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薫風という風


薫風自南来くんぷうじなんらいという禅語があります。

新緑の間を吹き抜け
若々しい緑の香りをもたらしてくれる風

南のほうからやってくる薫風が
爽やかな気持ちにさせてくれる


季節感を感じられる禅語で、
たった五文字の言葉の中には、
五感で感じられるような情景が存在していて、
想像力が掻き立てられます。

禅語って不思議だなぁと感じるのと同時に、
そこに楽しさを感じます。



静かなお茶室に、
柔らかな薫りのする、少し暖かい、
薫風という風が通っていく。
何処からか、
新緑の葉の、草花の、揺れる音が聴こえてくる。



お軸の禅語ひとつで、
お茶室の季節感や、雰囲気まで演出してくれるのです。


日頃からお世話になっており、
いろんなお話をしてくださるお茶の先生は、

「今年もまた、このお軸に逢えました。」
とよく言われます。

「新しいものも素敵だけど、こうして今年も、
この時期に見ることが出来ました。」


そう言われる先生の感性が素敵で、
その感性に触れられることが、心から幸せだなぁと感じます。

先生に大切にされているお道具たちも、
きっと幸せだろうなぁ。と思いながら、
「価値」というものを感じました。


この時期にまた逢える


季節というものを、じっくりと味わっていたら、
こんな素敵な言葉を、自然と言えるようになるのかもしれません。

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