43. クイックステップ≒ゼビウス?

紅葉シーズン真っ盛りの11月、クイックステップとサンバをやり始めてから1ヶ月以上が過ぎていた。

今までの種目よりステップの難易度が確実に上がり、なかなか思うようには進まない。

デヴィ先輩からお声が掛かる。

「どう、ボクちゃん? クイックは覚えた?」

それぞれのステップは覚えたんすけど、最後まで通すのが難しいっす。

「そうなの? それじゃ覚えたとは言えないわね。」

だって速いじゃないすか〜。

「あら、泣き言? そんなんじゃアタシを乗りこなすことは出来ないわよ💋」


1回ステップ間違えるともう取り返しがつかないっていうか・・・。

「まぁ、つべこべ言わず一緒にやってみましょ。」

はい、お願いしまーす。 

デヴィ先輩とホールドを組む。

「じゃ、動いてみて。」

スロー、クイック、クイック、スロー

スロー、クイック、クイック、スロー

あれ? なんかスムーズに出来る!


「なんだ、ちゃんと出来るじゃない❤️」

いやぁ、今まではうまくいかなかったんすけど。

「フフッ、じゃあもうちょっとスピード上げてみようかしら💋」


えっ?

「イクわよ💋」


先輩の動きが急にスピードアップする。

うわっ、ちょっと先輩、早すぎですよ!

「ホラホラ、どしたの? アタシを乗りこなすんじゃなかったの?」


先輩の動きはますますヒートアップしていく。

そ、そんな早く動かれたら、オレ・・・あっ・・・ヤバいっす!


「何がヤバいのかしら?」

あ、足が・・・

「足が?」

イッちゃいそうです!


「まだイッちゃダーメ❤️ 途中でしょ💋」


そ、そんな殺生な・・・

・・・ん? 

でもなんか慣れてきてない、オレ?


私は先輩に無理矢理にでも引っ張ってもらうことで段々とそのスピードに慣れつつあるのであった。

イケる! イケるぞ、オレ!


「いいじゃない、ボクちゃん❤️」

そうすか? 何かオレもそんな感じがするっす!

私は初めて最後まで間違えずにステップを踊り切る事が出来たのであった。

「ちゃんと最後までイケたわね、ボクちゃん❤️」


あざーす! 先輩のお陰です!

「次はもっとアタシを乗りこなしてちょうだいね💋」


はい! ヤレる気がしてきました!

「そう、良かった❤️ 頑張んなさい💋」

はい、ありがとうございました!

デヴィ先輩は次の1年生のもとへと移動していった。

いや〜、しかしあのスピード感、何かに似てるんだよな〜。

う〜ん、何だっけな〜。

・・・あっ! 「ゼビウス」だ!


説明しよう。「ゼビウス」とは1984年に発売されたファミコンのソフトで縦スクロール型のシューティングゲームである。

クイックとゼビウスの強制的な縦スクロール移動には、一定のスピードを保ちつつ後戻り出来ないという点において非常に類似性があるのだ!

と、どうしても言いたかった。

なんのこっちゃ。

次回、サンバの行方!


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