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肩関節のセルフケア

C-I Baseballトレーナーマニュアル

✅野球現場編
✅臨床編
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トレーナーマニュアル
の概要は以下をご覧下さい!

C-I Baseball育成プログラム

私たちC-I Baseballは「野球トレーナーの輪」を広げるために「仲間」を募集しております!
育成メンバーは随時募集中です!
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■はじめに

肩関節は投球動作において大きな貢献度を持つ関節であり、それ故に大きな負荷がかかります。
投球動作を反復する野球選手において、肩関節周囲の日頃のケア・コンディショニングは怪我防止、パフォーマンスの維持のために必要不可欠です。

肩関節や肩甲骨を柔らかくするためのストレッチ、
安定化のためのトレーニング・エクササイズなどは過去のnoteをご参照ください!

今回は肩関節に絞って一人でもできるセルフケアをいくつか紹介していければと思います。

■肩のセルフケアを行う意義

一般的に野球選手の肩関節では外旋可動域が拡大し、内旋可動域が減少することが報告されています。
2nd外旋可動域と2nd内旋可動域の総和(=TRM: Total Rotational Motion)をシーズンを通して維持していくことが重要になります。

TRMが減少することによる投球障害のリスクが上がる

Wilk KE et al.:Correlation of glenohumeral internal rotation deficit and total rotational motion to shoulder injuries in professional baseball pitchers. Am J Sports Med.2011;39 (2): 329-335

また投球動作において肩関節で十分な出力を発揮できなければ遠位の肘関節や前腕・手指でその機能を代償するようになり、肩関節以外の障害にも繋がる可能性があります。

また、後方タイトネスにより肩関節の求心位がとれていない場合、肩挙上可動域の制限を来す場合があります。

・TRMが5°減少することにより肘障害のリスクが2.6倍になる.
・非投球側に比べ5°以上の肩挙上制限があると肘障害のリスクが2.8倍になる.

Kevin E Wilk et al. Deficits in glenohumeral passive range of motion increase risk of elbow injury in professional baseball pitchers: a prospective study. Am J Sports Med. 2014 Sep;42(9):2075-81.

🔽下記noteの”投球後のリカバリー”の項目も是非参考にしてみて下さい。

肩甲上腕関節の運動を正常化させることは投球障害のリハビリにおいて非常に重要ですが、選手自身が日々ケア、コンディショニングすることで投球障害を未然に防ぐことに繋がると考えます。

また、肩関節の安定性を司る要素の一つである回旋筋腱板の滑走障害や伸張制限があれば肩関節の筋出力が低下します。

メディカルチェックで痛みのなかった選手をコントロール群と比較した研究では,痛みを有する群で外転筋力や外旋筋力の低下を生じる割合が高かった.

小山太郎, 伊賀崎 央, 河西正寛, 新宮由幸, 福田尚子, 緒 方隆裕, 原 正文:肩関節における投球時痛の有無と理 学所見について, 九州・山口スポーツ医・科研究会誌, 23: 181-185, 2011.

腱板の出力不全により肩関節の外転や外旋の筋出力が低下すれば、投球時の痛みに繋がる可能性があります。

■セルフケアの実際

今回はセルフケアがテーマなので選手1人でできるメニューというものに絞って紹介していきます。

◉肩・上腕の筋の回旋量確保

肩関節が回旋運動を起こす際、骨が関節部で回旋するのは当たり前ですがそれに伴って周囲の軟部組織も追従するように回旋します。
その動きの量を確保するためのセルフケアになります。

https://vimeo.com/784105019/5b31685366

|方法
・上腕骨を回旋させながらそれぞれ上腕二頭筋、上腕三頭筋、三角筋の筋実質部をひねります。

◉大胸筋

大胸筋のタイトネスは肩外転、水平外転可動域を制限します。
スムーズなテイクバックおよびMERを迎えるためには胸筋群の柔軟性・滑走性が重要となります。

https://vimeo.com/784105041/2eb403f319

|方法
・背臥位で大胸筋の筋腹をつかみ、上方に持ち上げながら肩関節の外転、外旋運動を行う。

冬にベンチプレスなどのウエイトトレーニングをやり込む選手は大胸筋が硬くならないように可動域の確保も並行して実施してみてください。

◉2nd外旋に合わせた肩峰下のモビライゼーション

肩関節外旋制限の原因となる筋としては肩甲下筋、大円筋、広背筋などが挙げられます。
それらのストレッチはもちろん重要ですが、その他に重要な事としては上腕骨頭前面および上方にある組織がしっかりと肩外旋時に肩峰下に潜り込むことです。
具体的には棘上筋肩甲下筋、肩峰下滑液包などになるかと思います。

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【C-I Baseballトレーナーのトレーナーマニュアル】 投球障害肩・肘、腰痛、捻挫、肉離れ、下肢障害など野球におけるケガの関りを専門…

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