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SNS時代の表現

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SNS時代の表現について書いた自分の文章を集めたマガジンです。
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#日経COMEMO

大雨の日に僕らの日常について考える

日経を見ていたら、こんな記事が出ていました。 京都市立芸術大学は僕の友人も何人か通っていて、一度遊びに行ったことがあります。ちょうど僕が大学院に通っていた頃の話だから、もう20年近く前の話。その頃僕は桂に住んでいて、沓掛キャンパスも近かったんですね。そうか、あのキャンパスが京都駅の東側に移るんだ、そのこと自体知らなかった。 で、そのキャンパス移転が行われるに際して、元の沓掛キャンパスを「写真アーカイブの展示場」として残すプロジェクトが進んでいるそうです!すご、さすが芸術大

若い人こそ資産形成をいますぐ始めるべき、たった一つの理由

(1)日本もようやく「お金の話」ができる国になるらしい今日は珍しくお金についてお話ししようと思ってます。日本の経済の猛者が集まっている日経COMEMOで、経済学を学んだこともない、文学研究者(兼フォトグラファー)の僕が、資産形成の話をする。うん、落とし穴ばかりの無茶なテーマ設定ですね。でも書かせてください、理由は下の方で。 ところで、そもそもなぜそんなテーマを思いついちゃったかというと、きっかけは日経のこの記事を読んで衝撃を受けたからです。 なんと、この4月から、高校生た

文学の研究者が10億円調達したスタートアップの外部顧問に就任した件

若干あおり気味のタイトル、すんません。でも嘘は一言も言ってなくて、本日PRが出されました。 そして10億円というのもほんと。10億て。桁数。 というわけで、カメラ界隈の皆さんには既にもうそのサービスは浸透し始めているカメラサブスクサービスGOOPASS、そのコミュニケーションアドバイザーとして、同じくエクスペリエンスアドバイザーを担うGo Ando氏(Twitter: @goando)と一緒に、アドバイザリーチームに就任することになりました。 (↑星空の下で未来を語る新

人間は全て、実は「魔法使い」である可能性を日経のマガジンで真剣に考えてみる

今日は日経COMEMOのマガジンで真剣に魔法について考えてみたいと思います。もちろん「魔法のようにチャーハンがおいしくなるマル秘レシピ」とかの比喩じゃないです、本物の魔法、エクスペクトパトローナム!!とかイオナズン!とかの話。あ、待ってください、大丈夫です正気です。本当に真面目に考えます、大丈夫です是非お付き合いください。なぜ急に魔法のことを言い出したかというと、自分のこのTweetがきっかけです。 「格調」と書くべきところを「拡張」ってタイポしたのが恥ずかしいんですが、割

「残酷なコモディティのテーゼ」に立ち向かう2020年代のクリエイターに必要な資質

書き終えたら文字数6000字になったので、最初にまとめ置くことにしました。今日の話は以下が結論です。 1.この世界は人間も含めてコモディティ化の波を避けられない 2.そこで生き抜くためには、常に「未踏の領域」を見出し続けなくてはいけない 3.そのためにはコミュニケーション能力が必要だよ これだけ。で、本論は 「(3)回避策2「絶対恐怖領域」」以降なんで、本論だけしゃしゃっと読んでいただける方は、下の目次より飛んでください。よろしくお願いします。 (1)残酷なコモディティ

地元が128個の公式アカウントを乱立していたことに絶望しながらSNSとPRについて語る

(1)滋賀のSNS活用が本当にしんどい件先日、こんな記事を読んで愕然としました。 滋賀県が持っている県公式のアカウントが128個あるらしいです。128個!そのうち僕が知ってるのってせいぜい数個で、その数個もうまく活用できてるという印象がほとんどありません。暗澹とした気持ちになりました。特にこの部分がきつい。引用入れますね。  インスタグラムのアカウント「shiga_covid19vaccine」は、新型コロナウイルスワクチンの接種呼び掛けに活用しようと、県ワクチン接種推進

個人クリエイターが仕事を拡張していく5ステップ

先日、ちょっと同業者の友人と話している時に、「別所さん、2022年は越境の時代になるってこの前書いてたけど、どうやって個人でそんな風にスケール感出せるんですか?てか、仕事って、そもそもどうやって拡大するんですか?ただの一クリエイターにとって、別所さんのいうような仕事の広げ方って割と難しいです」みたいなことを言われて、思わず「むむっ」と唸りました。 確かに僕は、割と上のようなことを言いがちだし、自分のキャリアパスを見返すと、ジャンルを越境しながら仕事の範囲をスケールしてきたの

越境の人材が必要な理由と、越境した人材が意識すべきこと

2022年の最初の記事になります。みなさん、あけましておめでとうございます。本日1月3日です。今年は1月1日から仕事をしていて、去年は31日の21時頃まで仕事していて、まだ正月休みらしいことをほとんどしてないんですが、まあクリエイターなんてこんなもんだよなと思いながらも、仕事を依頼してくださるクライアントの皆さんだったり、あるいは作品を見てくださる方には、感謝している年始です。僕は多分すごく幸運な立場にいると、年始に思いました。 さて、2022年ですが、個人的にはいろんなこ

実際にNFT取引をしてみて感じた可能性

先月僕は、こう言う記事を日経Comemoに投稿しました。 これがたった2ヶ月前です。この時点で書いたように、僕の周りの写真家がNFTで写真を販売開始し始める人が出てきたなー、くらいのテンションでした。一方、この波はいずれすぐに大きくなることも予感していて、文章の最後にこんなことを書いています。 「リスクと不安を掻き立てるような文章だったのかもしれませんが、実は僕はこういう新しい技術が大好きです。NFTも早くちゃんと理解して、自分自身で使えるようになりたいと思っています。ぜ

現実のインフレとしてのメタバース(あるいは「異化の無効化」とアートの再構成)

(1)アートとは異化である(と個人的に思う)アートって、いろんなジャンルがありますよね。絵画や音楽のような伝統的なアートから、比較的新しい写真、さらには映画もアート文脈で語られます。それぞれのアートは特有の歴史を持ち、磨き抜かれた専門の知識があり、そして出力するための違う媒体を使うので、アートと一括りに言っても一見共通項はほとんど見出せません。でも一つ、「アートとは何をやっているのか?」という問いに対する自分の見解を書くとするならば、次のように考えています。 アートとは、現

Google Pixel 6で見えてきた、カメラと写真の未来(コミュニケーターとしての写真)

今日の記事はPixel 6という、Googleが10月末に発売した新しいスマートフォンにまつわる話です。ただ、発売して半月が経った今、たくさんのレビューがすでに世に出ており、いまさら屋上屋を架す意味はほとんどありません。ですので、今日の記事では、Pixel 6を半月間、ほぼ肌身離さず使う中で徐々に形作られきたある予測についてお話ししたいなと思います。その予測とは、Pixel 6を通して見えてくるカメラと写真の未来です。具体的には「写真は今後コミュニケーターとなっていくだろう」

「SNSの向こう側」を示す、プロセスエコノミーとオンラインコミュニティの親和性

いくつかの全く関係なさそうに見える事象の一つ一つが、実は大きな流れを形成する一つ一つの「支流」だったということは、後になってわかるということは時折あります。 現在、後から見返したときに「あの時大きな流れが出来始めてたんだね」と思い返すことになりそうな物事が起こりつつあると思ってます。その一つの表れが、サークルやサロンという形態で可視化されつつある、「コミュニティの模索」ではないかと。今日はそのことについてお話ししようかなと。先に結論を書いておきますね。 プロセスエコノミー

「スリランカの三人の王子」が、分断したこの世界を救うのかもしれない

先日COMEMOにこんな記事を投稿しました。 自分で書いておきながらなんですが、記事の最後は救いがなくって、「最近分断が進行してるって話をよく目にするけど、そもそも結束してたってのが幻想で、最初からずっと分断してたよね。単にそれがコロナ禍で劇的に可視化されただけですよね」と言う感じで話を進めてます。でもね、救いがないかもしれないんですが、この認識からスタートしないとダメだと思ってるんです。その理由は、現在の世の中の流れが、この「可視化され始めた分断」を利用することで、利益を

21世紀の「善悪の彼岸」(あるいはキャンセルカルチャーの果ての世界)

今日は好きな映画の話から始めさせてください。ポール・ハギス監督の「クラッシュ」という映画について。確かアカデミー賞を取ってるはずです。どういう映画かというと、典型的な群像劇で、数人の登場人物たちがその運命を絡ませながら、ある1日に起こる物事の顛末を重層的に描き出すというものです。それぞれの物語はエピソード的に独立しつつも、映画の途中で登場人物たちが混じり合い、予想もしなかった結末を辿ることになります。時にそれはささやかな救済に、時にそれは救いのない悲劇に。物語の中心のテーマは