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【時事抄】 SNS投資詐欺の急増、GAFAM一角の衰えを知る

著名人の顔写真を載せて勧誘に誘うSNS上の偽広告に対して、運営会社の日本法人に集団訴訟を行うことが報じられました。堀江貴文氏や前澤友作氏といった著名人が、問題を放置を続けるFacebook運営元メタ社の企業姿勢を糾弾し、自民党が法規制に向けた勉強会が発足させました。

今年から始まった新NISA制度は多くの人々の関心を集め、堅調な株価にも支えられて、投資ブームが広がっています。お金への不安と儲け話を聞いた羨望とで、投資初心者を狙った詐欺が急増しているようです。

日本経済新聞の記事を見てみます。

<要約> 原文1674文字→695文字
架空の投資話で誘い出す「SNS型投資詐欺」が、ビジネスパーソンを狙っている。被害者は40~50代が半数を占め、1件あたり1億円を超える事例も出ている。警察はつけ込まれやすい新社会人に向けて講話の機会を設け、詐欺の手口や被害事例を紹介し、被害に遭わぬよう訴えている。

警視庁によれば、2023年に全国の警察が認知したSNS型投資詐欺の被害は2271件、被害総額は277億9千万円に及ぶという。40~50代の中高年層の被害が49.8%を占め、60代以上33.4%が続く。30代以下も16.9%と高い。60代以上が約9割を占める特殊詐欺とは傾向が大きく異なる。新NISAを始めたばかりという投資初心者が勧誘されやすい。

詐欺グループとの長期間にわたるSNS上のやり取りで相手を信頼してしまう傾向がある。警視庁は詐欺を見破るはポイントを挙げて、絶対に儲かるといった甘い言葉に騙されないよう冷静な対処を呼びかける。

◆海外組織関与か、捜査にハードルも
SNS型投資詐欺は、現金のやり取りをネット上で行う「非対面型」のため犯人特定が難しい。投資を勧誘する投稿に不自然な日本語も見られるため海外組織の関与も疑われるが、海外サーバー経由の場合、投稿の発信元を辿るのは容易でない。

投資詐欺に詳しい弁護士によれば、詐欺に使われる銀行口座も外国人名義が多く、留学生らがバイト感覚で開いた口座を犯罪グループが不正利用しているとみる。専門家は、口座から犯罪組織を特定するのも難しく、SNS型投資ではサイバー空間内で処理を完結させるのが容易であり、摘発には時間がかかる。まずは幅広い年代への啓蒙活動を進めてほしい、と指摘する。


記事にもありますが、SNS型投資詐欺は40~50代の中高年が被害に遭う割合が最も多く、「オレオレ詐欺」に代表される特殊詐欺の被害者が高齢者に偏在している点と大きな相違を見せています。資金を「増やす」ことに強い関心を持つ世代が狙われているわけですが、「増やす」ことよりまず「守る」ことを考えないと、と率直に思います。

日本経済新聞 2024年5月2日の記事より

Facebookを運営するメタ社は、「GAFAM」と祭り上げられてましたが、今では虚像との印象です。詐欺広告を放置する姿は、広告収入に依存したビジネスモデルが競争激化で限界に来ていることの裏返しでしょう。2004年にFacebook社として創業してから20年が経ち、社名を変えて投資したメタバース事業もパッとせず、メタ社は成熟から衰退に向かいつつあります。詐欺広告の放置は、広告収入に依存する巨大企業が自身の身(ブランド)を傷つけてまで栄養(売上)を摂取し続ける、哀れな巨人の断末魔なのです。

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