり直しがきくというマインドを持てるので、たくさん挑戦できる 」「社会に対して、諦めをもつ若者が多く、年功序列や惰性で続くような古い慣習などがたくさん残っている。だから、社会を変えられると思い、行動し、イノベーションを起こす人材を作るために、主権者教育を拡充しよう。」ということなどをお話してきました。

 主権者教育とは、投票率向上のみの授業ではありません。社会にどう参画するのかを学ぶ教育で、異なる考えの人と合意形成できるようになったり、社会の変え方を知り実践したりする教育です。

 例えば、取材したスウェーデンでは、生徒が学校のルールを変えていました。給食に不満があれば署名を、LGBTQ+の子が使えるトイレを作るため学校と交渉をしていました。このような経験が社会を変えられる自信になり、企業や政治を変えることに繋がります。若者が諦めなくなります。社会の変え方を学ぶ主権者教育は大事です。

 だからこそ、私は日本で唯一主権者教育を専門に行う会社、笑下村塾を立ち上げました。今は全国の学校に出張授業に行き、笑いで社会問題を楽しく伝えています。群馬県と大規模な主権者教育を実施し、18歳の投票率が8%あがりました。
https://www.shoukasonjuku.com/seijikyouiku-gunma

1月2月に視察会も行いますので、興味のある自治体の方や政治家の方、学者さんなどご連絡ください。

番組で本当は話したかったこと

 1月1日の朝まで生テレビでは、私の力不足で、この30年議論されし尽くされてきたようなことを繰り返すような場面もあり残念でした。

昨年は、ロシアがウクライナに侵攻した歴史の転換点です。だからこそ、世界がこれからどうなるのか、その中で日本は何をすべきかなど議論したかったのです。

ウクライナで見た戦争の現状

 私は昨年8月、侵攻から半年というタイミングでウクライナに取材に行ってきました。

 取材の期間、ロシアが攻撃をするかもしれないということで、アメリカ大使館が退避したりするなど緊張感が高まっていました。じゃあ、ウクライナの街の人は逃げられるのか?というと、そう簡単には逃げられません。 イギリスでウクライナの避難民の方にも取材をしましたが、「お金がない」「仕事がない」「語学が話せない」「慣れない土地で辛い」「家族がバラバラなのは難しい」などさまざまな思いをお聞きしました。キーウに着いてすぐに、ミサイルのアラートがなりました。急いで地下のシェルターに逃げると、逃げ込んだのは私だけ。ほとんどの人が逃げ込まず、変わらない日々を過ごしていました。一見すると、レストランやホテルは通常営業し、おしゃれをする人が街中を歩き、平和に見えるんです。

 でも、逃げられない。どんなに辛くても、日々を過ごさないといけない。日常生活を送らざるを得ないんです。子どもたちが公園で楽しそうに遊んでいても、話をきくと、「家にロシア兵がやってきて怖かった」「ミサイルのアラームが鳴ると、怖くて眠れない」「学校は攻撃されて、オンライン授業を受けるしかない」と辛い思いを吐露してくれました。日常生活を送るしかないのが戦争なんだと思い知りました。

「日本は大丈夫か?」と心配される

 侵攻してきたロシアが、もちろん悪い。だけど、国を守るために、するべきことって何なんだろうと私は疑問に思い、聞き歩きました。私は街中で、若い人に街頭インタビューを行いました。およそ30名の人に、「ロシアが侵攻すると思っていたか?」「侵攻する前にできたことはあるか?」と聞きました。ほとんどの人が侵攻するとは思わなかったと答えました。侵攻する前に「軍事力を高めるべきだった」「NATOに入るべきだった」「ロシアとの国境に壁を作るべきだった」「経済力を高め、国際的な地位を高めるべきだった」などさまざまな声があがりました。

 私が日本人ジャーナリストであることを伝えると、「日本は大丈夫なのか?」と逆に心配されました。「北方領土は日本のものだ」「ロシアは北方領土で軍事演習しているが平気なのか」などと声をかけられました。そして、皆口々に「戦争が起きてからでは遅い。準備しないといけない」と言いました。
 では、日本は平和のために何ができるのでしょうか。

次の世界の危機は「台湾有事」

台湾有事の際は日本が巻き込まれる

 今まで正直、私は「日本は攻められることはない」と、平和ボケしていました。ロシアが力によって現状変更をした今、力を行使するハードルが低くなりました。次に考えられるのは、台湾有事です。その際に日本が巻き込まれる可能性は大いにあります。中国が台湾封鎖を想定した訓練の場所を見ると、与那国、宮古、石垣は戦域に入る可能性が高いです。

食糧安全保障の危機

 日本に海上輸送されるエネルギー資源や食糧などは、台湾とフィリピンの間にあるバシー海峡を通っています。台湾有事が起こり海上封鎖が行われれば、ここのシーレーンが遮断される恐れがあります。食糧やエネルギーを他国に依存する日本にとっては大きな影響があり、ここがもし通れなくなった場合、輸送コストがかかるルートにやらざるを得なくなります。食糧安全保障上の危機でもあります。

経済安全保障上の危機

 ウクライナでは、道に破壊されたロシア軍の戦車とかがずらーと並べられていました。

 その戦車を破壊するために使われた武器として有名なジャベリンには、250個の半導体が使われているんです。半導体はミサイルの精度を大きく左右します。
 半導体は、防衛だけではなく、スマホや自動車にも使われるから経済上も大事です。世界の半導体の製造において、6割が台湾を占めているため、台湾有事が起こり、半導体の供給がストップすると、世界経済に大きな影響を与えてしまう。だから、日本で半導体を作れるようになることが経済上も防衛上も大切なのです。

 領土も、食糧も、経済上も大変大きな影響を受ける可能性がある台湾有事。この危機意識が国民全体で共有できていないと思います。

防衛増税をすべきなのか

 国債だと、今の安全保障を未来の子どもたちが支払う先送りをすることになります。その上、増額に歯止めがきかなくなるかもしれません。それは暴論だと思います。そうではなく、今私たちのお金が使われることで、防衛が自分ごとになります。そこで、何が必要か何が不要かなど安全保障に対する議論が活性化することを願っています。そして、一度上がると、防衛予算を今度は下げにくくなるので、議論が慎重になることが必要だと思います。個人的には、防衛増税と同じぐらいのスピード感で少子化対策や子ども予算の倍増も議論を進めてほしいです。

ウクライナに訪問してほしい

 増税も大事ですが、世界へのメッセージを強化してほしいです。イギリスの元首相・ボリスジョンソンのように、岸田総理には、ウクライナに訪問し、ゼレンスキー大統領と会談して欲しいです。次の危機は台湾有事であり、そのためにも、力による現状変更は認めないことを改めて世界にむけ強調し、有事があった場合はヨーロッパ各国に協力を求める、国際世論を味方につける準備をしてほしいと考えています。

ウクライナ支援でNATOの関心をつなぎとめるべき

 ウクライナに取材に行って支援には感謝されましたが、実際金額をみるとアメリカやイギリス、ヨーロッパより日本は支援の金額が少ないです。1位の米国は478億ユーロ、2位が欧州連合EU(350億ユーロ)、3位英国(71億ユーロ)、日本(6億ユーロ)で13位です。経済大国なのに、やる気がないのかと思われてしまわないか懸念しています。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO67203080X21C22A2M11300/

 ウクライナに行き、復興にお金が必要だと感じました。支援強化をして、力による現状変更を認めないことと、民主主義を守ることなどのメッセージを示すべきだと思います。日本や世界がウクライナを見捨てた場合、台湾有事がおこった際に、日本も世界から見捨てられる場合があるという危機感を持つ必要があると思います。

 だからこそ、国連だけでもなく、アメリカに依存するだけの形でもなく、インドやイギリス、オーストラリアなどの国との連携を強めることなどが大事になってくるのです。

戦争を他人ごとではなく自分ごとに捉える

 日本は安全保障を自分ごと化できている人が少ないです。それは、平和教育に問題があると思います。今までの平和教育の多くは、戦争経験者が戦争の悲惨さを伝え、二度と戦争をしないように祈ろうというものが中心でした。それだけではなく、平和を作るために私たちが何をすべきかという観点が必要だと思います。だから私たちは平和を祈る教育から、平和を作る授業をしています。
 私はウクライナに行き、「自国を守るために、どうすれば良かったと思うか」インタビューをしました。そしてウクライナの人が「日本もロシアの隣国だから大丈夫かと心配され、さらに戦争が起きてからでは遅いから備えた方がいい」とアドバイスをもらいました。このように、では、戦争が起きる前に何をすべきかなど考えられる人をつくるべきです。

 例えば、平和を作るために私たちができることはこんなことがあると思います。笑下村塾の出張授業で使っている図です。

 実際に大学で「平和を作るために私たちができること」の出張授業をした際の大学生の感想です。

 「私が今回の講演会を受講して、一番印象的だった言葉が「平和を祈るのではなく、 平和を作る」でした。 漠然に 「平和を作る」 といっても、テーマが大きすぎて具体的な策を考えるのが難しかったり、 私たち のような一般人にできることはないのではないかと思っていたりしたけれど、 たかまつななさんが用意してくだ さったワークシートに取り組んでみると、 私たちでも今日から「平和を作る」ためにできることがたくさんあること を実感したし、次から次へと色々な案が思いついて、それをさらに他の人と共有することで考えがどんどん広ま り、深まっていくことが面白かったし、「平和を作る」ためにできることは無限大なのだと感じました。」

「これまで平和や戦争、 異文化について授業でも学んできましたが、「他国にはこう言う文化があるんだ」 「○○がきっかけで戦争が勃発したんだ」 「この国はこういう歴史を持っているんだ」という学びだけで、 理解した気になっていたのかもしれないと本日の講演を聞いて思いました。 ただ世界中の文化を知り、多様な考えを理解することが 平和につながることは事実です。例えば、 ある資源を得るために紛争が起きた、なぜその資源が必要だったの か、貧困が深刻であり、 政治・社会システムが整っていないなど争いが起きる根源を知ることが大切であると考えます。 このような理解をした先に何があるのか、何をすべきかを考えて行動に移すことが平和を作ることだと思い ます。 経済支援やエシカル消費、 異文化を理解した空間の設置、 物事の伝達などそれらを生活の中に1つでも取り 入れることで平和を作ることができるのではないでしょうか。 一人一人の意識で変えられると私は思います。」

 このように日本が安全保障上、どのような変化があり、どのようなことをすべきかというような具体的な議論をしたかったのです。そして、そのために私たち一人一人や視聴者がすべきこと、できることは何か朝まで生テレビで議論したかったです。

主権者教育はお金がかかる

 私たちは、行動する人を増やしたいと考えています。だから、どう社会に参画し、社会をよりよく変えていくかという主権者教育を大事に考えています。主権者教育で、合意形成する力を身につけ、解決策を提示する人をつくりたいです。これは、田原さんと同じ思いです。悲観するコメンテーターが重宝されがちと嘆いていた田原さんと同じ問題意識を私は持っています。だから私はできるかぎり、悲観した先、問題提起をした後に、提言もしていきたいと思います。

 政治家の片山さつきさんが番組で、「主権者教育はお金がかからないから、やったらいいじゃない」というような発言をされました。主権者教育はお金がかかります。同志たちがお金がないという理由で主権者教育から撤退していったのを私はこの目で見てきました。今の学校教育だと、空虚な模擬投票(実際の政党ではないものに投票する形)で終わっていることも多いです。私たちは、海外に足を運び、海外のいい事例を集めた上で行っています。時には、現地の声をひろうために現場にいっています。ファシリテーションも必要ですし、出張授業の人件費、交通費もかかります。会社の利益だけ考えれば、お金があって交通費のかからない近郊の学校に行けばいいのかもしれません。ですがそれだと教育格差が生まれてしまうので、全国の学校に行っています。地方の公立高校にだって質の高い主権者教育が必要です。

ぜひ支援してください。あなたのご支援で寄付による出張授業が開催できます。
https://www.takamatsunana.com/support

infotaka7@gmail.com
平和学習や主権者教育を実施してほしい方はご連絡下さい

若者の声を聞いてください

 番組の最後には、持続可能な社会をつくるため、この国の未来を背負う若者をもっと審議会のメンバーにいれるべき、若者の出演者を番組でも増やすべきなどとお話させてもらいました。

番組の感想戦や番組で話せなかったことなどYouTubeにアップしました。この国から出て行けと言われた訳などもお話しています。よかったらチャンネル登録もお願いします。
今年は子どもたちと一緒に若者世代の声を政治に届けるために、行動していきたいと思います!
https://www.youtube.com/watch?v=fA_saJbxREs&feature=youtu.be

田原総一朗さんと仲直りしました

 ネットニュースにたくさんなっていましたが、番組終了時には、このように田原さんとは笑顔で仲直りしています!!

 田原総一朗さんはめちゃくちゃ以前から応援してくださっています!!「たかまつさんは現状を悲観するだけではなく、こうすべきというのを話すから楽しい」とおっしゃってくださっています!少しでも社会をよくできるように、頑張ります!

 日本を立て直すのは難しいと思う、だからこそ教育が大事という話をしたのですが、おそらく、その難しいと言ったのが田原さんを悲しませてしまったのだと思います…。

 ご本人からも、Twitterで、「失礼致しました。たかまつさんには絶望しないで頑張り続けて欲しいので、その気持ちをぶつけてしまいました。」とエールをいただいています。

 実はこの半年ぐらい、炎上などが怖くなり、言いたいことがあっても、SNSで黙っていることが多かったんです。でも、朝生に出て、若者の声が届いてないし、打席に立たないでどうするんだと思ったので頑張ります。田原総一朗さんは「たかまつさんは言うべきことを言う人だ」といつも言って下さります。朝生のいいところは、タブーなき議論。これからも、社会をよくしていくため、タブーなき議論を展開していこうと思います。

海外取材や出張授業に行くためご支援お願いします。
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社会を変えられる。変えるのは楽しい。主権者教育で仲間を増やしていきたいと思います。応援お願い致します。

基本的にすべての記事は無料でご覧いただけます。もし有益だと思っていただけたらサポートいただけますと幸いです。「笑いで世直し」するための活動費(イベント代、取材費等)として大切に使わせていただきます。