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「私のこと好きなんでしょ?」の災難。

突然の告白であるが、職場の30代の女性(先輩)が私のことを好きなのではないかと睨んでいる。

前々から彼女に詳しく話をしたつもりもないのに、私の職歴やら趣味やらをやたらと詳しく知っていたので、「もしや好意があるのか・・・?」と何とはなしに思っていたが、このところそれが顕著になってきた。

まず、その彼女は私のことを入社以来、今までずっと苗字で呼んでいたのに最近になって、下の名前で私のことを呼ぶようになったのである。

国民的幼稚園・”クレヨンしんちゃん”こと”野原しんのすけ”を誰もが「野原!」と呼ばずに「しんちゃん!」と親しみを込めて呼んでいることからわかるように、愛される人物というものは常に下の名前で呼ばれるものだ。

それは「のび太」しかり「まる子」しかり、愛される人物特有のものである。

”愛される人物=下の名前”

このことから職場の女性は、もう確実に私のことを好きだと確信していいのではないだろうか?
おそらく、早くも付き合った後のことを想定して、今の段階から下の名前で呼ぶ練習も兼ねているのだろう。

ったく、計算高い女だぜ。


さらに私のことが好きだと確信している理由はまだある。
お昼休みに食堂でご飯を食べているときに、わざわざ私の近くを通るのだ。

これは通り過ぎた後のいい匂いを私にクンクンさせることによって、「はぁ、いい匂いだなあ、これだけでご飯3杯食べれるなあ」と思わせ、自身の印象を残すという「私がおかずよ作戦」に違いない。

これはお腹が空いて、匂いにいつもより敏感になっているところをすかさずに”攻める”という一見、簡単そうに思える作戦であるが、「私はいい匂い」という自らに自信がなければ到底できないうえ、下手をすれば「臭い」と思われかねない非常に難易度の高い技術と言って良いであろう。

計算高いうえにここまで高い技術力まで持ち合わせているとは・・・やれやれである。
どんだけ私のことが好きなんだか!


しかもこれだけではなく、まだ好きだと確信している理由がある。

それはここ数日、やたらと私に冷たくなったところだ。

今まで毎日のようにすごい喋りかけてきてくれたのだが、ここ数日はまったく顔も合わさず、会話すらない状態である。

「あれだけ話かけてくれたのに・・・え、どうしたんだろう?」とヤキモキさせることにより、常に自身のことを気にさせる、という恋愛の教科書350ページにも書かれている古くから伝わる”押して引く恋愛技法”だろう。

それか私が若干Mっ気があることを風の噂で知り、わざと冷たくして私をハァハァさせる作戦なのかもしれない。


どうだろうか。

ここまでの確信がある以上、もう明日の朝にでも挨拶代わりとして彼女のことを抱きしめても大丈夫ですよね?

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