見出し画像

【作業療法士のセカンドキャリア】とあるwebライターの場合

有資格者数が6万人を超える作業療法士。これだけ人数が増えれば、異業種に転職する人もいますよね。僕はそんな一人で、作業療法士からwebライターになりました。

リハビリの道を突き進んできた作業療法士にとって、異業種に転職するのは結構難しいことです。多くの場合、資格も経験も人脈もリハビリの世界に限定されがちですから。

だけど、当事者からすると、「やってやれないことはない」というのが実際のところです。

手前味噌で恐縮ですが、異業種に転職を検討している作業療法士の方に向け、自身の体験をお話させていただきます。

精神を病んで就業困難に

僕は、養成校を卒業してから、作業療法士として病院や介護施設に勤務していました。同業種の妻と出会い、結婚し、子どもが生まれ、役職もつき、傍から見ればそこそこな生活を送っていました。

ところが、作業療法士になって11年目に精神的に調子を崩してしまったんですね。原因は仕事のストレスで、精神科に受診したらうつ病の診断を受けました。精神疾患を発症する医療従事者は少なくないですが、まさか自分自身がなるなんて、、、

そこからは人生のどん底です。

一旦休職を挟んでから復職したはいいもの、ストレスにさらされると、すぐに体調不良がぶり返す状態で。働く意欲は湧かないし、頭の回転も悪ければ、職場にいると何かとんでもない失敗をおかしているような強い不安に襲われました。

「これはもう(働くの)無理だな・・・」

直感的にそう思いました。自分の中では白旗を掲げるほかなく、それで作業療法士として働くことを断念したんです。

セカンドキャリアにwebライターを選んだ理由

(いまもそうですが、)当時の我が家には、夫婦どちらかが長期離職できるほどの経済的余裕はありませんでした。ですから、作業療法士として働けなくても住宅ローン返済のため、子どものため、自分が生活するため、可能な限り早期に仕事復帰しなければならない状況だったんです。

そこで問題となったのが「何を仕事にするか?」です。

医療業界以外で働いた経験も、それに相当するこれといった資格・スキルもない。頼れる人脈もない。となると、キャリアを変える足掛かりがないんですよね。

思いもよらないキャリアチェンジを迫られ、はじめて作業療法士から異業種に転職する難しさを痛感しました。

「自分には(作業療法士のほかに)何もないんだな。」

先行きの見えない状況に、人生詰んだ気持ちにもなりました。

そんな時、再起のきっかけになったのが「文章を書くこと」です。

以前から日常のお得情報だったり、子育てだったりについてブログに投稿していたんですね。素人感丸出しの無料ブログでしたが、、、ただ、そのお陰で、誰かに向けてネット記事を書くことには慣れていたんです。

だから、いろいろな仕事がある中で、「文章を書くことならできそうかも」と少しだけ自信が持てました。それで、セカンドキャリアにwebライターの仕事を選びました。

webライターになってみて

僕の場合、クラウドソーシングサービスを利用し、webライターとしてキャリアをスタートしました。というと偉そうですが、右も左もわからなすぎたので、業務を受発注できるサービスを利用するほかなかったんです。

初めての仕事は、「自分自身のプロポーズ体験」を記事にするものだったかと思います。どこに需要があるのかは謎ですが、自分の体験を文章にまとめれば良かったので、仕事に慣れるには取り組みやすいものでした。

それから、人材紹介サイトや介護系メディア等に記事を寄稿し、着実にキャリアを積んでいきました。病院や介護施設で働いていた頃と違い、営業活動も請求業務も自分でやらなければいけないので、ひとつずつやるべきことを確認しながら進んでいった感じです。

いまは、webライターとして一般企業や士業の方を取材し、ホームページに掲載するテキストを作成したり、インタビュー記事を書いたりする仕事をしています。例えば、不動産会社を取材し事業内容や事業にかける思いを文章にするとか、産婦人科医を取材し不妊治療に関する取り組みを記事するといったものです。

実は、「webライター」と一口に言ってもいろいろな分野に分かれていまして。僕の場合は、作業療法士としての経験が活きているのか、相手の思いや考えを汲み取って言語化する仕事が向いているようで、取材絡みの仕事を中心にやっています。

これも想定外のことではありましたが、別の業界で新たな仕事をしてみたことで、あらためて自分の“好き”“得意”に気づくことができました。

やってやれないことはなかった

一作業療法士が働く世界は本当に狭いです。多くの人は、狭い世界の中で、さらに狭い会社組織(病院・介護施設等)のことしか知る機会がないです。

だから、異業種に転職となっても、自分には難しいように感じてしまうのもごく自然なことです。誰だって、知らない世界に足を踏み入れるのは不安ですから。

僕は、キャリアに悩む作業療法士に、異業種に転職することを推したいわけではありません。

作業療法士は比較的収入が安定していますし、社会的信用もあります。結婚して家を建てるとか、子どもを育てるといった観点でいうと、作業療法士を辞めるのは人生設計的に大きなリスクが伴います。転職しなくて済むならそれにこしたことはない、とも思います。

ただ、僕のように、作業療法士として働き続けるのが難しいという場合には、異業種に転職することも考えざるを得えないですよね。その理由が体調不良であれ、相性の不一致であれ、家庭の事情であれ。

無理なものは無理です。

僕がお伝えしたいのは、狭い世界しか知らない作業療法士でも、他の仕事をやってやれないことはなかったということです。資格も経験も人脈も、何もない状態からwebライターになり数年が経ちます。

異業種に転職するのはいろいろな困難を伴いますが、不安を払拭したり、勇気を持ったりする一助として、お話した内容が参考になれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?