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VRChatにオープン!台湾のバーチャルテーマパーク「TAIWAN EXCELLENCE WORLD」制作の裏側をお見せします

こんにちは!台湾エクセレンスnote編集部です。

9月23日~12月25日まで開催中の「台湾バーチャルフェスティバル2023」。

今年は、より革新的なイベントにしようということで、バーチャル空間上に台湾のテーマパーク「TAIWAN EXCELLENCE WORLD」を作りました!

「TAIWAN EXCELLENCE WORLD」は、歴史と未来を感じさせる台湾のテーマパークです。様々なゲームやアトラクションで遊びながら、未来に向けて進化し続ける台湾や革新的な台湾製品を体験・見学できるものとなります。

詳しくはこちらの記事もどうぞ

「VR」や「バーチャル」と聞くとあまり馴染みがない方もいるかもしれませんが、いまではまるで映画のように、バーチャル空間上でアバターを通じてコミュニケーションができる世界が広がっています。

今回のイベントでは、そんなソーシャルVRのプラットフォームの一つであるVRChatにテーマパークを公開!なんと2週間で世界中から1万人が来場してくださいました。

9月23日に開催したオープニングセレモニーの様子

実は、VRChat上でワールドを作るというのは、台湾エクセレンス賞として初めての試み。
VRChatコミュニティと連携し、日本・台湾スタッフ合わせて総勢20名を超える体制で制作を進めました。

そこで今回は「どうやってこのワールドを作ったんだろう?」と興味を持ってくださった方に向けて、「TAIWAN EXCELLENCE WORLD」の”制作の裏側”を大公開!

VR空間のプロデュースを行ったTAMの角谷さんから、2023年1月から9月の公開に至るまでの過程やエピソードをお届けします。


企画のはじまりは、台湾での体験会から

TAM角谷:「TAIWAN EXCELLENCE WORLD」の構想は、2023年の1月頃からはじまりました。

毎年開催している台湾エクセレンスの日本向けイベントを、今年はVR上で開催しよう!という企画が立ち上がり、台湾貿易センターの台北本部で本部長を交えた体験会が開催されました。

「イノベーションこそが暮らしを変える」を掲げている台湾エクセレンスが、近年話題のメタバースに新たに取り組むというチャレンジに、チームメンバーもわくわく。

日本と台湾で会議を繰り返しながら様々なプラットフォームを検討する中で、コミュニティの熱量の高いVRChatでイベントを開催することに決定。様々な団体による過去事例も参考にさせていただきました。

今回の #台湾バーチャルフェスティバル2023 では、VRのユーザーはもちろん、VRを持っていない方にも体験してもらうことを前提としていたため、どちらの方にも楽しんでもらえるような企画にしたいと考えていました。

そこで、
初心者ユーザー向けには「VR酔い」への対策を考慮しつつシンプルな操作感で楽しめるようなゲーム =バッティングセンター、タワークライミング

VRChatユーザー向けには友達と一緒にバーチャル空間上で楽しみ、思い出に残るような体験設計 =写真映えする台湾の街並みや文化体験、エモーショナルな演出

といった点を大切にしながら、企画を進めていきました。

目指したのは未来に向けて進んでいく、熱量が感じられる台湾のイメージ

VRChat内の有名クリエイターとチームを結成

キックオフmtgの時の写真

TAM角谷:そうして大枠の企画が固まり、新たな年度が始まる4月から早速VRChatのクリエイターとのコンタクトをスタート!どのクリエイターも、台湾エクセレンスの取り組みに「面白そう」と共感してくれて、一緒に取り組んでいくことになりました。

今回は、モダンで洗練されたワールドを作成されるakiminさんをメインモデラ―(※1)とし、大規模イベントワールドも多数担当されてきたコクリコさん、中華圏の文化に精通されたKeto_LCさん、VRChat内の有名ワールドを作成されてきたLuraさん、国際映画祭最優秀短編賞作品のギミック開発(※2)も担当されたヨドコロちゃんを中心に、プロデューサー陣を含めると総勢20名を超える体制で制作に取り組むことになりました!

ワールド制作チーム
ディレクション:LoveNecoV
レベルデザイン:コクリコ
ワールドモデリング:akimin、ケト中佐
プロップモデリング:Cwan、 えこちん、而今
ギミック開発:ヨドコロちゃん
サウンドデザイナー:Kenomo
アドバイザリー:Lura
2Dデザイン:岩井咲樹(TAM)、坪谷初音(TAM)、中込梨沙(TAM)、福田嵩大(LIGHT合同会社)
コンセプトアート:ダイエクスト
台湾監修:Wang Wen Chun(TAM)、Chou Yu-lin(TAM)
プロデュース:角谷仁(TAM)、前田恵莉(TAM)、市岡祐次郎(TAM)

※1 メインモデラー…メインで3Dモデリングを担当するポジション
※2 ギミック開発…主にプログラミングをして様々な仕掛けを作る作業のこと

企画をワールドの構成へ落とし込んでいく

TAM角谷:資料ベースの企画を、ワールドの設計に落とし込む部分はコクリコさんが担当してくれました。

作成されたグレーモデル

この工程は、「グレーモデル」や「レベルデザイン」と呼ばれます。全体のサイズ感や導線、構成要素を確認するための非常に重要な工程です。この段階ではもうVRの中に入って、サイズ感や導線も一緒に確認していきました。スピーディに空間に落とし込まれていき、感動しました。

完成した全体像

コクリコさん:最初から九份の町並み+都市の公園というイメージと必要な要素(アトラクションや中央のパビリオン)がしっかり固まっていましたので、スムーズに落とし込むことが出来ました。工夫ポイントとしては九份の階段を抜けると一気に都会的な展望に様変わりする部分は良い体験が作れたんじゃ無いかな?と思っています。(@Coquelicots_WoT

ワールドが目指すイメージを可視化しコンセプトアートが完成

完成したコンセプトアート

TAM角谷:ワールドで目指すイメージを視覚化するために、こちらのコンセプトアートをダイエクストさんに制作していただきました!

ダイエクストさんには、このような点を意識して描いていただいています。

  • 躍動感のあるビジュアル

  • 明るく楽しそうなテーマパーク・お祭り感

  • 近未来の台湾の雰囲気

何度かラフのやり取りをさせていただき(時にはDiscordで画面共有いただきながらリアルタイムで調整いただき)、仕上げまで進めて頂きました。

ダイエクストさん:九份のような建物を抜けるとそこはテーマパークと大きなビル群が…!というワクワクするようなコンセプトで描かせていただきました。台湾と近未来の要素をどう両立させて絵に落とし込むかが課題でした。夜のテーマパークというイメージ指定のもと、絵が暗くならないように楽しそうな雰囲気重視で全体的に明るいイラストになりました。(@Hijiki_DaiXt

各クリエイターが空間をデザイン!3Dモデリング、ギミック開発

Gavity Sketchでのラフスケッチ
完成したパビリオン内観

TAM角谷:グレーモデルが概ね完成すると、今度は各クリエイターが3Dモデリングや、ギミックの開発を行っていきます。

皆さん独特の手法でイメージを膨らませて空間をデザインしていくのですが、これが非常にクリエイティブな工程でした!

例えば、メインモデラ―のakiminさんは、パビリオンの内装などのテイストをすり合わせるにあたり生成系AIを使用されていました。
また、モデリングに着手する前、Luraさんと一緒にコミュニケーションをしながら建物の構造を考えるために、Gravity Sketchというツールを使ってVR内で直接3D空間のラフスケッチをされていました。
Discordで音声通話しながらVR内の映像を画面共有いただき、「このようなイメージです」とご説明頂きましたが、とても先進的なプレゼンテーションに感動しました。

akiminさん:複数あるゲームスポットをどこから遊び始めても大丈夫な導線構造を作るうえで、それらの中心に位置するパビリオンの内部構造は特に設計が難しいパートでした。
広々とした空間の演出も尊重したかったため、建物内の誘導は壁で仕切る形ではなく、大きな流れを作る流線型で構成された床を主体とした設計に落ち着きました。
このような大規模な建物すべてを一からデザインする機会はなかなか少なく、非常に楽しい経験となりました。 (@AKImin011)

TAM角谷:また、Keto_LCさんは違ったアプローチをされていました。ご自身の担当部分のイラストを描き、そこに向けてモデル作成を進めて行かれました。ぜひイラストと完成系を見比べてみてください。

内部用に作成された簡易イラスト
完成したファーストビュー

Keto_LCさん:ワールドのエントランスである九份エリアのファーストビューでユーザーの心を掴む事を念頭に一枚絵としての美しさ、バランスを重視したデザインとしました。
イラストは簡易的なものではありますが、ライティングや誘導、全体の色味や各種配置等実際に制作をする3Dモデラーとしての視点から目標とする表現を設計、実現できたと思います。(@Keto_LC

TAM角谷:ギミック担当のヨドコロちゃんは、プロジェクトのかなり早い段階からプロトタイプを作成しプレイ感を試せるようにされていました。メンバーから「楽しいかどうか」という観点でフィードバックを受けながらゲーム作成を進めてくれました。「プレイして楽しいかどうか」はとても大事な観点だったので安心してプロジェクトをお任せできました。

実際にVRでプレイできるプロトタイプ
完成したバッティングセンター

ヨドコロちゃん:展示会会場というとどうしても「ぐるっと回って見て終わり」のイメージがあるので、一通り見てハイ終わりではなく、なるべくインタラクティブで体験的なワールドとなるように提案させていただきました。特に食べ物、飲み物のギミックは最優先でプロトタイプを試してもらい、「置いてあるだけ」感が少しでもなくなるようにあれこれ工夫しました。

ゲームコンテンツについても、バッティングセンターについては何度もリプレイしたくなるような体験となるように何度も調整しています。ハイスコアに応じてフォトスポットのグレードが上がる仕組みがあるのですが、普通の人なら最低3回はプレイしないと到達できないような高めの難易度になっています。実際、オープニングイベントでは「難しすぎる!」という悲鳴が上がり、しかしイベント終了後にリベンジしに来てくれた人はちゃんとハイスコアを取って帰ってくれました。(@Yodokor0

実物そっくりに製品やグルメを再現!プロップスのモデリング

再現性にこだわった製品モデル
せいろにもこだわった小籠包のモデル

TAM角谷:VRの空間内には様々な小物が置かれています。
今回のワールドには、例えば製品モデルをはじめ、台湾のグルメ、街灯、提灯、ランタン・・・など様々なものが存在しています。それらのほとんどは、プロップスモデラーと呼ばれる小物の3Dモデルを作成する人の手によって作られています。

特に力を入れたのは、台湾エクセレンス賞 受賞製品の3Dモデリング。
できる限り実物を再現するよう、資料をもとに台湾のメーカーさんとやり取りをしながら作成を進めていきました。

Ziconさん:展示物はできるだけ「実物」にこだわり、ディレクターに細かく修正していただきながら煮詰めていきました。遠く離れた台湾の品物をメタバースを通して触れ、実物を見たときに「知ってるやつだ!」と思っていただけるように意識し、パッケージを一から起こしたりメーカーさんから色情報を頂いたりしながら制作しました。
@ZZICONN

えこちんさん:思わず手に取って、実際に食べてみたくなる美味しそうな見た目になるよう細部や質感にこだわって食べ物や飲み物を制作しました!スープが入っているような質感は、より自然に見えるように時間をかけて色味を調整しています。タピオカミルクティーはヨドコロさんが入れてくださったギミックのおかげで、とても素晴らしいものになりました!(@ecochin

Cwanさん:皆が気持ちよくまわれる素敵な導線とコンセプトに合うプロップになるよう制作しました。制作物の資料探しのために色んな台湾の文化や写真などを見たのですが、どんどん惹かれる素敵な国だなぁっと思ったことを覚えています。そっと沿えてあるプロップ類にも是非ご注目を!(@ABCwanVRC

こういったチェアなどもモデリングされて作られました!

細かな部分もクオリティにこだわりを。最終ブラッシュアップ

TAM角谷:9月に入り、新たにサウンドデザイナーのKenomoさんをメンバーに加え、Luraさんによるライティングの調整のもと、各クリエイターが最終詰めの作業を行い、どんどんワールドがクオリティアップしていきました。

何度かVR内にメンバーが集まってデバッグを行い、細かい点をフィードバックしながらクオリティをアップさせていき、ついにワールドが完成しました!

もっとも重要視したビュー。何度もakiminさん、Luraさんと一緒に詰めていきました。
ビルの上では風が吹く音が。他にもいろんな場所で環境音が仕込まれています。

Luraさん:ワールドに入った際、空間での印象を高めるため見せるべき「主役」となるオブジェクト、「脇役」となるオブジェクトを意識しつつライティングを調整し、空間にメリハリが出るように調整していきました。(@Lu_Ra_999

Kenomoさん:BGMの選定やギミックに関しては、あれこれ言い合いながら演出や細かい仕様や作業フローまでいい感じに詰められました。限られた時間でしたが良いものができました。また、一番の推しは環境音です。かなり細かく作り込みました。一見地味な部分ではありますが、ワールドの実在感や快適感にかなり貢献できたと思っています。ぜひ環境音にも注目しながらワールドを周ってみてください。(@Kenomo_Vworker

最後に、クリエイターの皆さんより一言メッセージ

ワールド制作の裏側、いかがでしたか?

この記事を読んで、少しでも「TAIWAN EXCELLENCE WORLD」に興味を持っていただけていると嬉しいです!

最後に、ワールドの制作にあたりご協力いただいたVRChatクリエイターの皆さんからのコメントをご紹介します。

akiminさん
様々な要素が綺麗にまとまった、素敵で魅力的なワールドが出来上がったと思います!ぜひお越しください!

ダイエクストさん
とても素敵なワールドに仕上がっておりますので、まだ行ってない方は是非ご気軽に来てみてください!VR機器持ってなくてもアクセスできますが、VR機器使うとより一層楽しめるワールドになってますよ!

コクリコさん
とても素敵なワールドの製作に関わることができ、感謝しています。そして来場者の皆様がこのワールドを訪れることで、楽しいひと時を過ごしつつ、台湾エクセレンスの魅力ある商品を知っていただければ何より嬉しいです。是非、お楽しみください!

Keto_LCさん
昔ながらの台湾のあくまでも一側面ではありますが、その魅力を発信する一助となっていれば幸いです。そこにしかない魅力、ぜひ体験していただければと思います!

ヨドコロちゃん
作りながら台湾がどんどん好きになってしまい最後には大同電鍋を買ってしまいました!一人でもみんなでも楽しいワールドになっていますのできっと遊びに来てくださいねっ

Luraさん
バーチャル空間での思い出に残る印象的なワールドに仕上がったと思います。ぜひ友達を誘って遊びにきてみてください!

Cwanさん
台湾の魅力をたくさん知ることのできる機会を頂き感謝です!ワールドとしてもクオリティがすごく、見ごたえのあるものになっているので、是非フレンドと一緒に遊びにきてください!

Ziconさん
福熊くんに展示物と重要な役目を任せていただき緊張しましたが、チームのおかげで素敵なものになりました。台湾は唯一訪れたことのある海外で思い入れもあり、今回のイベントを通してまた訪れたくなりました。皆さんもそうなっていただけたら幸いです!

えこちんさん
台湾の魅力を沢山知ることができるとても素敵なワールドの制作に関われたことに心から感謝しています!美味しい台湾のグルメたくさん食べましょ~!!

Kenomoさん
台湾の魅力もVRの魅力もぎっちり詰まったとても良いワールドになったと思います
個人としても最後の隠しキャラでの参戦でしたが、いい仕事ができて満足です
福熊くんかわいいね

LoveNecoVさん
約半年の期間をかけて、みんなで話し合いながら作ったワールドです!撮っても楽しい、遊んでも楽しいワールドを目指して作っていきました。楽しい思い出が残るようなワールドになっていれば嬉しいです。ぜひ遊びにきてください!

ご協力いただいた皆さん、ありがとうございました!

「VR機器は持ってないけど、バーチャルテーマパークを体験してみたい!」という方は、ぜひ東京で開催するVR体験会にお越しください。

次回は11月9日(木)-11日(土)に東京・新宿で開催される「台湾エキスポin日本」で開催します!実際にVRヘッドセットを使って、「TAIWAN EXCELLENCE WORld」に没入体験ができる貴重な機会なので、ぜひ遊びにきてくださいね。

いっしょに”新たな台湾”を楽しみましょう!

▼イベント情報
⁡台湾エキスポin日本
『台湾エクセレンス Smart Living』

開催期間:2023年11月9日(木)~11月11日(土)
展示会場:東京・新宿住友ビル 三角広場 2023台湾エキスポin日本
イベントサイト:http://www.taiwanexcellence.org/jp/twexpo
『台湾バーチャルフェスティバル2023』
開催期間:2023年9月23日(土)〜12月25日(月)
イベントサイト:https://www.taiwanexcellence.org/jp/festival2023/
🇹🇼TAIWAN EXCELLENCE WORLD  [PC only]
https://vrchat.com/home/world/wrld_6bd0ac0e-b695-4626-b8a6-609d8a5b0fb5
【期間限定公開:12/25まで】
※ご来場いただくためには、ゲーミングPC等の必要機材と「VRChat」のインストール・ご登録が必要となります。

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