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タイ人向けの和食レストランは行く必要はない?

 爆発的な和食ブームのタイ。2010年前後、スマートフォンの普及=タイのSNSの発展で、これに合わせて和食人気も盛り上がった。それまで一般タイ人はタイ料理以外をあまり評価しなかったが、映える画像を撮るためにいろいろな国の料理を食べるようになった。そこで一番人気なのが和食というわけだ。入り口はなんであれ、かつては刺身は気持ち悪い、和食は味がない、とか散々言っていたタイ人たちが和食を楽しむようになったのはいいことだ。

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 ところで、ボクは頑なに「和食」と呼ぶが、今は「日本料理」が主流になっているようだ。タイに来たばかりのころでさえ、日本料理なんて呼び方はなかったと思うのだが。2013年に「日本料理」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことでその呼び方が定着したのでしょうか。

 そんな和食だが、もちろんバンコクには2010年以前にも店はあった。ただ、地方にはほとんどなく、基本的にはバンコクを中心のみ。日本人経営や日本人向けの店は基本的には駐在員向けで、値段設定が高く、現地採用だとかただいるだけの不良長期滞在者はあまり行かなかった。

 タイ人向けの和食レストランもいくつかあった。今だとオイシ・グループが思い浮かぶだろうが、ボクが初めて来た1998年にはオイシはどこにもなく、フジレストランがすでにどの商業施設にもあった。それから、2番目に多かったのが今回の画像を撮った「ZEN」だった。

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 98年どころか、2000年代初頭はタイ人向けの店は本当にタイ人向けの味つけで、ある意味、衝撃のクオリティーだった。ZENは当時ほとんど行ったことがないのでわからないが、フジレストランは日本人が経営しているので思いっきりタイ人向けに舵取りしたことがわかる。

 それでも最近はだいぶ日本人向けになったと思う。まだまだ日本の味ではないものの、タイ人だけがおいしいと思うレベルから脱したというか。それともボクがタイ人化しておいしいと思うようになったのか。

 上記画像はサーモンの親子丼だった気がする。いや、サーモン三色丼だったかな。タイ人はサーモンがとにかく好きだ。サーモンの刺身なんて今の日本の若者には普通かもしれないが、ボクが子どものころは豚肉とサーモンは絶対に生では食べられないと言われてきた。寄生虫がいるからだ。だから、ボク自身、初めてサーモンの刺身を食べたのはタイ国内での話になる。

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 タイ人向けの和食店で必ずと言っていいほどあるのがこれ。アボカドサラダだ。フジレストランにもあるし、ほかのタイ人向けレストランでも見たことがある。言うほど和食ではないと思うのだが、でも確かに日本でしか見たことがない気もするし。

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 タイ人向けの和食レストランに行くメリットは、日本で食べる大衆的なメニューのほとんどが揃うことだ。うどんやそばもある。これは牛肉のそばだったはず。でも、よくも悪くもタイの牛肉なので、ものすごく硬かった。

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 タイ人向けの和食レストランには驚くほどの高級店もある。でも、ZENやフジは今でも大衆向けだ。と言っても、一般的なタイ料理よりは高いけれども。

 高い店は、日本人シェフを招いたり、和食経験者を置いて、本当に本格的だったりする。日本人のようにハイクオリティーを安くなんて野暮なことをタイ人は言わない。いいものは高いという当たり前のことを、タイ人は当たり前に考える。だから、値段設定はいくらでも高くできるので、その分、いい食材、いい調理師を揃えることができる。今やタイ国内の和食はタイ人には敵わなくなりつつあるので、タイの日本人飲食店関係者は危機感を持つべきでしょう。

 とはいえ、大衆向けはまだまだ。だいぶ日本の味に近づいてきたのに、それでもカニカマを刺身として堂々と出すくらいなので、まだこの程度なのだ。まあ、これくらいのほうが雰囲気的には入りやすさがあって、メリットでもあるけれど。

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