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外資、ベンチャーを経て久しぶりに日系大企業に転職して感じたこと

僕は普段、パーマネントの会社員としてフルタイムで働いている。
少し前に転職をして歴史の長い日系企業で働くこととなり、新しい環境にも良い意味でだいぶ慣れてきた。

僕は今までに何度か転職を経験している。
最初は日系企業でエンジニアとして研究職に携わり、その後キャリアチェンジをしてベンチャー企業のマーケティング職へ。ベンチャーではリーダーやマネージャーを経験し、外資系企業のマーケティング職に転職。その後再びベンチャーに戻り、D2C系の新規事業立ち上げをリードした。
そんな一風変わったキャリアを経て、久しぶりに日系の企業にジョインしマネジメントサイドのマーケティング業務に従事することとなった。既に数ヶ月が経過し、それなりに忙しいものの会社員生活をエンジョイしている。

振り返ってみると、昔はリスクを取って大きくキャリアチェンジする人はほとんどおらず、ネット上を調べても参考にできるようなロールモデルもいなかった記憶がある。
それでもいろんな巡り合わせや出会い、運に恵まれたことで、様々な種類やフェーズのビジネスを推進する経験をすることができた。単なるジョブホッピングではなくキャリアアップをしつつも、なんとか細々とマーケティングで飯を食うことができているし、プライドを持って仕事をしている(このあたりの戦略などについてもまた機会があれば書こうと思う)。

キャリア的な話に関して言うと、ネットにおけるビジネス界隈では外資やベンチャーを日系大企業に比べて崇拝する傾向があるように感じる。
しかし、それぞれの環境を経験してきた身としては、日系大手や外資系、ベンチャーなどで一括りにカテゴリ化してジャッジするのは間違っていると思うしあまり好きではない。
例えば外資系企業といえば合理的なイメージを持っている人も多いと思う。しかし、僕が所属していた外資系企業は、グローバルでかなり巨大な規模を有するかつ一流のブランドを多数保有しており、経営やマーケティングに関しては日本でも評価されていたものの、中に入ってみると必ずしも合理的な側面ばかりではなかった。
日系企業でも会社によってカラーが異なる。僕が最初に入った日系企業と現在所属する日系企業でも雰囲気はかなり違うし、同じ会社であっても職種や部署が異なるとカルチャーも大きく異なることが多い。
またベンチャーなんて言うと聞こえは良いが、世の中には無数の中小企業が存在し、スタートアップもあればスモールビジネスもある。名ばかり有名だが、実態としては内部崩壊しているブラック企業も多いと聞く。
そのため会社の種類やカテゴリによっては、一概に言えないことが多いと思う。

それでも一旦そのような話は置いておいて、個人的な経験としては外資やベンチャーを経て久しぶりに日系企業でしばらく働いてみたことで、感じた違いが多々あった。
僕が感じたことが必ずしも正しいとは言えないし、今後印象が変わる可能性もある。今回は少しだけネガティブな側面の備忘録にはなるが、自分の経験を元に主に感じたこと三点を記録しておこうと思う。

転職して感じたこと

生産性について

生産性については、僕が所属していた外資系企業やベンチャーと比べるとだいぶ意識が違うと感じる。

僕が勤めていた外資系企業やベンチャー企業は年俸制であり、長く働くほど残業代が付くなどといった考えはなかった。そのため、長時間勤務すればするほど自分の時間を消費することとなり、仕事時間が短ければ短いほど自分の時間を確保することができるという構造になっていた。
またベンチャーにおいては自由度が高く、社内のルールなどもあってないようなものが多かったため、割と自分のやりたいようにやって極力無駄なことを排除することで生産性を高めていた。

現在の日系企業は月給制のため、アウトプットに関わらず長く働けば働いた分残業代が出る。そのため周囲の社員の中には、残業することに対する嫌悪感が少ない人が多い気がする。一回喋りだすと永遠に雑談をし続け、結果的に長く勤務している中堅社員も多い。
また社内ルールとして踏まなければいけないプロセスが多いため、どうしても自分の意思だけでは効率化が難しいことも多い。

会議やミーティングに関しても違いがある。外資系企業では基本的に会議時間は30分がデフォルトだった。時間厳守で、何が何でも決められた時間内に結論を出す。
しかし現在の日系企業では会議のデフォルト時間は1時間かそれ以上。しかも割りと平気で延長などするし、意味があるかどうかわからない会議もそれなりにある。
そして、結論やネクストアクションが曖昧なまま会議が終わりそうなこともしばしばあり、会議の生産性はかなり低いことが多いと感じた。

さらに、会議で使う資料は無駄にページ数が多いことに驚いた。
何十ページも、場合によっては百ページ以上のボリュームの多いPowerPoint資料を作成する必要がある。そのため会議で明確にすべきポイントが何なのか分かりづらい上に、資料作成に費やす労力が非常に大きい。資料の型ももちろん決められており、決済者が見慣れているからという理由で型を変えることは基本的にはできない。

個人的には自分の時間が何より大事だ。
外資系企業やベンチャーで働いていた頃は、嫌でも生産性高く働く方法を身に付けなければ自分の時間を捻出できなかった。そのようなマインドセットは忘れないようにし、会社のルールと折り合いをつけながら、いかに自分の時間を確保しながら結果を出していくかが重要だと感じる。

意思決定プロセスについて

組織構造や意思決定のプロセスについても感じたことがある。

特に外資系企業の場合は、各事業部とファンクショナル部門がマトリックス構造的にきれいに整理されていることが多い。もちろん良い面ばかりではないが、各部署のオーナーシップが明確で、あらゆることの責任の所在が明確になる。それにより意思決定のプロセスも速い。

日系企業でも近年ではそのようなマトリックス組織も増えてきたようだが、それでも経営層をハブとした中央集権的な組織構造であることが多い。マトリックス組織は各部署のリーダーシップが重要であり、多様な人間が集まる大組織ではなかなかワークさせることが難しいからだ。そして組織構造のドラスティックな変更は強大なリーダーシップとコストが必要になることも、なかなか変化することができない理由だと思う。

現在の日系企業では、各部署へのオーナーシップの付与があまり進んでいない印象。
ことあるごとに上層部にプレゼンをして承認を得なければならず、非常に面倒なことが多い。しかも年功序列的な昇進制度のため、専門分野に明るくない人が決済者となっていることも問題だ。

僕の場合はデジタルマーケティングやダイレクトマーケティングが専門で、今もそのような業務が仕事におけるそれなりに多くの部分を占める。そしてしばしば上層部にプレゼンをする機会があるが、部長職以上の人間でデジタル&ダイレクトマーケティングの現場仕事を経験したことがある人たちはまずいない。
プログラミング経験のない人ばかりがテック企業の上層部にアサインされることが問題だとしばしば言われるのと同じように、決済者は本来、現場感覚を理解した人間であるべきだと思う。

そんな感じで、立場が上の人間にしか取れない責任もあるだろうが、共通言語が十分にない人たちを説得して意味ある決定をすることは、なかなかに難しいことだと日々感じている。

多様性への意識について

多様性への意識について感じることもある。

少し前から多様性に関しては日本でもいろいろと言われるようになり、どこの企業でもダイバーシティ的な意識向上に関する活動をしていると思う。
例えば全社的なダイバーシティ研修のようなものがあったり、多様性に関して理解を深める動画を見たりする。また今更という感じだが、フレックス勤務やリモートワーク、服装の自由化や副業解禁なども取り入れられ始めていることが多い。

外資系企業に勤めていた頃は、それこそ日系企業とは比べ物にならないほどダイバーシティに関する意識が高く、年間を通した緻密な教育カリキュラムで多様性に関する理解を深めていった。また仕事では日本人以外の方との交流も多く、無意識的に多様なバックグラウンドの人たちと関わる機会があった。
ベンチャー企業ではそのようなカリキュラムはなく日本国籍の人と仕事することがほとんどだったものの、様々な生まれや育ち、経歴の人間が混在していたため、自分にはない多様な考えに触れることができた。

現在の日系企業ではどうかというと、ビデオ学習などを用いて、一応形式的にダイバーシティに関する学習をする場はある。
しかし、これはあくまで一例であるが、会社の人たちと話していると、あたかも結婚や子育てをすることがライフステージ的に当たり前の前提であるかのように話をされる場面に何回も直面した。
また、例えば家や車をいつ買うのかなど、まるで家を買って車を持つことが当然かのような質問も複数の人との会話の中で受けた経験がある。当人たちに悪気はないので特に嫌悪感はないが、個人的にはこのようなやり取りに違和感を感じることが多い。

もしかしたら自分も意識が低い部分があるのかもしれないが、やはり多様性に関する感度はキャッチアップできていない年配の方が多いと感じる。似たような経歴の人が多いためか、普段から会社の仕事を通して多様性について意識したり考える機会も少ないため、なかなか難しい気もする。
転職市場が広がり今後も新しい人材がさらに増えていくと思うので、多様な人たちが増えることで、仕事やコミュニケーションがしやすくなっていくことを期待したい。

まとめ

そんな感じで、普段はプライベートなことをあまり書かないが、転職してしばらく経ったので感じたことをまとめてみた。

今回はネガティブな面ばかりにフォーカスしてしまったが、実際は良い面の方がたくさんあるので働き続けている訳だし、今までのどんな環境よりも今のところは楽しくやっている。
大きな組織では、良い悪い含めて個人や小さな組織では学ぶことができない経験ができる上、古くからある日本企業だからこそ自分が組織に貢献できることも多いと思っている。そしてチームにも恵まれ、割りと自由にチャレンジさせてもらっているので、文句のようなことばかり書いてしまったが、与えられた環境で期待以上の結果を出していきたい。

仕事に限らずまた何か学んだことがあれば、こんな感じでたまにアウトプットしたいと思う。

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