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【医療ライターを目指す方へ】作業療法士として請け負った6種類の仕事を紹介

看護師や理学療法士等のコメディカルは、ライター業界でも専門職として需要があります。理由は、自身の知識・経験を活かし医療関連の専門記事が書けるからです。

僕は、作業療法士として病院や介護施設に勤務していました。数年前webライターに転身し、いろいろなウェブサイトで医療関連の記事を書いてきました。

医療ライターにはどのような仕事があるのか?ここでは医療ライターを目指すコメディカルに向け、僕が請け負ってきた仕事を紹介するとともに、副業・専業別におすすめの働き方をお伝えします。

コメディカルの需要がある6種類の仕事

近年、医療系のウェブサイトでは、「専門的な資格・経験のある人に執筆を依頼する」のがポピュラーです。というのも、他の業界に比べると、医療は情報の正確さや専門性がより重要視されているからです。

僕の場合は「作業療法士さんに記事を書いてほしい」といった感じでよく相談されたり、依頼されたりします。

具体的には、以下のような仕事です。

① コメディカル向けサイトでのコラム執筆

コラム執筆は、自身の知識・経験をもとに記事を書く仕事です。例えば、「患者さんとコミュニケーションをとるコツ」「転職における採用面接のポイント」等、依頼主(サイト運営者)の要望に沿って、コメディカル向けにいろいろな記事を書きます。

個人的な印象としては、“お金”や“働き方”といったテーマの記事を依頼されることが多いです。おそらく、コメディカルの人は、臨床的な内容に関して知りたければ文献・論文を参考にするからでしょう。どのように生きていくべきか、収入と働き方を知りたくてネット記事を見る人が多いようです。僕も、過去に依頼を受けた中には「職場恋愛」をテーマに記事を書くことがありました。

このように、知識・経験さえあれば、誰でも取り組みやすいのがコラム執筆の特長です。

② 医師・歯科医師へのインタビュー取材

おそらく、医療分野の仕事の中で、もっともやりがいを感じられるのが医師・歯科医師へのインタビュー取材です。この仕事は、文字通り、病院や診療所の医師・歯科医師に取材するというものです。完成した記事は、患者さんが病院や診療所を探したり、医療機関が最新医療を情報発信したりするために活用されます。

コメディカルとしては、いろいろな医師・歯科医師の考えを直で聞けるだけでなく、患者さんや世の中のために情報発信できるところが魅力です

“インタビュー” “取材”と聞くと、「私にもできるのか?」疑問に思われるでしょうが、医療従事者なら誰でもできます。なぜなら、年齢から生活様式まで全く異なる患者さんの話を常日頃から傾聴し、「人の話を理解すること」に長けているからです。

ちなみに、数ある仕事の中でも報酬単価がいい傾向にあるので、個人的にはもっともおすすめです

③ 医療機器メーカーへのインタビュー取材

医師・歯科医師に関連して、医療機器メーカーにインタビュー取材する仕事もあります。先日も、「CTに搭載するAI技術を開発した開発者にインタビュー取材する」という仕事をやらせてもらいました。

どうしてインタビュー取材が必要になるのか?というと、医療機器メーカーとしては、商品・サービスの販売促進ももちろんですが。開発した技術を社会に知ってもらいたい、それを通して自社に信頼や親しみを感じてほしいという狙いがあるからです。

実は、医療機器メーカーへのインタビュー取材も、コメディカルとしての知識・経験が活きてきます。医療に関する基礎知識があるとないとでは、話の理解度が変わってくるからです。例えば、「肺には肺葉という区分がある」という医療人の常識も、この業界で働いていない人にはなじみがありません。

なので、Web制作会社やマーケティング会社といった企業は、医療業界で働いた経験のある人にインタビュー取材を依頼することが多いのです。

④ 鍼灸院等のホームページに掲載する文章作成

「医療に関する基礎知識がある」ということでは、鍼灸・接骨といった東洋医学関連の記事を書く仕事もあります

実際に僕が経験した仕事としては、「鍼灸院のホームページ用に文章を作成する」「ヨガ教室のホームページ用に文章を作成する」というのがありました。どちらも代表者の方を取材し、事業内容やサービスの特長等を文章化するものです。

解剖学をはじめとする基礎医学の知識があると、東洋医学の話も理解しやすかったです。鍼灸院の先生は「ひどい腰痛の患者さんがいたんだけれど、痛みの原因は足のほうにあったのね。」とおっしゃっていましたけれど。おそらくコメディカルであれば「ああ、そっちのパターンね」とすんなり理解できるのではないでしょうか。

西洋医学至上主義でないなら、東洋医学関連の仕事も視野に入れたほうが仕事の間口は広がりますよ

 ⑤ 介護ソフトメーカーへのコラム寄稿

「医療」ではありませんが、コメディカルの知識・経験を活かすと介護分野の記事を書くことも可能です。そのひとつが介護ソフトメーカーへのコラム寄稿です。

競争激しい介護ソフト業界では新規顧客を獲得したり、既存顧客にコミットしたりするため、情報発信に力を入れています。介護保険制度、介護施設におけるリハビリ、在宅介護等、記事テーマはさまざまです。

医療と介護は違う分野ですが共通する事柄も多いです

例えば、看護師なら「認知症の方とコミュニケーションをとるポイント」、理学療法士や作業療法士なら「自宅でできるおすすめの機能訓練」といったテーマであれば、お伝えできることもありますよね。もちろん、自分にとって都合の良いテーマで依頼されるとも限りませんが。

介護分野でのライティングにも、コメディカルの知識・経験が活かせると知ってもらえれば幸いです。

⑥ 学生向け情報記事・資料の作成

最後は、看護師養成校・理学療法士養成校といった、コメディカルを目指す学生向けの記事・資料を作成する仕事です。

依頼案件としては少ない印象ですが、国家試験や就職活動に必要なノウハウを盛り込んだ記事を書くといった依頼があります。

また、「高等専門学校の学生に作業療法士について説明してください」と、職業紹介用の資料作りもありました。

医療ライターの仕事やキャリアとは別に、専門職として意義深い貴重な体験ができると思います

副業ならコラム・情報記事、専業ならインタビュー取材がおすすめ

「医療ライター」といっても、副業・専業とでは働き方が違ってきます。当たり前ですが、副業であれば本業の隙間時間を見つけて記事を書くことになりますし、専業であればライティングで生計を立てていかなければなりません。

そういう事情を踏まえると、個人的には、副業ならコラム・情報記事、専業ならインタビュー取材がおすすめです

コラム・情報記事は、空いた時間に文章を書ければ仕事を完遂できます。業務終了後、本業の休日を利用することで、毎月数本の記事が書けるでしょう。

ただ、経験からすると報酬単価が安いです。当初請け負っていた仕事では、1記事2,000文字(400字詰め原稿用紙5枚)で税込5,500円でした。これでは、お小遣いになっても生計を立てることは困難です。人によっては1記事で数万円を稼ぐ方もいるようですが、収入としては、1か月で数万円が現実的なところではないかと思います。

一方で、インタビュー取材は、初心者でも1記事2,000~3,000文字で、報酬が税込25,000程度と単価が高い傾向にあります。キャリアを積みながらうまく単価をアップしていければ、医療ライターとして生計を立てていくことも可能です。

問題は、平日昼間に取材することが多いので、本業があるとそもそも依頼を受けることが難しいです。また、病院や診療所に直接訪問するとなれば、それだけで半日~1日潰れます。取材で1日、記事を書くのに1日以上かかるでしょうから、本業の傍らインタビュー取材の仕事を請け負うのは難しいと思われます。

以上のことから「コメディカルの知識・経験を活かしてライターに挑戦したい」という場合は、成長欲求を満たそうとするだけでなく、本業に支障がないか、満足いく報酬が得られるか等、ライフスタイルやキャリアについても考えながらご自身の目指したい方向に突き進むようにしてくださいね。

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