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SNS時代の表現

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SNS時代の表現について書いた自分の文章を集めたマガジンです。
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2021年1月の記事一覧

SNS時代における「物語」の意味

前回、前々回の記事の中で、コモディティ化するSNSにおける表現について書きました。その中で、そのような事態がさらに進展することが予見される20年代においては、物語が重要であるという結論を書きました。 最後の方で「how化できない視線として「物語」が存在する」と書いたんですが、具体的にはそれは一体どんな物語なのかは書けていませんでした。今回は、20年代のSNS空間における「物語」とはなんなのかを考察します。結論は一言でまとめられるんですが、「創発的なコミュニケーションを内包し

表現のコモディティ化と感受性の無気力化

今日の記事は前回の文章の続きの話になります。前回の文章が「SNSにおいては表現がことごとくコモディティ化してしまう」という話でした。そして記事の冒頭にあとから付記した大事なことなんですが、あの文章は「システム論」なんですね。言い方を変えると、「個人の力では逃れることができない巨大な動き」の話でした。そして今回はそのシステムに巻き込まれた我々人間に何が起こるのかということです。前回が「作り手」側の視点での話だったとすると、今回は「受け手」側の視点からの分析です。 再び最初に要

SNS時代における「表現のコモディティ化」

今回の文章は、この2年ほど色々書いてきた「SNS時代の表現」というテーマの、現状におけるまとめみたいな話になります。最初に要旨を書くと、たった一文でまとめられます。それはこういうことです。 SNSにおける情報伝達の超高速化によって引き起こされる「表現のコモディティ化」に、我々はどうやって抗うのか。 この場合のコモディティ化とは、「ある表現が瞬く間に代替可能品で溢れかえるようになること」を指します。つまりSNS時代、特に今後5Gが整備され、情報伝達がさらに加速化し、空間の距