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SNS時代の表現

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SNS時代の表現について書いた自分の文章を集めたマガジンです。
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#日記

文章苦手な人がまず心がける約10個の事柄

最近写真家やクリエイターの方に「文章どうやって書いたらいいですか」とか、「人前で話すときのコツありますか」とか質問を受けることがあります。その都度、「いや、俺は本当は文章苦手やねん」とか「極度の人見知りで本当は人前で話すのは嫌なんだよ」とか言ってるんですが、あんまり信じてもらえないです。なんかやたら書いたり、話したりしてるし、教員という仕事柄もあって、文章系のことが得意だと思われがちなのかもしれません。でも、本当に文章書くのも話すのも苦手で、逆にいうと、それだけマジで苦手意識

すべての「何かを作ろうとしている人たち」に

文学研究者という職業なのか趣味なのか分からないような作業に従事し始めたのは博士課程に在籍してた頃のことでした。その時僕は20代の後半になったばかりで、研究とは何か新しいものを見つけるための作業だと思っていました。 30代に入った頃、ふと大きな虚脱感に襲われました。村上春樹がかつて、『ダンス・ダンス・ダンス』の中で、雑文書きの仕事を「文化的雪かき」というふうに表現していて、研究者として「さあこれから」という30代の頭のころ、その表現を思い出したのです。自分の人生は盛大な「言葉

好きなものを好きというときに気をつけていること(あるいはヘイトの取扱に関して)

本日クリスマス、もれなく働いております。昨日のクリスマスイブも祝日ですが働いておりました。最近の大学は祝日は大体授業日に割り当てられてるんですよね。というわけで、世間のクリスマス気分を横目に見つつ、うだうだ授業をやってると、「なんだよ、All I want for Christmas is youじゃねえですよ、ほしいの休日だよべらんめえ」とか、ちょっとだけ愚痴も言いたくなります。今日がっつり働いている多くの人が、どこかで「まったくよー」とこぼすのは、それはまあしゃーないと思

「その間」という考え方

2011年ころから写真をやり始めたとき、自分がここまで写真にハマってしまうとはあまり考えていなくて、それというのも、中学生のときに修学旅行の写真を家に持ち帰ったら、母に「ほんとに写真下手だねえ」と言われたのを気にして、それ以後の人生でずっと写真から逃げてたからなんです。何気ない一言で人生ってずいぶん影響受けるんだなというのも思いますが、ある意味ではそうやって写真から遠ざけられていたからこそ、2011年頃のデジタル一眼レフブームが来たとき、その可能性に一瞬で魅せられたのかもしれ

メディアとしての写真が「媒介」するもの

3時間目開始まであと19分。で書けるテーマでは本来ないので、エッセンスだけ短く行きますね。 12月7日に関西大学で講演の予定なんですが(一般公開なので、お時間あればぜひ!)、その一つの目的は、写真を撮る学生さんたちに対して「写真」というものの属性を、今一度考えてもらうきっかけを作れればと思ってるんですね。というのも、いまさらマクルーハンを持ち出すまでもなく、写真という表現はある種の「メッセージ」を伝えるコンテンツでありながら、この世界の実相を媒介して伝える「メディア」的特性

写真家の立場でみる「多様性」について(あるいは、懐かしき「白と金」と「青と黒」のドレスへ捧げるオード)

数年前の話ですが、広範囲に話題になったので覚えておられるかもしれない「白と金」「青と黒」の色のドレスの話です。以下にその時起こったことがまとめられている記事がありましたので、ご存知無い方はご参照ください。 ちなみに僕はこのトップ画像のワンピースは「白と金」に見えます。初めて見た瞬間、これは「青と黒に見える人が結構いるだろうな」と直感的に思いました。一応写真を仕事にしている立場上、この写真のからくりというか、なぜ「白金に見える人」と「青黒に見える人」の違いが出るのかよくわかっ

みんなが「専門家」でありみんなが「表現者」である時代に、専門家や表現者になるということ

このノートを書いてるのは、日本対ベルギーの試合が終わった日の火曜日のお昼休みの時間です。素晴らしい試合でした。何より、圧倒的にフィジカルの強い相手に対して、あそこまで勇猛果敢に前へ前へと向かった姿に感動しました。おそらく日本の子どもたち(だけではなく、大人もまた)は大きな勇気をもらったことだろうなと思います。 そんな今回のワールドカップを、時折ツイッターでブツブツいいながら手元のタブレットで見ているわけですが、そのスタイルはなんとも楽しいものでした。普段は単に写真をアップす