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大道芸人 ギリヤーク

自分の風貌が
ロシア・サハリンの先住民族ギリヤーク
そっくりな故に芸名とし
本名は尼ヶ崎勝見

国内外の街頭で踊り狂った

じょんがら一代  ベイ函館                                                             1994

阪神大震災、東日本大震災の被災地で
鎮魂「祈りの踊り」を舞う
仏、米、中国、韓国、サハリン……
ニューヨークのグランド・ゼロでも鎮魂の舞

  では
お巡りさんから踊り禁止を食らった
赤フン一丁はだめよ、と

30代で東京銀座の数寄屋橋で踊って
大道芸人となり50年あまり
投げ銭一本で生きぬいてきた函館生れの93才

踊り狂う  ベイ函館                                                                          1994

2019年夏、そのギリヤーク尼ヶ崎が
生家ちかくの函館・大門の広場で踊った

広場の分厚い人垣を割って
車椅子に乗ったギリヤークが登場
体が少しずつ動かなくなる
パーキンソン病を患っている

函館生れだからこそ今の自分があると
故郷への思いをしみじみ語ったあと、
車椅子を捨て「念仏じょんがら」
「果し合い」、「じょんがら一代」……         

ときには、チベット仏教の五体投地のごとく
地面に身をふせ、観客と手をつなぎ、子供をだきあげ
ぐるりととりまく市民と一つになる

昔はバケツ一杯の水を頭から浴びたが
今はペットボトルの水をぶっかける青空舞踏公演
拍手と笑いをよびこみ、つぎつきと投げ銭で埋まる
ギリヤークは感極まった

89才 故郷に錦を飾る  函館・大門                                            2019

古里公演の〆は、津軽三味線の二代目・高橋竹山との共演
眼が不自由な初代・高橋竹山が
家々をまわり三味線を弾いて金品をもらい受ける“門付け”を
あらわしたギリヤークの代表作「じょんがら一代」

生の津軽三味線が響きわたるなかで踊りに踊る
故郷に錦を、と

まだまだ未熟、もっと色っぽく踊りたいと
壮絶な生きざまを赤フン一丁で語った


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