日々の生活の中に、小さなときめきを。|Everyday Excellence and People vol.2 菅野有希子(テーブルコーディネーター)
気になるあの人は、どんな暮らしをしているんだろう。
さまざまな分野で活躍する彼らの日常から、私たちがもっと素晴らしい毎日を送るためのヒントを見つけるインタビュー企画。
「台湾エクセレンス賞」のコンセプトである「Everyday Excellence」を体現する方々に、暮らしへの考え方やこだわりについてお伺いしていきます。
第2回目は、テーブルコーディネーター/プロップスタイリストとして活躍されている菅野有希子(すがの ゆきこ)さん。自分好みにリノベーションをした素敵な自宅で暮らしながら、生活と仕事をゆるやかに行き来する日々を過ごされています。
決められたルールの中で実力を試される会社員としての生活にしっくり来ず、30代でフリーランスになり、ようやく自分の人生が動き出した ーーー。
そんな風に語る菅野さんの暮らしには、心地よい生活を楽しむヒントと、自分の毎日を飽きさせないための工夫が詰まっていました。
オンとオフがゆるやかに循環する、菅野さんの働き方
ー 今の菅野さんの毎日について教えてください。仕事やプライベートはどんな風に分けていますか?
フリーランスということもあって出社日が決まっているわけではないので、今日は仕事、明日は休みという感じはあまりないですね。早朝から深夜まで撮影スタジオで格闘している日もありますが、午前中だけクライアントさんの会社へ行って、午後は自分の用事を済ませているという日もあったり。
他にも、例えば「イベントに遊びに来てください」というような、仕事ではないけどプライベートでもないような用事もありますね。ちょうど先日もホテルのモニターとして招かれたことがあったのですが、せっかくならと撮影をしてSNSで発信したり。
ー 菅野さんにとっては、オン・オフを分けないほうがしっくりくる、という感じなんでしょうか。
そうですね。やっぱり暮らしに関わる仕事をしているので、例えば家でご飯を食べるとか家のものを整えるとか、それは完全にプライベートな時間ではあるけれど、それが仕事においてのセンスを磨くことに繋がっていたり、練習になっていたりします。
逆に、仕事で体験させてもらったことも、今度家でやってみよう! と取り入れることがあったり。仕事もプライベートもゆるやかに繋がって、ぐるぐる循環していることに心地よさを感じていますね。もともとあまりガツガツ仕事するタイプではないので、一日の中でこまめに遊んでいる感覚です。
ー 菅野さんのお仕事を見ていると、本当に素晴らしくて。そんなことを言いながらも、実は裏でめちゃくちゃストイックに仕事しているのかなと思っていたのですが…!
いやいや、そんなこともないですよ(笑)。
長所なのか短所なのか分からないけれど、八方美人なところもあるから、色々なものを魅力的に思うし、色々な人に喜んでもらいたいし。自分のこだわりを押し付けるよりも、クライアントさんの声に寄り添って仕事をするタイプですね。
クリエイティブな仕事をしているわりには、クリエイターっぽくないともよく言われます。一言で表すと、期待に応えたいお調子者! って感じなのかも(笑)。
プロップスタイリストという職業柄、商品の魅力がひと目で分かるような空間演出が求められるわけですが、写真や装飾のスタイルは数字では表せないものだからこそ、クライアントさんとのコミュニケーションがすごく大事で。
ただ「可愛く撮影してください」みたいな依頼でも、ブランドストーリーやクライアントさんの想いを引き出していく必要があります。こういったクライアントさんとの対話やコミュニケーションは、練習してうまくなったというよりは、自分がもともと好きで、純粋に得意なことだったんだと思います。
仕事も生活もベースは ”家” 。癒やしと刺激の両方を叶えたい
ー 今回のインタビューは「暮らし」がテーマなのですが、菅野さんが日々の暮らしの中で大切にされていることがあれば教えてください。
やっぱり ”家” ですかね。自分で部屋をリノベーションしたのですが、「こうだったらいいな」と思う理想をたくさん詰め込んだから、毎日どこかしらにときめきがあります。
私にとって家は、自分が暮らしをする場所でもあり、仕事をする場所でもあります。だからこそ、必ずしも「癒やし」だけではなく「刺激」を感じられるような工夫をしていて。
例えば、家具の配置や間取りをこまめに変えてみたり、季節が変わったらクッションカバーを変えてみたり。そういう小さなことで、自分の気分転換もしていますね。
ー とっても素敵です! ご自宅で仕事をしていると、なかなかスイッチがオフにならないこともありそうですが、そのあたりは工夫されていることはありますか?
私、お風呂の時間が大好きなんです。朝入って、出かけて帰ってきたらまた入って、気づけば一日に3回入っていることもあるぐらい…!
職業柄、どうしても部屋が撮影で散らかることも多いのですが、片付ける気力もないときは一旦お風呂で気持ちをリセットしています。電気は必ず消して、誰にも邪魔されずにリラックスできる時間。ちょっとしたメディテーションに近いですね。
あと、私はシャンプーを何種類も揃えていてその日の気分で使い分けたりしているんですけど、友人にそのことを話したら「普通はそんなに持ってないよ!」と突っ込まれました(笑)。無意識にやっていましたが、こういうことも毎日を楽しむ工夫に繋がっているのかもしれません。
ー 確かに! 菅野さんの生活からあちこちから、台湾エクセレンスのコンセプトでもある「日々の暮らしの中にある幸せや喜び」を感じます。
そうですね。特別なことではないけれど、毎日を少しずつ楽しくしてくれるものは大切にしています。例えば私はワインも好きなので、よく友人を招いてワイン会やホームパーティーをやっているんです。仕事繋がりで知り合った人が、気づけば飲み仲間や友人同士になっていたり。
さすがに毎日のことではないけれど、すごく幸せな時間でご褒美みたいなものです。こうやって自分で自分の暮らしに飽きないようにしていきたいですね。
20代で生活の楽しみを知り、30代で自分の人生が動き出した
ー 菅野さんが考える「良質な暮らし」「心地よい暮らし」について、年齢を追うごとに変わったと感じることはありますか?
変化はかなりありましたね! そもそも28歳で結婚する前は実家に住んでいたので、暮らしについて考えることはほとんどありませんでした。
結婚を機に初めて「季節の料理を作ろう」とか「お花を飾ろう」とか、そんな風にまめに暮らしたり、季節を感じたりすることが自分は好きなんだ!ということに気づいたんです。それが今の仕事に繋がる大きなきっかけになりました。
3年前に離婚してこの家に引っ越したんですが、自分にとっての「良質な暮らし」というのは30代になってからようやく気づいたものです。遅咲きゆえ、これからまだまだ変化もあると思っています。今から出会うものもあるだろうし、今は苦手だと思っているけれど、急に好きになることもあるだろうし!
これからも、その変化を含めてまるごと楽しんでいきたいですね。
ー 年をとるごとに変化が怖くなることもありますよね。変化を楽しみに感じられるなんて、素敵です!
たぶん私の場合、30代を超えて、ようやく私の人生が始まった!という感覚なんだと思います。今年で40歳になったけれど、心の中ではまだ25歳ぐらいの気持ち(笑)。今やっと青春が来た…! と感じることもありますよ。
良い意味でフレッシュな気持ちだからこそ、まだまだやっていないことや、これから挑戦したい! と思えることも尽きないんですよね。
今は湘南方面への移住も考えたりしているのですが、これも、引っ越したらもう終わり、みたいな極端なものではなく、例えば、長めに滞在してみようかなとか。ゆるやかにトライしたり、フレキシブルに環境を変化させるのもいいなと思っているところです。せっかく芽生えた自分の「やってみたい!」という感情を、大切にしたいという気持ちがありますね。
シンプルでざっくりなのが心地よい。菅野さんの台湾時間
ー 菅野さんは台湾との繋がりはありますか?
台湾へ行ったことはないんですけど、実は、台湾産のお茶が大好きでよく買っています。白茶(はくちゃ)が好きで、ちょっとリラックスしたいときにもよく飲んでいますね。
最近、中国茶のサロンで開催されたお茶会にも参加していたんですけど、味だけじゃなくて道具も奥深くて。小さな茶道具がたくさん並んでいるさまって、まさにテーブルコーディネートですよね。日本の茶道は少しお堅い感じもしますが、中国茶の茶器やお点前って、とても自由度が高くてクリエイティビティに溢れているなあと感じられて、すごく面白かったです。
あとは台湾の小皿料理も大好きなので、よく友達と食べに行ってます。少しずつ好きなものが食べられるのも良いし、台湾料理はそこまでクセが強くないので誰とでも一緒に食べられるイメージ。ちょっとした旅行へ行った気分になれるのも好きなところです。
ー これまで使ったことのある台湾製品はありますか? 菅野さんの台湾製品に対するイメージがあれば教えてください。
以前、台湾の定番家電である「大同電鍋」さんとお仕事をさせてもらったことがあります。そのときに初めて大同電鍋を触ったのですが、レトロで可愛いビジュアルや目を引くカラーバリエーションが印象に残っています。もともと日本の炊飯器から来たというのを聞いて、日本との繋がりやなじみやすさを感じました。
ボタンが一つしかないという設計もめちゃくちゃシンプルですよね。適当な食材でざっくり料理できる感じもすごく良くて。料理が好きな人にとっては、まさにこれがちょうどいいなと感じていました。
一般的な電気調理器で求められる ”きっちり計ってきっちり作る” みたいなことが私は少し苦手なので、大同電鍋の自由度の高さが心地よかったです。
ー ちょっとしたゆるさ、雑さが許されるぐらいの方が、菅野さんは落ち着くってことなんでしょうか。
よく勘違いされますけど、そこまできっちり丁寧な暮らしをしているわけではないです。(笑)
学生時代や会社員時代に、決められたしたルールや枠の中で無理をしてパンクしてしまった経験があるからこそ、少々ゆとりがある方がしっくりくるというか、この懐の深さがちょうどいいと感じることはありますね。
間口が大きくてたっぷりの余裕 「TGガラス 茶こし付きマグカップ」
ー 今回は、台湾エクセレンス賞を受賞した「TGガラス 茶こし付きマグカップ」を菅野さんに使ってもらいました。実際に日常で使ってみて、どうですか?
これ、本当にすごく使いやすかったです!
茶こしの部分が広いから、お湯を注いだときに茶葉が中で泳ぐ感じがあって。美味しく淹れられるので気に入っています。
もともとマグに付けられるタイプの茶こしを持っていたんですけど、間口が小さくてちょっと使いづらいなあと思ってたんですよ。こちらはサイズにもゆとりがあるので、たっぷり飲めて良いですね。
ー どんな時に使われていますか?
朝はコーヒーよりもお茶を飲む派なので、朝に使っていることが多いです。
実際に使ってみて感じたのが、ガラス製で中身が見えること。お湯を注いだあとに時間を計らなくても茶葉の色が出てきたから飲み頃だな、と分かります。お茶の色の移り変わりも楽しめるなんて素敵ですよね。
あとは、ガラスだから他の食器と組み合わせたときのバランスが良いのもポイントですよね。朝ごはんと並べたときに、パンでも和食でもどちらでも違和感がありません。
ー 他の食器とのバランス! その視点は、菅野さんだからこそですね。
職業病かもしれません(笑)。
器を買うときはいつも「自分の家にある食器とうまく合わせられるかな?」と考えることが多いのですが、ガラスであれば何にでもしっくり馴染むからその悩みがないんですよ。
大切な人にプレゼントとして贈る場合でも、その人の持っているものに合わないという心配がないので安心ですよね。
ー 実はこの商品、TG(台湾ガラス)と日本人デザイナーの深澤直人さんがコラボしたデザインなんです。
ああ、そんな感じ! 無駄がなくてシンプルなデザインが、深澤直人さんだなあと。台湾製品と聞いて、もっと派手な感じかな?と思っていたので、手にしたときは驚きました。
私に限らず、最先端の台湾を知らない人にとって、台湾はまだ昔懐かしいノスタルジックなイメージがある人も多いと思います。そういう人にとっても、こういう新しいデザイン性のある台湾製品って意外性があって良いですね。
食器や暮らしの中で使うものって、やっぱり実際に手に取って見てみたいと思うことが多いんです。触ってみて手に馴染むか、飲み口の薄さはどうか……。こうした台湾製品も、実際の店で触ったり、使ってみたりできる機会が増えてくるといいなと思います。
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▼菅野有希子さんにご紹介した製品はこちら:
▼「Everyday Excellence and People」第3弾もお楽しみに。ぜひフォローとスキをお願いします。
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