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【時事抄】 国家vs◯◯、単純過ぎて不適切

ビックテックと呼ばれる米国の主要IT企業(Google、Amazon、Meta(旧Facebook)、Apple、Microsoftなど)に対して、各国の行政機関が監視を強化しています。

日本でも米国Googleの主要な収益源である広告事業に処分が下りました。とはいえ、「ビックテック vs 国家」といった、よくある単純な対立関係ですべてを捉えないよう心したい。

事案についての日本経済新聞の記事を見てみましょう。

<要約>
公正取引委員会は16日、米グーグルの日本でのデジタル広告事業に対して独占禁止法に基づく行政処分を科すと明らかにした。日本最大のポータルサイト「Yahoo! Japan」を運営するLINEヤフーの取引を制限した疑いがある。

ヤフー日本法人は2010年に検索エンジンの自社開発を中止し、競合相手グーグルから技術供与を得る契約を結んだ。検索機能と、検索内容に応じて表示する「検索連動型広告」の供与を得ている。

その後にヤフーは別の国内ポータルサイトに提供していた検索連動型広告の配信技術の一部取引を停止するようグーグルから要求された模様だ。グーグルによる国内需要を総取りを狙ったものだった。

グーグルのデジタル広告事業は世界で約4割のシェアを握る。競争力の源泉は、世界で9割のシェアを握る検索サービスだ。この影響力を武器にデジタル広告の収益を享受している。

EUなど各国が監視を強めるなか、公取委の動きは海外当局との足並みを揃えた形だ。なお、グーグルはすでにヤフーへの要請を撤回しており、行政処分が出ても、Googleの広告事業に対する影響は限られる。


公正取引委員会のホームページを見ると、独占禁止法に基づく排除措置を毎年数多く下していることがわかります。米ビックテック企業への行政処分だから目立つだけで、数ある事案の一つと考えた方がよい。

「一社総取り」の寡占化が進みやすいネットの世界では、総取り狙いへの誘因が高く、行政指導による軌道修正は想定の範囲でしょう。寡占化を脅かすのは新しい技術です。創造力を獲得した人工知能が生んだ新サービスによって、Googleが普通の企業になってしまう日がくるかもしれない。



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