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エスコン移転で得点は入りやすくなったのか?データから考察してみる

はじめに

ついに球春到来しました。あけましておめでとうございます。
2024年最初のnoteのテーマはエスコンフィールド。2023オフは移転による恩恵としてエスコンマネーが話題になりましたが、今回は移転による広さの変化と、それに伴う得点・失点の変化をデータを踏まえて考察していきます。
※サムネイル画像の提供はフォロワーさんからです。感謝…🙏



PF(パークファクター)を用いた分析

パークファクターという指標を聞いたことがあるでしょうか。1.02から概要を引用します。

球場の特性がプレーに与える影響、あるいはそれを特定の側面について数値化したもの。異なる環境下でプレーする選手同士を比較する際に成績を補正する目的等で使用される。

得点のパークファクターが1.10であれば、その球場は同じリーグの平均的な球場に比べて1.1倍得点が記録されやすい打者(攻撃側)に有利な球場ということになる。

(中略)

原理的には、チームの能力に影響される指数ではない。すなわち、攻撃力の高いチームでもそれによって得点のパークファクターが高くなるわけではない。

https://1point02.jp/op/gnav/glossary/gls_explanation.aspx?eid=20016

長いッ!という方のために今回のnoteで扱うパークファクター(PF・HRPF)を一言でまとめると、他球場に比べてどれだけ得点・ホームランが出やすいか(チームの能力で値は左右されない)ということです。値は大きければ打高、小さければ打低です。

※今回はエスコン移転後初シーズンということで個人で1年分(2023シーズン)のみ集計しました。普通は複数年集計した方がいいとされているので、上振れ・下振れなどブレが起こった可能性もあります。そして凡ミスもあり得るので参考程度にしてください。
※札幌ドームのPFのみ「日本プロ野球RCAA&PitchingRunまとめブログ」さんから引用しました。


パリーグ6球団の本拠地のパークファクター

まずエスコンを見ると、得点(PF)は0.96倍と若干出にくい(打者に不利)程度で、微差ですが札幌ドームより得点が入りにくいという結果に。
ホームラン(HRPF)は0.89倍と、狭さの注目の割には意外にも出にくい球場ということが分かりました。しかし札幌ドームよりはホームランが出やすいこともわかります。

PFを可視化してみました

棒グラフにしてわかるのは、エスコンはまあ平均ぐらいということです。
パリーグの中では4番目の数値です。楽天モバイルとベルーナドームは頭一つ抜けて低く、ZOZOマリンが唯一の1.10台に到達していますが、それ以外の3球場+札幌ドームは大差がないことがわかります。
ちなみにエスコンと札幌ドームは微差程度の違いです。

HRPFも同様に

先ほどのPFと比べると明確な格差があります。隣り合う京セラとZOZOマリンの差が凄まじい。
ホームランテラスを設置したZOZOマリンとPayPayは飛び抜けて値が大きく、長距離打者に有利なヒッターズパークということが見て取れます。これを見ると改めてホームランテラスの効果がわかりますし、中日ファンが熱望するのも理解できます。
対照的に楽天モバイルと京セラドームは明らかに打者に不利で、2023年に限ると札幌ドームすら下回るのは衝撃でした。楽天モバイルに関しては狭さの割に低すぎるので下振れた可能性は考慮すべきです。
ベルーナドームとエスコンは1.00を僅かに下回っている程度です。

まとめると、パリーグの本拠地の中で、エスコンは得点の入りやすさはマイナスとヒッターズパークではないものの、札幌ドームよりはホームランが出やすい(打者にとってはマシな)環境であることが分かりました。もっと打者に有利な球場になるかと予想していたので、PFとHRPFのどちらも1.00を下回るのは意外な結果でした。そしてテラスは偉大。


ファイターズの打者はどの球場で多くホームランを打っているのか

実際にファイターズの選手はどの球場を得意としているのか、シンプルに球場ごとのホームラン数を集計し、1試合あたりの数値を出してみました。

2023の全球場の結果
こちらはパリーグの本拠地のみ

ファイターズは2023年の143試合で100本塁打と、1試合あたり平均0.7本ホームランを打ったという結果に。エスコンは1試合あたり0.66本と、全試合の0.7本と比べると僅かに下回る結果になりました。全試合平均の0.7本とエスコンのHRPF0.899を掛けると約0.63と、エスコンの平均0.66本と近い結果であることがわかります。
上から東京ドーム、PayPayドーム、横浜とやはり狭い球場が上位を占める結果になりました。
サンプルの少ない交流戦や地方開催を除き、本拠地のみのデータをまとめたものが下の画像です。万波が打ちまくった印象のあるPayPayドームが1位。HRPFが高いZOZOマリンは2023年に限っては下振れたのか、ロッテの投手陣を苦手としていたのか、5位に。エスコンが上から2番目ですが、2~4位は団子です。
PF、HRPFと同様に、エスコンは真ん中付近の順位に位置する結果となりました。


気温と打球の飛びやすさの関係

気温が低いと打球が飛びにくいという物理学上の事実がありますが、実際にエスコンは春先と夏場でホームランの出やすさが変わったのか調べてみました。
気温とホームランの出やすさに関する興味深い記事も貼り付けておくので、このnoteを読み終えた後にでも、是非。


エスコン月別本塁打数

体感では春先の3、4月はホームランが少なかった印象でしたが、1試合あたりの平均は夏場の8月と同じく最多でした。2023年に限って言えば、気温とホームランの数が比例しているとは言えない結果になりました。
そもそもエスコンは基本的にドームなので気温が低いのかもわかりません。そして北海道の気温が影響してエスコンのパークファクターを全体的に下げている可能性もあります。まだまだ未知なことが多いので、素人なりにデータを取り続けて検証したいと思います。


札幌ドームのフェンス直撃数と相関はあったのか?

2年前にnoteで取り上げた札幌ドームのフェンス直撃数。これをエスコンではホームランと仮定したら…というテーマでした。このフェンス直撃→ホームランと仮定して出した2022年の成績を2023の成績予想値とし、実際の2023年の成績と比較して相関があるのか検証していきます。

↑のフェンス直撃数のnoteはあまり「スキ」が伸びていないので(小声)、読んでいただけると嬉しいです…!こちらをさっと目を通していただけると更に面白くなるかと思います。

僕がフェンス直撃数を調べるにあたって参考にした方のnoteです。めちゃくちゃ面白いのでファイターズファンの方も是非。逆に中日ファンの方にも今回のnoteは楽しんでもらえるはずなので、拡散してもらえると泣いて喜びます。


今回はフェンス直撃数との比較が本題なので、2022・2023両シーズンで一定以上の出場機会があった選手に絞っています。また、おまけとして2023年に移籍して球場の広さに変化があった近藤、アリエル、伏見、郡司、山本拓実の成績も載せています。
今回は野手は打力の評価に関わるOPSと本塁打率、投手は防御率とHR/9(9イニングあたりの被本塁打数、平均は0.8程度)に焦点を当てて比較していきます。本塁打数と被本塁打数にしない理由は、稼働率に大きく依存する数値だからです。これらの指標では量を測ることはできても質までは測れないということです。
まずは2022年の成績(無補正)と2023年の成績を比較して見ていきます。

野手
赤文字は良化、青文字は悪化

まず目につくのは青文字の多さ。PFも平均以下ということで、移転してもそれほど恩恵がなかった or 2023年は下振れたという結果に。また、野手は若手が多く、一定以上出場機会を得た実績あるレギュラーの選手が野村・近藤ぐらいで、上川畑・松本・今川など、2022と比べると成績を大きく落とした(ブレた)選手が目立ちました。
近藤や野村やアリエルや郡司は本塁打率が良化し、恩恵を受けた形になりました。2023年に躍進した万波はOPSが向上したものの、本塁打率はそれほど変わらない結果に。2023年はシンプルに打席数が増えたことでホームランも増えたということでした。2024年は本塁打率を上げることができれば30本、40本も見えてくるはずです。

投手
赤文字は良化、青文字は悪化

投手は対照的に防御率の良化が目立ちます。堀、石川直也、ロドリゲスなどシンプルに調子を落とした選手以外は赤色が多いです。一方でHR/9は悪化が目立ちます。HRPFにも表れていたように、札幌ドームよりはホームランが出やすい環境ということがわかります。ここを改善して打球管理をできた上沢、河野、鈴木健矢は2023年活躍した一因になったのではないでしょうか。
実績の少ない野手とは違い、成績のブレが少ないので比較しやすいです。防御率はそれほど悪化しなかったものの、ゴロを打たせる河野や鈴木健矢、MLBに挑戦する大エース上沢以外の大半の投手は被本塁打のペース(HR/9)が悪化したという結果になりました。


続いては2022年の成績をフェンス直撃数→ホームランと仮定して補正をかけたものを「2023予想値」とし、実際の2023年の成績の相関を比較して見ていきます。

野手
予想より良いと赤色、悪いと青色

1番の誤算は移転で大きな恩恵を受けられると予想していた今川が不振に陥ったこと。また、30本を超える予想をした清宮のホームラン数がそれほど伸びなかったこと(両者ともに怪我が響きました…)。
大半が青く、予想ほどホームラン数が伸びず。これは机上の空論だったか…と思ったところ、2023年の野村と近藤の本塁打率は予想と近いという衝撃の事実。なんと予想値すら超えていました。この2人は近年の移り変わりの激しいファイターズで、数少ない2~3年レギュラーを掴み続けている(いた)選手。成績の安定が見込めるレギュラー野手は移転後の成績もある程度は予想が可能かもしれない…?という結果に。とはいえ大半は予想が外れ、下回る結果になりました


投手
予想より良いと赤色、悪いと青色

投手を見てみると、半数以上が予想より良い結果に。野手より圧倒的に赤色が目立ちます。
驚きなのが、野手よりも予想に近い結果が多いこと。伊藤の防御率に加え、HR/9は加藤、伊藤、上原、杉浦、鈴木健矢がかなり近い値になっています。野手と同様に実績のある投手が多いのも驚きです。

分析としては、大半は当たらない(特に防御率とOPS)。しかし、近年レギュラーを張っている選手に関しては、フェンス直撃数から本塁打率とHR/9は予想できる”かもしれない”という結果に。全外しで終わらなかったのが興味深いところです。

最後に

新年最初のnoteは様々なデータを用いてエスコン移転の影響を考察しました。ヒッターズパークと予想されていたので意外な結果だと思われるファイターズファンの方も多いと思います。しかし何度も書きますがデータが1年だけとサンプルが少なく、上振れ・下振れなどブレが出た可能性もあります。ただの素人が書いた分析なので色々ツッコミどころがあるかと思いますが、Twitterなどで感想や意見をくださると嬉しいです。

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