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妄想で貴族になってみた

僕は貧乏だ。
貧乏というのは苦しい。
何かを買うために何かを削ぎ落とさなければいけない。

そこで、気分だけ貴族になってみることにした。
やり方は簡単。

ただ自分を貴族だと思い込むだけだ。
貴族のような行動はしないし、服装もいつも通り、

ただただ自分を貴族だと思い込むだけ。
これで日々の飢えをしのいでいくのだ。

いざ、貴族の世界へ…

目が覚めるとそこは豪華な寝室。召使が起こしに来る。
そして居間には掛軸があったり、巨大なテレビがあったり。
おおぉ、、貴族!なんて貴族!これぞ貴族!
家にはスターバックスがあり、目覚めにコーヒを一杯飲んで目をさます。
朝食はけんた食堂さんが作ったようなご飯。美味しいに決まっている。
和食もいいが、洋食もいいだろう。ぜひみんなにも試してみてほしい。
昼は可愛い女の子を両脇に抱えて笑いまくる。素晴らしい。
もうこの世の全てを手にした感じ。
あとは運動をする。
家にはジムがあって、自分専用のトレーナーが数十人。
運動で汗をかいたあとは備え付けの露天風呂でゆっくり。
ちょっとしたフルーツを入浴中に食べることも。
お風呂から出たあとは、召使と晩酌する。
自分が先に酔って寝てしまって、召使が「やれやれですね、」なんて言いながら僕を寝室まで連れて行ってくれる。
こうして金持ちの1日が終わる、、、

次の日、目をさますとそこは狭い部屋だった。

家には誰もいない。両親は仕事に出かけた。夜までは誰も帰ってこないだろう。
自分の重い体を動かして、居間へと向かう。
居間には小さなテレビ。申し訳程度のアンパンマンのフィギュア。
おおぉ、、貧乏!なんて貧乏!これぞ貧乏!
家には水道があり、コップ一杯に水を入れてそれを一気に飲んで目をさます。
朝食は消費期限切れが近づいたハンバーグの冷凍食品と昨日炊いたご飯を食べる。
美味しい。明日の朝ごはんもこれ。
昼には録画しておいたバラエティ番組を見て笑いまくる。素晴らしい。
今なら世界滅んでもいいや。
あとはゴロゴロする。
2階には布団があって、自分で買った漫画は数冊。
漫画を一通り読み終えたあとは備え付けのちっちゃいお風呂でゆっくり。
お風呂で寝落ちしてお湯がぬるくなってしまうなんてことも。
お風呂から出たあとは、2階に行って寝る。
親が帰ってきて、「そんなことするなら勉強しなさい!」なんて言いながら僕を叱ってくれる。
こうして惨めな1日が終わる、、、

自分は毎日一体何をしているんだ。
金持ちの気分になって何になるんだろう。少し雨が降ってきた。

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