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エクシア合同会社の研究 その5

 代表社員の菊地翔の自宅が、二人の債権者により仮差し押さえを受けていることが登記上判明したエクシア合同会社。

 先週、文春オンラインで、その会社の問題性について取り上げられた(《500億超の巨額詐欺?》社長は一晩で数千万使い、社員の給料は月額2億! 絶好調に見えた投資会社「エクシア」に裁判所が“踏み込んだ”理由「会社は対応を拒否」 | 文春オンライン (bunshun.jp))。

 

 エクシア合同会社が果たして、発表通りの高利回りを上げられていたのか。


 エクシア合同会社が過去に使用していた海外法人の会計情報から、2015年から2018年に至るまで海外法人に運用実態がないことはすでにエクシア合同会社の研究1及び同2で書かせていただいた。

 ここでは、彼らが発表している決算資料(2015年から2019年まで)と、エクシア合同会社が、出資を募るために使用していた株式会社ノークリーの従業員が使用していた下記表、この数字は、エクシア合同会社の勧誘の入り口になっていたブログの数字と凡そ一致しているため、この表との整合性という観点から分析を行いたい。


<参考>
エクシア合同会社のNo.2 業務執行社員 関戸直生人公認『松井の資産運用ブログ』。


 既に触れているところであるが、これらの表はみるとかなり突っ込みどころがある。

 いま現在のエクシア合同会社のスタンスは、
「社員権現在評価額の説明について、「現在評価額とは、各出資者(社員)の出資金額と当該出資金額に対して分配された損益の合計金額から当該出資者(社員)に配当された金銭の価額を減じた金額である持分金額(当社定款第19条)の基準日時点における時価評価額であり、退社に伴う持分の払戻額です。合同会社を含む持分会社を退社する際に払い戻すべき持分の価額は、退社時における持分会社の財産状況に従って計算する旨が会社法上定められており(会社法第611条第2項)、清算企業価値(帳簿価額)ではなく、継続企業価値として評価・算定すべきとされています(最一小判昭和44年12月11日民集23巻12号2447頁)。具体的な算定にあたっては、当社代表社員が適宜作成・補正する事業計画から予測される将来利益の割引現在価値を計算し、各社員の持分割合に応じて按分した金額が各社員の現在評価額となります。」となっている。

 しかし、社員権への出資の勧誘では、『運用実績』、『利回り』という言葉が使われ、継続的企業価値を算出して、割引現在価値を出しているという文言は使われていない。実際に運用した利益として上記表が示されていたのである。さらに、複利という言葉で、指数関数的に増えていくかのように、まるで金融機関に資金を預けていたように幻惑する言葉であり、その責任は重い。その責任を負う者達については、エクシア合同会社の研究3で触れている。

 なお、現在価値については、「現在価値」が分かればファイナンスの基本が分かる | りそなCollaborare (resonacollaborare.com)を見てもらうとわかりやすい。

 エクシア合同会社は、毎月の返戻率を表示していたが、これは、将来予想される利益を考慮して現在価値が算出されているということか。この数値をどのように算出したのか、その計算式は不明であり、また、その数字について責任を持つ、顧問税理士も今やホームページから削除されている。

 さあ、本題に入ろう。エクシア合同会社は、営業資料で用いていた高利回りを上げていたかである。









 

 エクシア合同会社の研究1,2で見たきたように、海外法人に実態がない以上、DとCの数字は近似値でないとおかしいのであるが、全て乖離している。エクシア合同会社の決算書の数字は、エクシア合同会社が公認し続けてきた利回りの数字と一致することがなく、どちらかが虚偽であるか、どちらも虚偽であるかが問われる結果となる。

 仮に、エクシア合同会社の決算書の数字がある程度の真実を示していたとするならば(決算書上の表記の適法性はひとまずおいておいて)、エクシア合同会社において主張し、公認し続けていた利回りは全くの虚偽であったことになる。

 決算書の数字の正しさについては、その数字を裏付けている証憑を監査すれば、明らかとなるが、エクシア合同会社は、これらの関連書類の開示を求める裁判所による検証物提示命令に、10月3日当日、理由を示さず一切応じていない。また、同命令では、証券取引口座の取引履歴の開示も求められているが、同様に応じていない。

 エクシア合同会社は、営業総利益から販売費及び一般管理費を除いた利益は、2019年にいたっても、8056万円しかない。事業体として生み出した利益が、2019年には8056万円しかないのに、上記考察からすれば、翌年の年利は45.73%との虚偽の情報の発信がなされていた可能性が濃厚である。販管費は、2019年にいたっては、23億円となり、2019年の段階では、まだ、レンタルオフィスであったことを考えると、多くは給与で支払い出されていたことが推定される。菊地翔氏が港区において資産価値数億円の物件をキャッシュで買ったのは、2020年の話であり、その時に所得は、支払う税金を考えても、少なくとも10億弱であったことが推定される。エクシア合同会社No.2の関戸直生人氏の年収は一時20億円とも喧伝されており、少ない営業利益から考えれば、売上総利益の多くは、構成員、勧誘者に支払われていたことは想像に容易い。



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