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警察人生 3章

警察はありがたいことに、結構表彰をしてくれる
主に事件解決にだ
現場指紋を犯人の指紋に的中させると、裁判所は逮捕令状を簡単に出してくれるのだ
ただし、資料化されているのは前科持ち
照合して一致すれば、前科持ちだ
犯罪歴がなければ照合はできない
日本の鑑識技術は世界一
犯人に結び付く鑑識資料を見つけることは非常に重要になっている
指紋を次々に的中させた私は表彰を多く受けた
表彰は月1度の給料日(署員が集まる日)におこなわれていた
みんなの前で署長から表彰状を頂く
私は調子に乗っていた
調子に乗ると大概失敗が待ち受けている
ある日のこと、大型カメラ店で高級カメラが盗まれる事件が起きた
昼間、堂々と陳列ケースから、、
ケースの合鍵を作っていた
不審な外国人が来店した後、しばらくして被害が発覚したという
当時、防犯カメラはまだ普及していなかった
現場に行ってガラスケースを見ると指紋が付いているのが肉眼で見えた
ガラスからは簡単に指紋採取が可能だ
いい指紋が取れた
署に戻って、鑑識の川口さんに報告すると、川口さんに
「ガラスの裏側から採取したか?」
と言われた
意味が分からず、
「取っていませんけど、表からいい
 指紋が取れたし」
と言うと、
「バカ者」
と怒鳴られた
「お前はわかっていない、もう1回
 行って取って来い」
と言われた
とにかく、現場へ戻って店の人に指紋採取をお願いすると、すでに拭き取られガラスケースはきれいになっていた
川口さんは答えを教えてくれない
考えた、表と裏と何が違う
表は店に来た不特定多数の人が触る
裏側はケースを開けた人間しか触らない
そうか!裏側から指紋が取れれば犯人か店の従業員しかない
間抜けである
しばらく経って、他の警察署で一味が検挙された
同じ手口、裏側の指紋が一致したのだ
学んだ
調子に乗ってはいけない
自信過剰は自分を見失う
でも、失敗が自分を成長させる
若い頃は大いに失敗すればいい
ーつづく



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