変わらない関係
数年前のある日
行きつけの日帰り温泉のひとつ隣の席に
キレイめな女性が座っていた
お互いラフなワンピースを着て
鏡の前でドライヤーをしていた
これから基礎化粧品を付けて
あとは家に帰るだけ
ふと私はポーチの中から
「化粧水と乳液のサンプルがあるけど
良かったら使いません？」と
使い切りのサンプルを差し出した
「ありがとうございます」と
キレイな女性は微笑んで受け取り
すぐに開封して使った
私は、その化粧品のスタッフでも無いけど
素直に受け取ってくれた事が嬉しかった
「ここはよく来ますか？」とか
「ここの温泉は良いですよね」みたいな
当たり障り無い話を少しした
話がしやすく
身支度を整え帰る頃には
意気投合していた
その彼女は
独特の雰囲気があり魅力的な人で
ほんの少しの時間を共にしただけで
すっかり魅了されていた
*･゜ﾟ･*:.｡..｡.:*･'.｡.:*･゜ﾟ･*
その場で「この後、お茶行きませんか？」
と言いたい流れだったけど
あいにく予定があり
後日2人でお茶でも行きましょうと
予定を合わせ連絡先を交換し
また会うことになった
ひと見知りの私は
初めて会った人と会うのは
多少の緊張があるものだけど
何故か彼女に対しては、
そんな気持ちを抱かなかった
彼女は結婚していて
私の一回り年下、子供はいない
旦那さまは転勤族で
他の都道府県へ引っ越す事が決まっている
ヴェジタリアンで意識が高く
若い時に世界一周旅行を経験していた
私は離婚していて、子供が1人いて
食べるものにこだわりは無く
野菜しか食べない人っているんだぁと
思っていた
海外旅行へは一度も行った事がない
そんな生まれも環境も違い
仕事も別の業種
何もかも違うのに、とても気が合った
時々
近況報告のLINEをして
「そろそろ会いたいです
久しぶりに会いませんか？」と
お互いに誘い合い
会う約束をして
BARに２人で飲みに行ったり
ホテルに泊まり、夜通し話したり
ジャズのイベントに行った
どこに行っても心地よく楽しく
そんな考えがあるんだ！と
毎回気付きも多かった
旦那さんが転勤族なので
新潟から引っ越しをする日、ギリギリまで
会って、たくさん話していた
毎回驚くほど話が尽きず
まだまだ話がしたいと
またすぐに会いたいと
思える人って、ほんのわずか
おそらく
異性だったら恋に落ちていただろう
それから彼女は
2度の引越しをし、子供を授かり
お互いに住むところも、仕事も変わり
とりまく環境も状況も変化したけど
関係性は変わらず
LINEで近況報告して
深い話も軽い話も出来る関係
彼女が金沢に住んでいると言うので
ある日会いに行った
金沢へ2泊3日でのひとり旅
兼六園
オシャレな店内！
お互いに心地よい時間を過ごせて
とおく離れていても
心はとても近く居られる大切な存在
スイーツセット
地元の商店街を歩き
住んでいる街並みを眺め
尽きない近況報告をしながら
ランチとお茶をした
誰かに会うための1人旅行
誰かが行った先で待っていてくれるって
幸せなんだなと思った
ランチビール
金沢は観光もたくさん
美味しい物もたくさん
良いところでした
また行きたい！
ありがとう！またね！！
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