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健康志向・エスカレータ

 電車でリュックが邪魔とか、飲食とか、化粧してるとか、大声の会話とか、イヤホン漏れとか、座り込んでるとか、そういうの全然気にならないんですよね。

 多くの方々がそこに向ける違和感や怒りは理解できなくもないですが、ぼくはそれら一つ一つを全部集めたあと数十倍したような大きさの怒りが、ある1つのことに向かいます。

「エスカレーターのぼりきったところで立ち止まりっぱなし」

 これはですね、ひどいですね。なぜこんなにこれだけにイカっちまうかというと、ある商業ビルの最上階の飲食店フロアに人気行列店があって、エスカレーターのぼりきったところにまで行列が及んでいたため降りても前に進めず、後ろからはどんどん来るわで、あわや大事故になりかけたことがあるんですよね。

 こりゃあぶないと、咄嗟に手やら足やら使ってその行列を散らしたんですよね。すると、餃子を半額で食おうと並んでるモミアゲATSUSHI風のカッペ坊主が、似た間抜けヅラの親父に、このおじさんに蹴られたと。

 トムとジェリーで、犬いますよね。ブルドッグ。あんなガタイのウス足りなそうなオヤジが怒る怒る。キレ散らかしたジェリーほどの体格のぼくは、半笑いで絶叫してそいつらと事務室に連れていかれるハメになりました。浅ましさが極まってチンケなエサと命と天秤にかけらんなくなるくらいアホかと。

 そこで私は考えました。エスカレーターに乗るのはやめようと。心身の健康のためです。しかし先日大阪行きの新幹線でデカい荷物抱えてたんでエスカレーター乗ったんです。のぼりきったとこで(僕の苦手な)大家族の集団が挨拶合戦を。

 戦慄が走りましたね。乱暴な言葉はいけない。目の前は幸せそうなニッコニコの大家族。急を要しすぎる。1秒に満たない時間で判断しなければならない。

 そこでぼくは言語中枢が崩壊し、ホセカレーラスのような声でラーラーラーと言うしかできず、それで辛うじて大家族に避けてもらうことができました。なんだラーラーラーって。超絶ヘンなやつじゃねえか。

 神のお告げに違いないですね。今後もエスカレーターは使うなということです。端末に夢中で電車乗り込んだ瞬間立ち止まるやつとかはまだいいんですよ。こんなの気にしてたら電車に乗れなくなっちゃいますからね。唯一イヤなのがエスカレーターなんです。

 だから、エスカレーターを使うのは20年後、66歳になってからにしようと思います。

<FINE>

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