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世界のへりにてくらしのてざわりを守る

上の記事で、円安が仮にどんどん進んでいったらどんなことが起こりうるか、それはくらしのてざわりが危ぶまれることではないか、と書かせていただきました。


円安がどんどん進むと、ひょっとしたら物を買うのに毎回なん時間も行列に並ばざるをえなかったり、物価が安定しないので給料に見合わない支払いを求められたり、そもそも食にありつけなくなったり、健康面がむしばまれ正常にものごとを考えられず疑心暗鬼に陥ったり、近くで横領・強盗・暴動などが起こったりするかもしれません。

そんな状況であっても、結果責任を負うべき国は今という結果について知らん顔をしながらあいも変わらず税や社会保険料・年金を納めるよう促してくるでしょうし、場合によっては強制力を働かせてくるかもしれません。企業も平気な顔でお金のある人だけをお客さんとし、お金のない人はお客さんじゃないよ、と心ない商売をするかもしれません。


もし仮に僕たちが、そのような状況にすっかり入り込んでしまったとしたなら、ときには国、ときには企業に対して、自身の手を悪に染めることを検討するかもしれません。

パニックがあらゆる法律を無視せよと言っている・・・とうとう、まっとうな人たちまで法律を破るようになった。飢え死にしてもかまわないという覚悟がなかったら、法律は守れない。

アンナ・アイゼンメンガーの日記 『ハイパーインフレの悪夢』p46-49


そんな場合、ぼくたちはくらしのてざわりを守るために、法律を破るかもしれません。・・ぼくには山口良忠判事のように高潔に餓死することを選ぶ自信がありません。




ぼくらの暮しを、まもってくれるものは、だれもいないのです。
ぼくらの暮しは、けっきょく、
ぼくらがまもるより外にないのです。
考えたら、あたりまえのことでした。
そのあたりまえのことに、気がつくのが、
ぼくら、すこしおそかったかもしれませんが、
それでも、気がついてよかったのです。

『灯をともす言葉』 花森安治 河出文庫

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