時価総額二桁億からの脱皮

こんにちは、株式会社テトラワークス、MinamiFujiGroupの大庭です。
今回は、楢木さん(@TakeshiNaraki)のご紹介に預かり、公認会計士Advent Calendar2023にお誘いいただき、初めてのnote投稿させていただきます。

はじめに

まずは簡単に自己紹介させてください。
現在は、3つの仕事領域を軸に仕事に取り組んでいます。

➀ 株式会社テトラワークス
上場会社で時価総額が2桁億に沈む会社は、上場会社約4,000社の内、1/3の1,200社~1,500社前後存在していますが、これらの会社は実質的に上場会社としてのメリットを享受することが不可能です。(詳細は後段でご説明しますね。)
これら時価総額2桁億の会社群に対して、成果報酬型で支援を提供するということが、テトラワークスのミッションであり、私自身の新しいチャレンジ領域のお仕事となります。

➁ MinamiFujiGroup
監査法人である南富士有限責任監査法人、シンガポール法人であるMINAMI FUJI ASIA PACIFIC SINGAPORE PTE LTD から成る事業体グループになります。
上場会社や上場準備会社の監査業務をやらない、ということを先に決めて、それ以外の領域の業務支援に比重を置いています。

③ 社外役員
上場会社と上場準備会社の社外役員として企業をサポートしています。
➀と➁の仕事は比較的会社に近しい領域での仕事になりますので、③は客観的に外部から会社をみる立場ということで、仕事に取り組んでいます。

時価総額が2桁億に沈む会社の特徴

➀ 産業そのものの”旬””トレンド”を過ぎている事業から抜け出せていない会社群

 事業は10年も経過すれば、その”旬”の時期を過ぎるものです。しかしながら、人はDNAレベルで過去の成功体験を捨て去ることは困難、であることから、人の集合体である会社組織であればなおさらです。結果、事業転換のタイミングを見誤り、トレンドが過ぎ去った事業を引き続き継続している企業は意外に多いのが実態といえます。
 こういった企業群においては、社内において「新規事業」を取り組むとしてもそもそもその経験がない方々が多いので、運用することが難しい、したがって、M&Aにより外部から成長可能性のある事業を迎えいれなければなりません。ただ、その意思決定も中々ハードルが高いもの。こういった会社は20年近く前に上場した会社が多く、かつ地方に本社を構えている会社にその傾向が強くみられるといえます。

➁ 経営陣の事業意欲が失われている会社群

 意外に多いのがこのケースです。上場から年数が経過している会社であるならまだしも、上場してからまださほど期間が経過していない会社においても多いと言えます。特に、上場プロセスそのものは「受験勉強」と同じプロセスですので、難関校を合格した受験生が大学進学後に燃え尽きてしまうのと同じで、上場準備を無事乗り越えた会社群にも多くみられます。

東証の時価総額800兆円近くの内、既に海外の機関投資家は、1/3近くを占めている現状。


上記の通り、東証全体の時価総額を約800兆円とすると、その1/3は、海外の機関投資家が締めている状況であり、日本という島国の特性上、これ以上、海外の機関投資家比率を大きく高めていくことは現実的に難しい状況といえます。
一方で、個人投資家の金融資産総額2,000兆円超に対して、株式マーケットに注がれている金額は約140兆円~160兆円程度であり、実に2,000兆円に対しして、10%にも満たないのが現状です。

機関投資家が投資したくても投資できないサイズの上場会社群

上場会社とはいえ、時価総額30億、50億の会社群に対して、機関投資家は投資したくてもできないというのが実態です。背景としては、売買高が少なく、仮にそれなりの投資額を投資すると仮定した場合、株価が大幅に上昇してしまい、結果として取得単価が跳ね上がってしまうケース。また、無事にある程度まとまった株式を取得できたとしても、市場で売却しようとした場合に、大きく値崩れを起こしてしまうケース(売りたいときに売ることが出来ない)が想定されるためです。
結果、時価総額が低い企業群は、個人投資家を中心に資本政策を組まざるをえません。

上場会社といえども、ひとくくりにせず時価総額に応じた施策と対応が必要

時価総額が300億を超えてくると、株式市場を活用した公募増資が現実的に可能となることから、この規模感を目指すことが上場会社群にとって目安となります。
時価総額が低い企業群は、➀80億円未満の会社、➁80億円超~300億円未満の会社、③それ以上の会社、この3つのカテゴリに分けて対策を考えることが非常に有効です。
それぞれの対策を講じることで、「業績が伸びているのに株価が振るわない」といったジレンマを解消することに繋がります。
あくまで、株価とは足元の実績を踏まえた期待値に基づいて形成されます。したがって、身の丈以上の株価についてはIR活動を通じて当社が考える適切な株価に落ち着けることが担当者には求められます。一方、割安な株価については適切な株価に押し上げることがIR活動を通じて求められるといえます。

さいごに

業績は好調であっても株価が振るわない(PBRが1.0を割っている)、IR活動を企画しても機関投資家との1on1が入らない。こういった背景には、相応の理由があり、その理由を紐解く活動や探求心がとても大切です。
そこには、明確な答えを提供してくれる「誰か?」は存在しません。一方で、市場の声に耳を傾ければ、「投資したくても投資できない」、「上場したからにはエクイティファイナンスをしたいが、実務上難しい」、様々な意見をうかがい知ることが出来ます。同時に、こういったジレンマは資本市場を取り巻くプレイヤー(発行体、投資家・株主)を大きく悩ましています。
このような観点から、上場会社群をみていくとまた新たな視点として面白いかもしれませんね。

皆さんのご参考になれば幸いです。



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